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【2025夏・キャンペーンブログvol.2】「戦後」80年の日本から「戦時中」の世界を考える。

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こんにちは!テラ・ルネッサンス啓発事業部インターンの山田です。
テラ・ルネッサンスは6月5日から8月6日まで、1,300万円を目標に寄付を呼びかける夏季募金キャンペーン2025『平和を求める声に、今、応えたい。』を実施しています。


期間中、テラ・ルネッサンスが活動するアフリカ・アジア・ウクライナの各事業地の現状、テラ・ルネッサンスの支援活動をお伝えする連載ブログをお届けします。

日本は今年、終戦から80年の節目を迎えます。平和の尊さを改めて感じつつ、テラ・ルネッサンスが紛争地の人々と、紛争が終わってもその爪痕に苦しむ人々へ続けてきた支援を振り返ります。

■身近な戦争記憶

 私の祖母は戦争末期の1944(昭和19)年生まれで、自身と家族が体験した過酷な戦時期の生活をよく話してくれます。物心がついたときには戦争は既に終結していましたが、祖母は幼い時から、兄や姉たちから生々しい戦争の記憶を聞かされて育ちました。

軍需工場での勤労動員、米軍機から逃げていた人が機銃掃射で撃たれた衝撃、空襲の中で親と共に逃げまどった記憶...それぞれの戦争体験が、彼女たちの記憶に深く刻まれています。

祖母自身も、戦後の食糧難の中で食べるものがなく、子どもの頃は栄養失調に悩まされたといいます。平和な時代に生まれ、戦争とは無縁の世界で育ってきたように感じていた私も、身近な人から戦争体験を聞くことで、この日本にも戦争があったことを実感します。

 

■世界から見た日本の戦争記憶

 私は2022年から1年間、東アフリカのルワンダにある大学に留学し、アフリカの様々な国から来た学生たちと共に平和・紛争学を学びました。

 

 授業や普段の生活のなかで、彼らから日本の戦争に関する質問をよく受けました。「なぜ日本の兵士は戦闘機で敵に突っ込んで死ぬことができたんだ?俺だったら怖くて絶対できない。」「日本は国中が焼け野原になって、ヒロシマとナガサキに核爆弾が投下されたのに、なぜ復興することができたんだ?僕の出身の国は長い戦争を経て独立したばかりだけど、日本から学んで国を発展させていきたいんだ。」

 アフリカの学生たちが、遠く離れた日本で起きた戦争と生まれ育ったアフリカの国々の社会を結び付けて、関心をもっていることに私は驚きました。日本では「過去の記憶」になりつつある日本の戦争体験は、関心の高いトピックであるということを知りました。

■世界の戦争被害は戦後最悪に

 1945年の終戦以降、日本は直接的な戦争の場から距離を置いてきました。しかし、この80年の間に、世界における戦争の傾向は大きく変化しています。

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【図1:1945年から2023年までの類型別戦争の数と戦闘による死者数の推移(引用:Rustad, Siri Aas (2024) Conflict Trends: A Global Overview, 1946–2023. PRIO Paper. Oslo: PRIO. 2025年6月17日閲覧)】

 上の図1は、ノルウェーの研究機関であるオスロ国際平和研究所から引用した戦争トレンドの変化を示すグラフです。ここからわかる顕著な変化は、内戦(Civil Conflict)の数と戦争による死者数が増加している点です。1989年の冷戦終結以降、2000年代前半は確実に減少していた内戦の数と死者数は、2010年代以降上昇に転じ、2023年には第二次世界大戦以降最多の水準に達しています。


 テラ・ルネッサンスは、紛争の影響を受けた地域で、困難に直面する人々に寄り添い、自立に向けた支援を続けてまいりました。

 コンゴ民主共和国東部では30年以上も内戦が続き、国内避難民はもちろん近隣諸国への難民の増加など、深刻な人道危機を引き起こしています。ミャンマーでは2021年のクーデタ以降に始まった内戦に加え、今年3月に発生した大地震により複合的な人道危機を引き起こしています。

 また、当会が2005年以降活動するウガンダで1980年代から2000年代初頭にかけて活動した武装勢力「神の抵抗軍(LRA)」が、コンゴや中央アフリカに逃げ込んで活動を続けています。ウガンダ北東部のカラモジャ地域では小型武器と窃盗団によって引き起こされる低強度紛争(Low Intensity Conflict)が続いています。

 たとえ戦争が終わった地域でも暴力は深い傷を残します。30年以上の内戦が続いたカンボジアでは地雷が、ベトナム戦争時の爆撃を受けたラオスでは不発弾が、今も人々の生活を脅かしています。

 日本が戦後80年を迎える現在、世界は戦後最も多くの戦争を経験しています。私たちが平和に暮らしている今日も、戦闘地域は確実に広がり、命を落とす人々の数は増え続けています。

■日本から私たちができること

 終戦から80年。私たちは平和な日常を享受してきました。しかし世界に目を向ければ、戦争の傷はかつてないほど深まっています。日本はこのような世界の紛争と無関係なのでしょうか。

 実は、戦時中の日本の出来事と世界の紛争地で起きている出来事には共通点があります。例えば、テラ・ルネッサンスが活動するウガンダでは、武装勢力「神の抵抗軍(LRA)」によって多くの少年・少女が誘拐され、子ども兵として戦わされてきました。これは、かつて日本でも太平洋戦争中に少年兵として戦地に送られたり、本土決戦に備えて国内に配備された歴史を思い出させます。また、第二次世界大戦末期にソ連の侵攻から逃げ惑った満州からの引揚者の姿は、住む場所を追われ、恐怖の中をさまようコンゴの国内避難民の姿と重なります。

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             【コンゴ東部で戦闘に参加していた少年兵】

■おわりに

 今年で80年目の「戦後」を迎える日本。しかし世界の多くの場所では、今なお「戦時中」の社会が続き、あまりにも多くの命が失われています。「戦後」という言葉が、いつか日本だけではなく、世界中で当たり前に使われる言葉になるために、私も平和をつくるための働きに微力ながら携わりたいと思います。

 

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 テラ・ルネッサンスでは、2025年6月5日(木)~2025年8月5日(水)まで、夏季募金キャンペーン「平和を求める声に、今、応えたい。」を実施しています。

 お寄せいただいたご寄付は、今起きている紛争を終わらせること、そしてその紛争によって被害を受けている人々の自立を支援すること、さらに、過去の紛争によって残された地雷や不発弾の影響を受けている人々が、安心して暮らせる環境を整えるために、大切に使わせていただきます。

 ぜひ「寄付」という形で私たちの活動を応援していただけないでしょうか。

                                       

▼夏季募金キャンペーン2025▼
[実施期間]6/5-8/6
[目標金額]13,000,000円
詳細はこちら:https://www.terra-r.jp/kakibokin2025.html

_________________________

記事執筆/

啓発事業部

インターン 山田純

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