【2025夏・キャンペーンブログ vol.4】「今、応えてほしい。カンボジアの若者たちの一歩に」―平和を実らせる農業支援の今 (カンボジア)

こんばんは!テラ・ルネッサンス啓発事業部インターンの安田です。
テラ・ルネッサンスは6月5日から8月6日まで、1,300万円を目標に寄付を呼びかける夏季募金キャンペーン2025『平和を求める声に、今、応えたい。』を実施しています。
期間中、テラ・ルネッサンスが活動するアフリカ・アジア・ウクライナの各事業地の現状、テラ・ルネッサンスの支援活動をお伝えする連載ブログをお届けします。
第4弾は、カンボジア。
カンボジアでは近年、農業訓練センター事業の運営(カンボジア農村社会変革リーダー育成事業)に注力しています。

【バッタンバンにある農業訓練センターにて、農業訓練生たちの様子】
カンボジア農村社会変革リーダー育成事業の背景と目的
カンボジアは長年の内戦の影響で、多くの地域に地雷や不発弾が残されており、農地を耕すことが危険な場所も少なくありません。肥沃な土地に恵まれた農業国ですが、その一方で、過去の歴史的背景から農業技術の継承や発展に課題を抱えてきました。また、商品作物(キャッサバ、トウモロコシなど)の栽培は国際価格の変動に左右されやすく、農家が安定した収入を得ることが難しいという課題もあります。
テラ・ルネッサンスは、これまでも各村で農業訓練や家畜飼育支援を行ってきましたが、支援世帯の増加や、遠隔地への移動の限界から、より効率的で持続可能な支援体制の必要性を感じていました。そこで、バッタンバン市内に農業訓練センターを開設し、地雷が撤去された土地で、住み込みでの農業プログラムを実施し若者たちが「自らの手で平和な社会と持続可能な生活を築く」こと、そして地域社会のリーダーとして、その知識を広め、平和で豊かな村づくりに貢献できる人材育成を目指しています。
農業訓練生の声を聴く -彼らが描く未来とは-
今回、カンボジアで農業訓練に励む2人の若者ペアクダイさん(17歳)とソペアさん(24歳)にインタビューを行いました。
彼らが何を学び、何を感じ、どんな未来を描いているのでしょうか。

