【タイ】薬物受刑者の子20名へ奨学金を提供。子どもたちの「学びの機会」を支援
【2025年10月 活動レポート/タイ】
-1.png)
こんにちは!タイ事務所の伊藤です。
この度、テラ・ルネッサンスタイ法人IV-Thailandは、タイのピブーン財団へ奨学金を提供いたしました。この奨学金は、麻薬受刑者を親に持つ子どもたち20名の教育支援に充てられます。
-1.png)
【右からスタッフの張、パオ、飯村】
タイの深刻な薬物中毒問題と子どもたちへの支援
タイでは、麻薬中毒問題が社会の大きな課題となっています。タイ麻薬制圧委員会事務所(ONCB)の報告によると、12歳から65歳の人口の約2%にあたる約150万人が、過去1年間に覚醒剤を使用したとの報告があり、その深刻さが伺えます。
ピブーン財団は、タイの矯正局(Department of Corrections)の監督のもと、受刑者や元受刑者、そしてその家族を直接支援している団体です。私たちの提供した奨学金は、受刑者の家庭環境下にある子どもたちが学ぶ機会を継続できるよう、重要な一助となります。
受刑者の社会復帰支援の現場へ
今回、奨学金贈呈のため、矯正局の施設を見学させていただきました。
私たちが訪問した矯正局博物館では、タイの刑罰制度の歴史や、「刑罰の場」から「更生と社会復帰準備の場」へと変化してきた刑務所の役割について知ることができました。
-1.png)
【矯正局のスタッフから話を聞く様子。後ろには受刑者たちが描いた絵が展示されている。】
特に驚いたのは、受刑者の社会復帰に向けた包括的な支援プログラムです。
職業訓練:更生施設内では、受刑者がスキルを身につけるため、レストランやカフェ、マッサージ施設、雑貨店などが運営されています。
矯正局博物館のショップ:受刑者が制作した美術品や小物などが販売されており、その収益の70%が制作者である受刑者に還元され、残りの30%が支援プログラムの運営資金となっています。
-1.png)
.png)
販売されていた小物は日常使いできる素敵なデザインのものばかりで、受刑者が職業訓練を通じてスキルを磨き、社会復帰を目指して真剣に取り組んでいる様子が伝わってきました。
これらの施設やプログラムは政府機関である矯正局によって運営されていますが、国家予算からの資金は主に職員の給与や手当などに使われ、職業訓練や受刑者支援プログラムのための資金は十分ではないのが現状です。
そのため、これらの重要なプログラムの資金は、物品の販売や寄付など、自己創出された収益によって賄われています。
IV-Thailandは、今後も薬物問題がもたらす連鎖から子どもたちを守り、彼らが希望を持って成長できる社会を目指し、活動を続けてまいります。
ーーーーーー
記事執筆/
国際運動推進部タイ事業担当
伊藤あかり







