認定NPO法人テラ・ルネッサンスの活動内容について|カラモジャ事業

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活動内容 活動内容

カラモジャ事業

 

当会では、ウガンダで最も貧困・飢餓の問題が深刻な地域であるカラモジャ地域において、飢餓・栄養失調状態に陥っている地域住民が自らの手で安定した食料生産を行い、栄養状態の改善を目指して活動を開始しました。令和4年度には灌漑設備や穀物の貯蔵のための施設を建設し、農業グループの形成支援を行いました。穀物種子や野菜の生産で一定量を確保することができるようになり、現在は支援対象者とともに市場調査を行いながら、野菜の販売活動を開始し、すべての支援対象者(農業グループ)が収入を獲得し始めています。

 

 

目次

1. なぜカラモジャなの? 

2. テラルネの取り組み

3. メッセージ

 

1. なぜカラモジャなの?

 

カラモジャ 野菜の収穫を喜ぶ人々

 

ウガンダ北東部のカラモジャ地域は、国内で最も開発から取り残されている場所です。現在も、住民の66%が貧しい生活を送っており、75%の家庭が十分な食べ物を確保できていません。食料不足に苦しむ人は約58万2千人おり、これは地域の人口の約45%に相当し、国内で最も深刻な飢餓地域の一つです。
特に、本事業の対象地であるコティド県では、約13万1800人、つまり県民の約60%が深刻な食料不足に苦しんでいます。2022年には、飢えやそれに伴う感染症などで1600人以上もの命が失われました。
この地域では、87%の家庭が自分たちの畑を持っています。土地は広く肥えているにもかかわらず、貧困に苦しむ人々は種や肥料などの農業に必要なものを買うことができず、常に食料不足の状態に陥っています。

 

カラモジャ 学校風景


さらに、この地域は乾燥地帯であるため、雨水だけに頼る農業は難しく、安定した水の供給が必要な野菜作りはほとんど行われていません。そのため、住民は100km以上離れた地域から運ばれてくる高価な野菜を買わざるを得ず、経済的な負担が大きい上に、新鮮な野菜をなかなか食べることができません。脆弱な人々は野菜を食べる機会がほとんどなく、食生活や栄養に気を配る余裕もありません。

実際、私たちがこの地域で住民150世帯を対象に行った調査(2023年6月)では、回答者の70%が1日に1回しか食事をしておらず、エネルギー源となる主要な穀物も十分に食べられていませんでした。また、72%の家庭では、1週間以内に食べた野菜が2種類以下でした。食生活と栄養の改善は、量と質の両面で早急に対応すべき課題です。

 

 

 

 2. テラ・ルネッサンスの取り組み

 

 カラモジャ 笑顔を浮かべた男性

 

カラモジャ地域における最脆弱層の人々が持続的に営農を行うことができるよう、灌漑設備や穀物貯蔵の設備を建設するとともに、農業グループを構成し農業生産・管理・販売といった技術普及を行っています。
地域住民が主体的に安定して農業を行うことができるようになることで、生計向上と栄養状態の改善、グループの組織基盤強化を目指しています。

 

 

 

■ 農業のための設備建設と販売スキルの向上

 

カラモジャ 灌漑設備の建設

 

カラモジャは半乾燥地帯に属し天水が限られるため、安定的な水の供給が必要な野菜生産が難しい地域です。
当会はまず、持続的な農業の基盤となる設備として灌漑設備と穀物の保存のための施設を建設しました。灌漑農業のために掘削した容積30,000㎥の貯水池は、ソーラー動力を利用して雨水を集めます。集めた雨水を共同農地へ組み上げることによって、半乾燥地帯であるカラモジャでも穀物生産・野菜栽培を年間2シーズン安定して行うことができます。

雨季にはトウモロコシ、豆などの穀物や、トマト、タマネギなどの野菜を生産しました。収穫物の品質維持と種子確保のため、収穫後管理研修を実施しています。野菜は自家消費だけでなく、販売も行われています。

乾季には灌漑設備を活用し、穀物の二期作を行います。収穫物は種子確保と食料不足対策に充てます。乾季には野菜の希少性が高まるため、さらなる収穫を目指し、自家消費と販売を促進します。

カラモジャ 野菜の販売ビジネスのための基礎教育

販売についてはビジネススキル講習を実施し、市場調査に基づいた野菜販売で収入を得ています。識字能力の課題から、記帳や計算が難しい人々のため、基礎教育を週1回実施し、改善を図っています。
今後も基礎教育とビジネス研修を継続し、支援対象者の収入向上を目指します。

 

 

■ 食と栄養に関する啓発活動と農業グループの持続可能な運営体制の確保

 

カラモジャ 職と栄養に関する啓発をつづけていく

 

食と栄養に関する啓発活動として、支援対象者に事前テストを実施し、研修の目的を説明しました。7月からは月2回の頻度で研修を開始し、農作業と連携した内容で、食料確保や栄養改善に必要な知識を提供しています。特に、ヘルスオフィサーと連携して現金貯蓄や食料備蓄の重要性を伝える啓発ワークショップ、栄養改善に特化した研修を継続し、直接受益者の意識向上を図ります。

また、本事業では150人いる支援対象者が5グループに分かれて活動をしています。農業グループの運営体制強化のため、毎週ショートミーティングを開催し、課題解決に向けた対話を重ねています。これにより、グループ内の連携が強化され、組織力の向上が見え始めています。今後は、会計管理能力の向上や、栄養研修で得た知識を活かした農場計画の策定を支援し、グループの運営・管理基盤を強化していきます。
これらの活動を通じて、食と栄養への意識向上と、農業グループの安定した運営体制の確立を目指し、地域住民の持続的な自立を支援していきます。

 

 

■ おわりに

 

 

慢性的な水不足の問題を抱え、予測不能な干ばつが続いたカラモジャは、食料生産が難しい状況にありました。生きるために必要な食料がないという危機的状況は、人々を犯罪や紛争へと導いてしまいました。
中でもシングルマザー、高齢者世帯、慢性疾患や障害をもつ人々など特に脆弱な人々にとって、自らの手で畑を耕し食料を確保できるという状況は自立への大きな一歩です。テラ・ルネッサンスは、今後も地域の人々が持続的に食料を確保し、中長期的に自立して生計を立てられるような支援を続けます。

 

 カラモジャ 中長期的に自立して生計を立てられるようになっていく人々

 

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