【緊急支援活動レポート】「支援の空白地帯」で避難民を受け入れるホストコミュニティ

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【緊急支援活動レポート】「支援の空白地帯」で避難民を受け入れるホストコミュニティ


ウクライナ危機のニュースが広まり、ウクライナ難民・避難民に世界中から支援が集まる中で、ウクライナ西部のザカルパッチャ州(トランスカルパチア地方)にはほとんど支援が届いていないことを、皆様はご存知でしょうか。

ウクライナ西部には、東部や中央から避難してきた国内避難民と、彼ら・彼女らを受け入れる地元の人々がいます。そして、ウクライナ危機により過酷な生活を強いられているのは、地元を離れた避難民だけではありません。地元に残り、避難民を受け入れている人々、特に高齢者も同様です。

このブログでは、ウクライナ西部の人々の生活環境と、支援が集まらない原因、また、テラ・ルネッサンスがどのような支援を行なっているのか、ご紹介します。

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■ ウクライナ西部は支援が届いていない「支援の空白地帯」


ウクライナ国内には、今も避難生活を続けている国内避難民がたくさんいます。しかし、テラ・ルネッサンスが活動しているウクライナ西部のザカルパッチャ州には、支援団体やボランティアの姿はほとんどなく、東部から避難してきた人々は過酷な環境での生活を強いられています。シャワーやトイレ、寝床はなく、食事は1日1回、停電になったら真っ暗で、水道が止まることもあります。

国内避難民に関する情報は、周辺国に避難している難民の情報に比べあまりにも少なく、その実態は殆ど知られていません。情報不足により、支援の必要性も問われず、支援の空白地帯になってしまっているのです。

さらに、支援物資を届けるために重要となる道路網などのインフラが、あまり整備されていないことも1つの要因として考えられます。ウクライナ西部では戦前から経済発展が遅れていて、写真のように道路や上下水道の設備が整っていません。そのため、大型トラックで支援物資を運ぶことが困難で、外部からの支援のハードルが高くなっています。また、もし支援の一環としてインフラ整備も行うとすると、多大な資金と時間が必要になります。

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【道路はアスファルトが剥がれていて、道幅は狭く、街灯も整っていない状態】

■ 国内避難民と同様に、支援を必要としているホストコミュニティ


では一体、誰が国内避難民の生活をサポートしているのかというと、大多数は、西部の地元の人々(ホストコミュニティ)です。有志で自分の家の空き部屋や空き家に避難民を受け入れ、生活用品や食事を提供し、共に生活しています。

 

しかし、そのサポートは決して十分なものではない上に、ホストコミュニティの人々の生活さえ危うい状況です。ウクライナ西部には民族的にマイノリティの人々や最貧困層の人々が集まっていて、年金暮らしの高齢者も多く、戦争(ウクライナ危機)以前から厳しい生活を強いられてきました。加えて、避難民の流入による人口増加、生活物資の不足、インフレによる物価の高騰、戦争による失業や収入源の減少などが、地元住民を苦しめています。

 

先述のように、ウクライナ西部に向けた支援団体やボランティア、政府からの支援はほとんどありません。つまり、自分の生活が厳しい中、どうにか避難民を受け入れているホストコミュニティの人々も、支援を受けられていないのです。

 

ウクライナ危機の終わりが見えない中、避難民とホストコミュニティのどちらもがどんどん生活を切り詰めていて、より困窮していくばかりです。

 

それだけではなく、西部にいる人のほとんどは女性と子ども、高齢者です。若い男性は徴兵されているか、戦前から出稼ぎで外国にいるためです。避難民やホストコミュニティの人々が、自分の生活を改善しようと思っても、働くことのできる人手が不足しているのです。

 

ホストコミュニティの高齢者や貧困層に、ウクライナ危機の影響のしわ寄せがきています。ウクライナ西部は、まさに「支援の空白地帯」。東部からの避難民と、西部のホストコミュニティの両者に、一刻も早急な支援が必要とされています。

 

この「支援の空白地帯」の様子を、TBSテレビの「報道特集」に取材していただきました。

TBSによる取材記事は[こちら]からお読みください。また、放送のアーカイブは以下の動画より、ご覧ください。

■ コミュニティ全体に支援を届けるために


そこでテラ・ルネッサンスは、ウクライナ西部で、国内避難民とホストコミュニティの両者を対象に、支援活動を行っています。ホストコミュニティのケアとしては、住居の整備・拡張や、生活物資の支給、村落開発支援、CSCs(社会貢献型現金給付支援)を実施しています。