【画面左:訓練生のペアクダイさん(17歳)、ソペアさん(24歳)】
: 農業訓練を受けて、一番嬉しかったことは何ですか?
ペアクダイさんは「学ぶことや練習、そしてフィールドや村で実践的に体を動かしながら訓練を受けることが嬉しいし、楽しい」と答えました。
ソペアさんは、「村からバッタンバンという市内に出てきて、9人の訓練生との共同生活という新しい経験」だと話してくれました。
異なる環境で育った仲間と支え合い、共に成長する喜びが彼のモチベーションを刺激しているようです。
: 訓練の中で、大変なことはありますか?
この質問には、共同生活での経験を教えてくれました。
「みんなが時間通りに来ない」、「ルールを守らない人に注意しても全然聞いてくれない」
「それでも、私は時間を守って、きちんと仲間に注意しています......」
訓練センターでは異なる村から集まった若者たちが、日々の農業訓練に加えて、共同生活を通して規律や協調性を学んでいきます。
: 村に帰った時、家族や友人にここでの学びをどう伝えたいですか?
ペアクダイさんは村の農業に変化をもたらしたいと語りました。
彼女の故郷の村では、換金作物の栽培が盛んな一方、農薬や化学肥料の過剰な使用が深刻な課題となっています。
「村での生活では、除草剤や化学肥料ばかり使っていたけれど、この施設で学んだ有機農法、コンポストなど、自然なやり方を伝えていきたい」と、持続可能な農業への強い想いを語ってくれました。
そしてソペアさんの答えは、自身の未来を見据えたものでした。
「自分の村で家畜販売のビジネスをやってみて、周りの人が学んでくれたらいい」と、知識の伝達に留まらず、実践を通して周囲に影響を与えたいという意思がありました。
平和の担い手である彼らの想い
インタビューの最後には今回のテーマに合わせて、「平和」に関する質問をしました。
: あなたにとって「平和」とはどのようなものですか?
ソペアさんの答えは「Safe Life」というシンプルな一言。
加えて、ペアクダイさんは3つのポイントを挙げてくれました。
「良いコミュニケーション、食べ物に困らないこと、そして戦争がないこと。」
「カンボジアに暮らす人は、外国人に対してもフレンドリー。話し方がソフトで、人種差別などがない。」と、良いコミュニケーションの意味も伝えてくれました。
お互いを尊重し、助け合う関係性が平和の基盤であるという彼女の言葉が深く響きました。
今回のインタビューを通して、私はカンボジアの若者たちも、平和な未来への願いを胸に、一歩一歩着実に進んでいることを感じました。
モノに溢れる日本から、想いをはせる
クリック一つで欲しいものが翌日に届き、スーパーに足を運べば、季節を問わず様々な食材が手に入る。
私たちが暮らす現代の日本は驚くほど効率的で、モノに溢れた便利な社会です。
この快適な生活は、一つの豊かさの形です。しかし、その一方で私たちは何か大切なことを見失ってはいないでしょうか。
京都事務局では先日、「簡素な生活」とは何かというテーマがミーティングの議題になりました。
私はこの訓練の中にもその言葉の意味、そしてそれを実践するためのヒントが詰まっていると感じました。
- 外側にある何かに依存せず、自らの手で生み出す自給自足の精神。
- 大量生産・消費から距離を置き、足るを知る暮らし。
- 自然をコントロールしようとするのではなく、その循環の中で生きる知恵。
- 実践を通してどんな状況でも生き抜く力を身につけること。
- 人とのつながりを大切にすること。
活動の根底にあるのは、「自分たちの手で、未来を創る」という希望です。
私がインターンとして、平和を作る運動に参画する中で目にする多様な活動は時に、便利な社会に生きる私たち自身へ何かを問いかけているようにも感じます。
私たちは、食べ物がどこから来て、どのように作られているのかを、どれほど知っているでしょうか。
私たちは、いつから「お金を出せば手に入る」ことを当たり前だと思うようになったのでしょうか。
私たちは、壊れたものを「捨てる」以外の選択肢を、どれだけ持っているでしょうか。
「簡素な生活」が意味するのは、貧しさや不便さを推奨するものではありません。
それは、自分たちの手で何かを生み出す喜び、自然の恵みを感じる心、そして人と人とが支え合う関係性といったすでにそこにあるものに気づく、積極的な選択なのではないでしょうか。
人それぞれの生活や今ある状況には違いがある。その中で自分にできる小さな実践を通して、確かな手応えと自信を取り戻していくのかもしれません。

【筆者がカンボジアで見た地雷原】
私がカンボジアと、テラ・ルネッサンスの活動に出会ったのは高校1年生の時。
そんな私が、大学での学びとともに、再びインターンとして関わることになったのは、
偶然ではなく、必要な“出会い直し”だったのだと思います。
「人には、平和を願う気持ちがある」
これは、私たちテラ・ルネッサンスの根底にある想いです。
日々の忙しさの中で忘れてしまいがちですが、本当は誰もが平和を願う気持ちを持っている。
活動を通じて、私自身もまた、心の中に押し込んだ平和を求める声を思い出し、形にすることができています。
だからこそ今、平和を願う“一歩”を踏み出す若者たちの背中を、知って、支えてほしいのです。
彼らの挑戦を応援したい、その一歩を支えたいと感じてくださった方へ。

テラ・ルネッサンスでは、2025年6月5日(木)~2025年8月5日(水)まで、夏季募金キャンペーン「平和を求める声に、今、応えたい。」を実施しています。
お寄せいただいたご寄付は、今起きている紛争を終わらせること、そしてその紛争によって被害を受けている人々の自立を支援すること、さらに、過去の紛争によって残された地雷や不発弾の影響を受けている人々が、安心して暮らせる環境を整えるために、大切に使わせていただきます。
ぜひ「寄付」という形で私たちの活動を応援していただけないでしょうか。
▼夏季募金キャンペーン2025▼
[実施期間]6/5-8/6
[目標金額]13,000,000円
詳細はこちら:https://www.terra-r.jp/kakibokin2025.html
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記事執筆/
啓発事業部インターン 安田 楼那