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【2025夏・キャンペーンブログvol.1】「忘れられた紛争地」から見つめる ー奪われた日常と自立への希望 (コンゴ民主共和国 )

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 こんにちは!テラ・ルネッサンス啓発事業部インターンの栗本です!

 テラ・ルネッサンスは6月5日から8月6日まで、1,300万円を目標に寄付を呼びかける夏季募金キャンペーン2025『平和を求める声に、今、応えたい。』を実施しています。

 

 期間中、テラ・ルネッサンスが活動するアフリカ・アジア・ウクライナの各事業地の現状、テラ・ルネッサンスの支援活動をお伝えする連載ブログをお届けします。

 

 第1弾は、アフリカのコンゴ民主共和国。メディアであまり注目されない「忘れられた紛争」を抱えるコンゴの事、皆さんは知っていますか?

■コンゴ東部の紛争

 アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国は、広大な草原とジャングルにおおわれた自然豊かな国です。

 

 しかし、1998年以降の紛争によって、第二次世界大戦以降、世界で最も多くの死者(540万人以上)が発生し、子どもが兵士として戦わされたり、女性への性暴力など深刻な人権問題が発生しています。

この紛争には、植民地支配の歴史、民族社会階層の対立、天然資源をめぐる先進国の権益争いなど、多くの要因が絡んでおり、解決がなされていません。

 コンゴ紛争のより詳細な歴史的背景、紛争による貧困などはこちらをご覧ください。

 長年続く紛争の中で、反政府武装勢力「M23」と国軍との戦闘が激化しています。

「M23」は2025年1月27日にコンゴ東部最大の都市ゴマを制圧。その後南へ進軍し、2月14日には南キブ州ブカブ市を占拠しました。

 コンゴの現地スタッフの報告では、わずか数日で5,000人以上が死亡したと報告されており、大規模な避難をせざるを得ないということでした。避難キャンプに移動する人もいますが、キャンプに避難しても彼らは殺されてしまう現状でした。

 ご家族のいるブカブ市での生活について伺うと、安全ために身を隠して生活をしており、子どもたちは不安定になり、家族全体が落ち着かない状況にあるということで、銃声や砲撃が日常となり慣れない恐怖に怯えているようでした。

 弊会の事務所はブカブ市にありますが、M23に制圧される直前、事務所機能をブカブより南のウビラに移すことできました。しかしM23はウビラも襲撃し、南キブ侵攻から2ヶ月以上が経ってもウビラの治安は十分回復しておらず、行政サービスもほぼ機能不全の状態です。

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【襲撃により荒らされた市役所の中】

■最悪の児童労働「子ども兵」

 コンゴ東部では推定3万人以上の18歳未満の子どもたちが兵士として徴兵されてきました。

 コンゴの子ども兵の問題は隣国、ウガンダと関係しているので、まずはウガンダについて少し説明します。

 ウガンダでは、イギリスから独立後、旧政府軍などが北部で「神の抵抗軍(Lord’s Resistance Army:LRA)と呼ばれる反政府軍を結成しました。彼らは子どもを誘拐・徴兵し、政府軍と戦闘を繰り広げ、子ども兵に地元への襲撃を強要させることもありました。子どもは洗脳しやすく、地元でこのような行為をさせることで、逃げ場を失い、脱走を防ぐ目的もあったとされます。

 2000年以降は多くの子ども兵が政府軍に保護され、帰還できるようになりました。2006年には政府軍とLRAの間で停戦合意が結ばれ、ウガンダ北部の治安は安定するようになりました。

 しかし、LRAはコンゴ北東部などの隣国に拠点を移して、そこで新たに子どもの誘拐や住民への残虐行為を繰り返しています。2008年にコンゴのファラジェで虐殺があり、388名がLRAの襲撃によって殺害されました。その際に多くの子どもたちが誘拐され、その後2009年にもこの近隣地域で虐殺や、多くの誘拐が発生しました。

 近年LRAは弱体化してきていますが、今なおスーダンのダルフール地方や、中央アフリカの一部の地域に潜伏しています。

 元子ども兵にとってLRAに長年拘束され、帰還した後の生活は厳しいものです。

 身体的、精神的に大きな傷を負った元子ども兵が生活を再建することは非常に困難です。また、村を襲うよう強制された彼ら・彼女らに対し、家族や近隣住民からは加害者として非難されることがあります。また、子ども時代を軍隊で過ごした結果、暴力的な思考が身についてしまい、コミュニケーション能力が不足するなど、再び暴力に走ってしまうケースも少なくありません。そのため、たとえ帰還できたとしても、彼ら・彼女らは不安や苦しみを抱えた生活を送ることになるのです。

