【コンゴ】あの事業、最近どう?・紛争と洪水被害のリスクに晒された脆弱層のレジリエンス向上プロジェクト
【あの事業、最近どう?/コンゴ】
期間限定で、事業をピックアップした特集記事を連載します!近年の活動を取り上げ、その背景や変遷を辿ります。今回は、コンゴ民主共和国の「紛争と洪水被害のリスクに晒された脆弱層のレジリエンス向上プロジェクト」をご紹介いたします。
コンゴの南キヴ州・中央カサイ州で、国連開発計画(UNDP)とのパートナー事業を2021年9月より実施しています。
南キヴ州では、2020年4月に非常に大規模な洪水が発生し、約8万6千人が被災しました。家屋を失った人は約1万〜2万人いると推計されています。そして、その後も数回にわたって洪水が発生しています。
↑2020年4月に発生した洪水の様子
中央カサイ州では、2016年8月頃から紛争が始まり、少なくとも数千人以上が亡くなり、約100万人が国内避難民になりました。また、2020年4月から地域間の暴力も続いており、殺人やレイプ、家屋への放火、畑荒らしなどにつながっています。
そうして貧困問題も悪化し、アフリカの最貧国の水準よりも、さらに貧しい地域となってしまっています。
そこで、両地域の最も脆弱な人々およびコミュニティのレジリエンスを向上させるため、主に以下3つのプロジェクトを実施しています。
①橋や水路、診療所、市場などのコミュニティ・インフラの回復、再建
②マスクや石鹸、油などの加工・製造のための技術訓練、所得創出
③災害リスクの啓発、早期警戒システムの改善
↑護岸工事および橋の建設
①では、地元の人々によるCash for Workを導入しました。コミュニティに貢献するような仕事を提供し、その対価として現金を給付する形の支援です。これらは、脆弱な状況に置かれていても、彼ら・彼女らの力でコミュニティを再建していってほしいという願いから、ほぼ手作業で進められました。
②では、地元で取れるアブラヤシからパーム油を抽出する加工技術訓練や、そのパーム油を原料とする石鹸作りの活動を行っています。
③では、気象計測器を設置し、住民たちに気象情報を共有するシステムを構築しました。また、災害の対応方法や早期に避難することの重要性についての啓発も行いました。
最近行ったモニタリングの結果、建設した橋は毎日約1万人が利用しているだけでなく、水害被害の低減に役立っている様子が見られました。また、洪水があったにも関わらず問題ないことも確認できました。
さらに、気象計測器も機能しており、ラジオやフリーダイヤルを通して住民たちは気象情報にいつでもアクセスできるようになっています。また、災害が発生しそうになれば避難が促される体制が整っています。
↑石鹸作りの訓練
石鹸作りの活動は、ダイヤモンドが採掘できる森の所有権をめぐって紛争が続いている村との間での、和解促進と紛争の停止に少しずつつながっています。もう一方の村ではマスクを生産しているため、石鹸とマスクを双方の村人たち2000名に供与しました。生産したモノを交換し、分け合うことで、一つの和解促進を目指しています。
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記事執筆/
海外事業部
小川さくら