【カンボジア】ねずみ豚が導く、農協経営への問い

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【カンボジア】ねずみ豚が導く、農協経営への問い

【2024年6月 活動レポート/カンボジア】

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カンボジアのバッタンバン州にあるバイトーン農協では、2023年1月からテラ・ルネッサンスの支援を受けて運営強化に取り組んできました。

事業が終了する2026年1月に達成したい大きな目標の一つが、農協の収入をあげること!

バイトーン農協は、元々農協の幹部たちだけで運営していました。本事業では、農協の運営能力強化支援のために、新しく職員を雇用し、彼ら・彼女らの訓練をテラ・ルネッサンスが行っています。

事業終了時には、新しい職員たちのお給料を含め、農協運営にかかる費用を賄えるように、農協の収益を上げることが目標です。

今月は、農協が地域の脆弱な世帯を支援して育てた豚を、農協として初めて販売することができました!そこで直面した課題や事業担当の学びについて、お伝えしたい思います。

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【農協が地域の脆弱な世帯に飼育支援をしているねずみ豚。】

農協が支援している豚は、カンボジア語の直訳で「ねずみ豚」という名前の希少な種で、一般的に売られている豚よりも高級品です。一般的に、お祝い事の時に丸焼きにして食べられます。

農協では、支援している世帯から買い取ったねずみ豚を、丸焼きにして販売することになりました。近くに競合がおらず、地元需要もあるので、まずはこの方法で販路を作っていけるでしょう。

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【豚の丸焼きの様子。】

この日の売れ行きは好調。昼間に丸焼きする様子を見ていた通りがかりの人たちが、夕方買いに来てくれたものの売り切れの状態になりました。ひとまず安心です。

しかし、ここからが始まりです。ウキウキしてその日の利益を計算したところ…。

(売上)ー(材料費)=約100円。

しかも材料費には、材料以外の間接費は入っていません。これでは、農協の収益に貢献することはできません。

なぜ利益が少ないのか?話し合いの結果、課題は二つありました。

1、脂肪が多い豚だったため、焼いて脂が落ち、焼いた後の重量が想定より小さくなってしまった。1kg = 〇〇円、という風に重量単位で販売したため、結果的に売上が少なくなった。

2、組合長が、豚を屠殺・調理する係の農協職員に、原価に大きく影響する額の追加賃金を支払っていた。

これらの課題を改善して次に臨むため、農協職員と組合長を集めて、豚の販売に関するミーティングを行いました。

1つ目の課題には、重量ごとに販売するのではなく、豚を部位に分けて販売することで、豚の個体差による売上の変動リスクを回避することになりました。

2つ目。調理するスタッフへの追加賃金を払うかどうかについて。

実は、豚販売だけではなく、他の場面でも、追加賃金については毎度も話し合いがなされていました。もちろん仕事に必要なことには手当が必要ですが、追加賃金に関しては、農協として、追加賃金を払う仕事の内容と普段の仕事の内容の違いが何なのか、線引きを考える必要があると考えていました。

また、農協の職員たちにも、「なぜ農協として収益を上げなければならないか」「農協で働く上での役割は何か」を考えてもらうことが必要です。農協の幹部たちは、農協創設期からボランティアで農協運営に貢献してきた人たちです。しかし、幹部たちだけでは農協の運営に限界があるため、新しい職員を雇用して運営強化支援をすることにしました。

農協を持続的に運営するために彼らにお給料を払っているのだから、農協の収益活動の重要性も理解して貢献してもらう必要があります。彼らがそれを理解して活動してくれなければ、事業終了時には彼らのお給料は払えなくなり、農協が地域の脆弱世帯に支援している家畜飼育支援制度も、持続的にできなくなってしまうのです。

今回は、話し合いの結果、調理する係は追加賃金はなしになりました。ただ、暑い気候の下、火のそばで何時間も焼き続けるのは大変なので、冷たい水を買うだけの手当を支給することになりました。

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【豚販売の改善策について話し合う職員たち。楽しそうです。】

「働く上での役割/意味は何か」というような問いは、これだけ問いかけて考えてもらうことは難しいです。今回のような、具体的な課題がでてきたときに、都度考えてもらうように問いかける重要性を感じました。

嬉しかったことは、豚の販売については他の課題もたくさん出され、解決策を考えてくれたことです。豚の販売をより良くするため、組合長も農協職員たちも真剣に考えて、アイディアを出してくれたのがとても嬉しかったです。引き続き、農協の主体性を引き出しながら、事業終了後には農協が資金面で自走できるよう、事業を進めていきたいと思います。

ーーーーー

 記事執筆

海外事業部 カンボジア事業

津田

↓おまけ

豚を部位ごとに分けて販売する時のイメージ。最初、人間に見えて驚きました。

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