 子ども兵が抱える課題について詳しくはこちらをご覧ください

■コンゴ東部におけるテラ・ルネッサンスの支援活動

 テラ・ルネッサンスは2005年からウガンダを中心に元子ども兵への社会復帰支援を行っています。コンゴでは、2024年に武装勢力から帰還した元子ども兵たちが、テラ・ルネッサンスの運営するコンゴ北東部ファラジェの施設で社会復帰支援を受けています。コンゴ北東部で子ども時代に誘拐されて、神の抵抗軍(LRA)に連れ去られ、そして帰還した元少女兵たちに洋裁訓練を実施しています。

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                【施設で洋裁訓練を受ける元少女兵】

■15年ぶりに地元に帰還した元子ども兵のストーリー

 マリー(仮名)は、5歳の時(2008年)にコンゴでLRAに誘拐され、中央アフリカで約13年間拘束されていた、元少女兵です。LRAから保護された後、他の仲間たちと一緒にウガンダにあるテラ・ルネッサンスの施設へ移動しました。彼女は訓練には参加せず、故郷のコンゴへの帰還を希望していました。そのため、彼女をウガンダからコンゴのファラジェにあるテラ・ルネッサンスの施設に移送し、そこで洋裁訓練に参加してもらいました。というのも、彼女の地元は治安や道路状況の問題で、空路でなければ行く事が難しく、また、元少年兵との間にできた子どもを身ごもっていたこともあり、それ以上の移動が難しかったのです。彼女はファラジェで子どもを出産、育児しながら、1年間ほど洋裁の勉強に励みました。

 そして、約15年ぶりに、地元の村に洋裁ミシンを携えて帰還することができました。15年ぶりの再会に両親もマリーも涙を流していました。5歳の娘を誘拐された両親の苦しみ、15年もの間両親と離れ、少女兵として生きざるを得なかった彼女の想いを想像すると、胸が締め付けられます。

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            【子どもを連れ家族と再会したマリー(左から二番目)】

 子ども兵は、心理的なトラウマに加え、「元子ども兵」というレッテルから地域コミュニティで差別を受けるなど、紛争後の社会統合において大きな課題を抱えています。

 そんな彼ら・彼女らが、自らの力で生計を立て、他者との関わりの中で社会的にも自立していけるよう、社会復帰支援は極めて重要です。

■おわりに

 私は5月からインターンとしてテラ・ルネッサンスに関わっていますが、最初はコンゴの紛争、また元子ども兵の社会復帰の難しさを知りませんでした。しかし、啓発事業部の広報として関わる中でその問題の緊急性、深刻さと共に、知れば知るほどテラ・ルネッサンスが行う支援活動に感銘を受けています。紛争を終わらせることはもちろん、その被害に苦しむ人に向き合い、自立できるように支援する。目の前の人に丁寧に向き合う姿勢に心を動かされています。

 

 戦後80年を迎える日本において、当たり前のようにご飯を食べ、笑い、平和に暮らせている今、戦争は過去のものとして捉えてしまっているのかもしれません。ただ、切実にその当たり前をほしいと願った私たちの先人と同じように、今紛争に苦しむ人々、平和が欲しいと願う人々がいることを私は知っています。

 「平和がほしい」。そう願う想いはどの時代も、どの国でも同じだと思います。今改めて平和を考え、想いを馳せ、行動したいと強く感じます。

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 テラ・ルネッサンスでは、2025年6月5日(木)~2025年8月5日(水)まで、夏季募金キャンペーン「平和を求める声に、今、応えたい。」を実施しています。

 お寄せいただいたご寄付は、今起きている紛争を終わらせること、そしてその紛争によって被害を受けている人々の自立を支援すること、さらに、過去の紛争によって残された地雷や不発弾の影響を受けている人々が、安心して暮らせる環境を整えるために、大切に使わせていただきます。

 ぜひ「寄付」という形で私たちの活動を応援していただけないでしょうか。

                                       

▼夏季募金キャンペーン2025▼
[実施期間]6/5-8/6
[目標金額]13,000,000円
詳細はこちら:https://www.terra-r.jp/kakibokin2025.html

_________________________

記事執筆/

啓発事業部

インターン 栗本日和

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