【ウクライナ】難民の現状
【2023年11月活動レポート/ウクライナ】
ハンガリーでは、ウクライナとの国境にほど近いマリアポーチ村と、国境のあるザーホニ市において、難民支援を行っています。
ザーホニ市では、昨年11月より市と連携して難民の方々への支援を行っています。ザーホニ市での詳しい支援内容は【ウクライナ】列車でハンガリーに入国した難民への支援を開始|認定NPO法人テラ・ルネッサンス (terra-r.jp)をご覧ください。
【ザーホニ市にあるウクライナとの国境】
ザーホニ駅は、ウクライナに最も近いハンガリーの駅であり、ウクライナから列車でハンガリーに入国する避難民は、全員がこのザーホニ駅を経由します。現在も1日に8本の列車がウクライナハンガリー間を走っています。
侵攻直後ウクライナからやってくる列車には家族連れが多く見られましたが、現在は女性や子どもがほとんどで成人男性の姿はあまり見られません。戦時中であるウクライナの成人男性は、自由に国外に出られないためです。
また、戦前より出稼ぎなどの事情によって国外に出ていた男性も、徴兵される事や戦火を避けるため、祖国に戻る人は殆どいません。そのような理由で、ハンガリーからウクライナへ向かう乗客も行動が制限されない女性がほとんどです。
戦争が始まった直後に家族でウクライナから逃げてきたある女性は、高齢で移動が難しく国内に残してきた両親に会うために、子どもたちと何度か里帰りをしているといいます。しかし、17歳の長男がもうすぐ徴兵対象年齢を迎えることから、帰国できる時期もだんだんと短くなっており、「会えるうちに会いに行っています」と話していました。彼らや彼女たちは、家族と会うことにもタイムリミットが伴う状況にいます。
【ウクライナ語で書かれた列車の時刻表】
マリアポーチ村にある難民滞在施設では、現在も30名弱の避難民が暮らしています。爆撃により家が破壊されてしまった人や、占領区になってしまった場所から来ている人、自身の病気に加え子どもも徴兵されたことによって逃げざるを得なくなった人など様々な理由により施設での滞在を続けています。
施設のオーナーは、「難民の受け入れを決断したときは数カ月程度だと思っていたが、19か月も経ってしまった。ウクライナへ帰った人や、さらに西欧へ移動した家族もいれば、帰る場所がない人もいるため、受け入れをストップすることはできない」と仰っていました。
【難民滞在施設の部屋のひとつ】
しかし、難民を受け入れ始めた当初に比べて、インフレの影響により光熱費やガス代が何倍もの値段になっており施設運営も厳しい状況にあります。ハンガリー政府からのサポートもありますが、一日一回の食事に限定されるため生活向上までには至りません。そこでテラ・ルネッサンスは食料や日用品、必要に応じて医薬品などを購入し、定期的に施設へ届けています。
自転車の支援では、行動範囲が広がり難民の方々が自ら買い物にも行くことができるようになったと、とても喜んでもらえました。また歯の治療が必要な方には歯科医院への移動や治療費の支給を行うなどニーズに合わせた支援を行い、プラスアルファのサポートをすることで生活向上へと繋げています。
【今回届けた食料品と日用品】
侵攻から1年半以上が経ちなかなか先の状況が読めない中で、ウクライナ国内に残された家族や、思い入れのある自分たちの本当の家など、故郷への想いを抱きながらそれぞれの場所で生活されています。難民の方々、そして難民のサポートを続けている方々が少しでも暮らしやすい日々を送ることができるように、これからも支援を続けていきます。
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記事執筆/
海外事業部 ウクライナ事業担当
冨嶋ひより