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東明館高校「NGO海外駐在員による社会課題解決講座」を実施ー生徒たちがつかんだ“生きた問い”とは

 

(テラ・ルネッサンス インターン 宮村)

 認定NPO法人テラルネッサンスでは、次世代の「平和の担い手」を育むことを目的とした「グローバル人財育成事業」を行っています。

 この事業は、地球規模の課題に対する深い理解と、それらの課題に対して主体的に行動する力を育むための長期的な教育プログラムです。そんなグローバル人財育成事業の一環として佐賀県にある東明館中学校・高等学校で授業を行っています。

 今回は、特別講座として、普段アフリカ・ウガンダで平和構築の活動をしている小川と、みずからも紛争被害者であり、平和構築の活動を行っているトシャ・マギーをゲストに迎え、講演と対話を行いました。

 この記事では、講演だけでなく、その後の生徒たちのリアルな心の動きや、対話の中で生まれた「問い」に焦点を当ててお届けします。まるでその場にいるかのように、生徒たちの「気づき」や「残った疑問」、そして「心の変化」を感じ取っていただけたら幸いです。

第1部:心揺さぶる講演、トシャの言葉が響く

 講演が始まると、生徒たちは普段聞くことのできない「生の声」に触れ、大きな学びを得ていました。経験や実体験に基づく話は、彼らの心に深く響いたようです。

 実際に、「家に帰ったら燃やされており、家族が殺されていたところが印象に残った」「幼い頃の壮絶な過去、一度は命を絶とうとしたが、生きないと得られなかったものがあるというトシャの体験、そこからもう一度人を信じようとすることが簡単ではないし、とても勇気のあることだと思った」という内容の感想が聞かれました。また、日本とアフリカの文化の違いを知り、「世界の広さ」や「多角的な視点」に気づかされた生徒もたくさんいました。

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 【自身の体験を講演で話すトシャと、通訳を行う当会海外事業部長の小川】

 第2部:熱心に対話する生徒たち

 講演の後は対話です。最初は少し緊張気味だった生徒たちですが、すぐに活発な意見交換が始まりました。今回は二人のお話で得た学びや気づきをもとに自分たちがこれからどのような一歩を歩んでいけばいいのかというテーマで対話をしました。

 

 生徒たちの議論は、大きく分けて二つの流れがありました。

一つは、「将来、どんな仕事をして社会に貢献したいか?」「そのために今、何を学ぶべきか?」という、自分のキャリアと社会貢献を結びつけて考えるグループ。彼らは、自分の興味や得意なことを、どう社会の役に立てるかを真剣に探していました。

 もう一つは、「今、自分に何ができる?」「身近なことからでも、どんな行動を起こせるだろう?」という、もっと身近で具体的なアクションに目を向けるグループ。世界で起きている問題に対して、自分たちの小さな力がどうつながるかを話し合っていました。

中には、この二つの視点を上手に組み合わせ、「将来こうなりたいけれど、そのためにはまず身近な〇〇から行動しよう」と、柔軟に考える生徒もいました。

 どのグループでも、生徒たちは二人の話を「自分ごと」として捉え、熱心に意見を交わしていました。その姿からは、彼らが未来の社会を担う大きな可能性を秘めていることが強く感じられました。

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【グループに分かれて議論を行う東明館高校の生徒たち】

生徒たちのリアルな声:心の変化と残った疑問

 

 講演や対話を通して、生徒たちの心には様々な変化が生まれました。

 「トシャさんの話を聞いて、どんな困難があっても諦めずに挑戦することの大切さを学んだ」「情報に流されず、自分で真実を見極める力が必要だと感じた」といった、未来を生き抜くための心構えに関する気づきが多く聞かれました。

 また、「世界の貧困や紛争について、これまで漠然としか知らなかったけれど、今回のお話で具体的な関心に変わったもっと知りたい」というような意見や、「トシャの持っている人が、持っていない人に分け与えることは普通のこと、この助け合いの精神にハッとさせられた」という感想も。これは、彼らがこれから社会で生きていく上で、非常に重要な価値となることでしょう。

 一方で、今回の授業がまだ「始まり」であることも、生徒たちは感じていたようです。二人の深く、時に複雑なお話を、短い時間で全て理解するのは難しかったかもしれません。だからこそ、「もっと聞きたい」「〇〇については、どう考えたらいいんだろう?」といった、新たな疑問や学びへの意欲も垣間見えました。彼らにとって、今回の経験は、まさに「未知の世界」への扉を開く、深く思考するための良いスタートダッシュになったと言えます。

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                 【議論と対談を通して出てきた意見や感想を共有する生徒】

OB・OGの先輩たちとの交流がもたらした刺激

 興味深かったのは、今回一緒に参加してくれた前回のテラ・ルネッサンス講座のOB・OGの先輩たちへについての感想です。生徒たちからは、「先輩たちの学ぶ意欲の高さに驚いた」「(テラ・ルネッサンスでの)豊富な経験や高いスキルを見て、圧倒された」という声が聞かれました。これは、身近なロールモデルである先輩たちの姿が、生徒たちの学習に対する大きな刺激となり、自身の成長へのモチベーションを高めることにつながったと言えるでしょう。

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【講演中にメモを取る生徒】

結び:未来への一歩、これからが本番

 今回の講演と対話は、東明館高校の生徒たちにとって、自身の将来や社会との関わり方、そしてグローバルな視点を持つことの重要性について、深く多角的に考える貴重な時間となり、これからの講座に活かされていくと考えます。

彼らがこの経験を通じて得た学びや気づきを、今後どのように講座や自身の行動や進路に活かし、未来の社会に貢献していくのか、その一歩一歩が今から非常に楽しみです。彼らがこれから直面する様々な課題に対し、今回の学びを糧に、積極的に、そして創造的にに取り組んでいくことを期待しています。

宮村和暉

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 テラ・ルネッサンスでは、2025年6月5日(木)~2025年8月5日(水)まで、夏季募金キャンペーン「平和を求める声に、今、応えたい。」を実施しています。

 お寄せいただいたご寄付は、今起きている紛争を終わらせること、そしてその紛争によって被害を受けている人々の自立を支援すること、さらに、過去の紛争によって残された地雷や不発弾の影響を受けている人々が、安心して暮らせる環境を整えるために、大切に使わせていただきます。

 ぜひ「寄付」という形で私たちの活動を応援していただけないでしょうか。

      

▼夏季募金キャンペーン2025▼
[実施期間]6/5-8/6
[目標金額]13,000,000円
詳細はこちら:https://www.terra-r.jp/kakibokin2025.html

_________________________

記事執筆

海外事業部 ハンガリー事務所長

コーシャ バーリン・黎

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