【ウクライナ】総合福祉センターの建設プロジェクト開始!
【2023年5月 活動レポート/ウクライナ】
◼︎ザカルパッチャ州の福祉環境の課題
今年4月より、「日本NGO連携無償資金協力」として外務省より政府開発援助(ODA)資金の援助を受け、「ウクライナ戦争被害者を対象とした生活再建・福祉向上支援を目的とした総合福祉センターの建設プロジェクト」を実施いたします。
ウクライナ事業開始当初から支援を行っているウクライナ西部・ザカルパッチャ州の、ベレホヴェ市にて、総合福祉センターを建設するプロジェクトです。これまでの活動レポートでご紹介したように、ザカルパッチャ州は戦前より厳しい生活を強いられている人々が多くいます。そして今回の戦争の影響により生活はさらに厳しいものとなり、最低限度の生活さえ送ることができていない人々が多くいます。
(ザカルパッチャ州の状況についてはこちらのブログをご参照ください。)
特に女性や子供、高齢者にその皺寄せが及ぶ中、福祉環境の課題が顕在化しています。若い男性がいないことにより、高齢者は独り身になったり、女性は子どもや要介護の高齢者の世話をする必要があるため、働く意欲がある人も家庭の事情により不自由な環境を強いられたりしています。
↑ 訪問の際には笑顔を見せてくれた1人で暮らす高齢女性
◼︎総合福祉センターを建設します!
そのような背景から、介護施設や託児所、厨房、多目的ルーム等を備えた総合福祉センターの建設を計画しました。廃屋となった病院を改修し、利用します。
ベレホヴェ市及びその近郊における、国内避難民やホストコミュニティーを含む戦争被害者の生活再建および地域の福祉向上を目的としています。また、類似の施設がエリア内にはないため、地域の重要インフラである総合福祉センターの存在そのものが住民の暮らしの安心感と生活向上につながることも期待できます。
↑建物内部の現状
施設整備完了後には、現地パートナーに施設を引き渡し、下記6つの支援が実施されるようサポートを続ける予定です。
(1)【福祉向上支援】介護施設及び託児所に高齢者や子どもを預け、就労可能な家族が仕事に専念できるようにする
(2)【福祉向上支援】身寄りがなく、生活が困難な高齢者を預かる
(3)【福祉向上支援】近隣に住む生活困難者向けに、施設内の厨房で作った食事を定期的に提供する
(4)【学習支援】託児所での児童教育、高齢者の生涯学習および近隣学生の自習のための環境を整備する。また、戦況の悪化によって再び国内避難民が増加した場合、当施設の多目的ルームを避難民の子供たちにも勉強の場所として提供する
(5)【生計向上支援】総合福祉センターのスタッフとして出来る限り戦争被害者を雇用し、給与を支払う
(6)【リハビリ支援】戦場から戻ってきた兵士やその家族向けに、心のケア及び身体のリハビリを行うことができる環境を整備する
戦争に終わりが見えない状況だからこそ、地域で慢性化している長期的なニーズに目を向け、今回のプロジェクトの実施に踏み切りました。ウクライナの人々の生活を支えられるよう支援を続けてまいりますので、今後の動きにご注目いただけますと幸いです。
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記事執筆/
海外事業部
コーシャ バーリン・黎
テラ・ルネッサンスのYouTubeでは、海外事業部からの動画レポートを配信しています。今、海外の現場ではどんな事業が進んでいるのか、どこで誰が頑張っているのか。
活動レポートを読んで、「もっと詳しく知りたい!」と思った方はぜひご覧ください。
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