【カンボジア】顔つきが逞しくなってきました!農村リーダー育成事業
【2025年6月 活動レポート/カンボジア】
.png)
カンボジアで今年2月から開始した農村リーダー育成事業では、現在8名の訓練生を育成しています。
訓練生たちは、農村出身の17歳〜27歳の若者です。多くは中学や高校を卒業できないまま中退してしまい、村で暮らしていた子達です。1年間農業訓練センターに住み込みで座学と実践を交えた訓練に取り組むことにより、卒業後出身村で習得したことを実践し、自分や家族や他の村人の生活を向上させていくのが目的です。
訓練初期は座学の授業が多かったのですが、5月と6月は実践を交えた訓練で大忙しでした。
5月は、コンポストの製造訓練に取り組みました。
カンボジアの農村には、牛などの家畜を飼っている方がたくさんいます。牛やヤギが出してくれるふんは、堆肥を作るのにとてもいい材料になります。訓練生たちが、牛ふんとヤギふんを村を回って買い集めてきました。これに加え、籾殻を炭化させたもの(もみがら燻炭)や稲わら、発酵を進める薬草を切ってきて混ぜ込み、堆肥化します。
.png)
【牛糞を集める訓練生】
.png)
【籾殻を炭化させている様子。とてもいい香りがします。】
一つ50kgもある牛糞やヤギ糞の袋を、軽く持ち上げる訓練生たち。
最初は、仲間が重労働をしているのを横目に見ているだけの訓練生もいましたが、実践を重ねるうちにみんな参加するようになりました。今は女子も男子も関係なく、かなりの重労働もこなしています。
心なしか、顔つきもたくましく、筋肉もついたように思います!訓練生たちに聞いてみると、座学で勉強したことを実践してみて、「自分たちでできた」という経験が嬉しいみたいです。堆肥は、自分たちの作物に使うことはもちろん、農村で販売することも可能なので、ぜひ自分の村でも実践してほしいです。
.png)
【作物用醗酵液製造の様子】
こちらは、作物の生育をよくする果物と薬草を使った発酵液を作る訓練の様子です。
彼らの村の方では、この時期取りすぎて売り先のないマンゴーが大量に捨てられています。このマンゴーに他の果物や薬草、糖蜜を入れた醗酵させたものを、有機肥料として使用しています。村にある資源を活用し、自分で肥料を用意することができれば、支出が減るだけではなく環境や健康にも良い生活をすることができます。
また、常に8人グループで活動をすることで、「ひとりでは難しいことも、みんなでやればできる」という感覚が身につき、村に帰った後も周囲の人と協力して何かすること、そのためのリーダーシップを身につけることを期待しています。
順調に訓練が進んできたとはいえ、課題は山積しています。
例えば、時間を守ること。訓練時間の前に自分たちで場所を準備し時間通りに始められるよう指導をしていますが、現状は訓練時間になっても集まって来ず、先生に呼ばれて集まってきている状況です。
もう一つは、報告・連携・相談。 訓練で農業訓練センターを不在にするとき、センターで栽培している野菜に水やりができず枯れてしまったことがありました。訓練生が不在でも、センターの管理人さんに野菜に水をやっておいてと相談しておけば済むことです。このような感覚も、ほとんどの訓練生が人と協力して働いた経験が少なくまだ身についていないため、これから指導していく必要があります。
このような習慣は「学校特有の規則で農村に戻ればなくなる」というわけではなく、むしろ農村から色々な人と連携をして自分でビジネスをしていくには、必須のスキルだと考えています。
課題はたくさんありますが、訓練生同士も仲良くなってきて、楽しそうに訓練を受けているのをみるとこちらも嬉しくなります。引き続き彼らが村に戻って農村で十分な暮らしがしていけるよう、限られた期間の中でできるだけのことを伝えていこうと思います。
引き続きの応援をよろしくお願いします。
(余談ですが、訓練生たちは歳の離れたテラ・ルネッサンスのスタッフや農業の先生とも、年齢関係なく冗談を言ったり身の上話をしたりと仲良くなってきました。訓練中は食事も寝床も一緒ということもありますが、世代関係なく仲良くできるコミュニケーション力にはいつも感心してします。)
ーーーーー
記事執筆
海外事業部 カンボジア事業
津田理沙