CSCsとは、難民・避難民の方々の主体性を最大限尊重しながら、その人にできる社会貢献(モノ作りやサービスの提供)の機会を提供し、その対価として、テラ・ルネッサンスから現金を給付する支援のことです。

▼CSCsの詳細については、以下のブログ記事もご覧ください

https://terra-r.jp/blog/20220708.html

ウクライナ西部でCSCsによる支援を行っているのは、働いてくれる人に現金を支給する機会になるだけでなく、その社会貢献が、他の避難民やホストコミュニティの人々への支援にもなるためです。

例えば炊き出しでは、調理やそのサポートをしてくれた避難民およびホストコミュニティの人々に、賃金として現金を支給しています。そうして出来上がった料理は、避難民やホストコミュニティの人々に届けられています。つまり、炊き出しのCSCsにより、自らの生活を支えることができる人が増え、また、あたたかい食事を取ることができる人も増えるのです。

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【炊き出しの様子】

また、女性や子ども、高齢者が多いことを踏まえ、「仕事」の枠にとらわれず、それぞれの人が「できること」を取り入れています。例えば、片付けや整理、庭の芝刈り、体調不良者の付き添い、などもCSCsに含まれます。全く動くことができない高齢者の方であれば、ビデオレターを撮影したり、絵葉書を書いたり、という事例もあります。その人にできる社会貢献であれば、それでいいのです。

このようなCSCsの支援により、避難民とホストコミュニティが相互に助け合うような関係性を、少しずつ築くことができています。受け入れてもらう=受け入れる、だけではなく、彼ら・彼女らは共に仕事をすることで、互いの生活を支え合っています。人々の間につながりが生まれ、個々人の働きがコミュニティ内に広く波及しています。

■ 平和を、すべての人へ。支援活動に、ご協力ください。


テラ・ルネッサンスは、「誰ひとり取り残さない支援」を目指しています。そのために、ウクライナ西部にいる国内避難民と、彼らを受け入れているホストコミュニティの人々の声を拾い続けます。もちろん、情報が多くないことや、インフラの整備が遅れていることは、活動の障壁となってしまいます。しかし、「支援の空白地帯」を見逃すようなことは、できません。

特に、ホストコミュニティへの関心は、まだまだ低い状況です。その課題に対して、私たちテラ・ルネッサンスだけの力でできることは、限りがあるかもしれません。だからこそ、CSCsを通じて、避難民やホストコミュニティの人々と共に活動することで、コミュニティ全体に支援の輪を広げてまいります。

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テラ・ルネッサンスは支援対象者の自立を目標に、ハンガリー・ブダペスト市に事務所を開設し、中長期的な支援活動を開始しました。特に難民・避難民の自立した生活をサポートするためのCSCsに注力し、避難民やホストコミュニティへの食料・日用品の支給も行っています。

 

また、ウクライナだけではなく、紛争でいのちの危機に陥っている世界中の人々への支援が必要だという観点から、紛争が続くコンゴ民主共和国(以下コンゴ)の紛争被害者の支援も同時に強化しています。

 

これらの活動経費として、3月中旬から4,000万円の活動資金を募っておりました。7月14日、皆様のご協力のおかげで、当初設定しておりました活動資金を集めることができました。本当にありがとうございます。

 

しかしながら、ウクライナ・コンゴ以外にも世界には様々な紛争・災害がまだまだ存在しています。

 

私たちの活動の目的は、最も脆弱な人々の「いのち」と「暮らし」を守ること、です。

 

弊会の活動地であるコンゴを含む、ウクライナ以外の国・地域の紛争や、その影響を受ける人々の「いのち」が忘れられるという状況は、決してあってはなりません。

なぜなら、紛争で奪われる「いのち」や「暮らし」に、区別はないからです。

 

皆さまのご支援とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。 

 

スタッフ一同より

 

認定NPO法人テラ・ルネッサンス




報告/

理事長・海外事業部長 小川 真吾
(4月3日にハンガリー派遣)
理事・大槌刺し子事業部長・政策提言推進室長 吉田 真衣
(3月17日にハンガリー派遣)
佐賀事務所グローバル人財育成事業室・政策提言室 佐々木 純徹
(3月17日にハンガリー派遣)
ハンガリー事務所所長 コーシャ バーリン・黎

執筆/
啓発事業部インターン 小川 さくら

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