【コンゴ民】紛争下でも、コロナ禍でも、働く夢をあきらめない
【アフリカレポート/2021年5月_Topic02】
コンゴ民の中央カサイ州では、4年前に発生した大規模な戦闘により、100万人以上の人々が避難を余儀なくされました。また、2018年、私たちが活動の拠点を作ったカナンガ市では、当時、少なくとも2,600人の性暴力被害が報告されていました。
3年前に支援を開始した女性280名のうち、57%はこの紛争で夫を殺害され、94%は、自分の子どもや家族を亡くしており、収入は一日約40円程度でした。この金額は、絶対的貧困と言われる1日約200円の5分の1の水準です!そんな中、平均、3.8人の子どもを抱えながらの生活を強いられていました。そんな彼女たちもあれから3年が経ち、平均1日200程度の収入を得られるようになり、コロナ禍でさまざまな困難を抱えながらも、なんとか乗り越えてくることができました。

↑コロナ禍でもパイナップルジュース作りに取り組む女性たち

↑瓶入りのパイナップルジュースに加えて、主に卸売り用に作ったジュースボトル
また、洋裁技術を習得した女性たち60名は、コロナ禍で仕事が激減しましたが、マスクの生産を開始して、これまでに約2万枚のマスクを生産し、それらは地元の人々の新型コロナの感染対策に活用されています。今、この女性たちは、1日平均、220円〜330円程度の収入を維持することができており、この金額は、支援開始当初の約6〜10倍近くに相当します。
彼女たちを受け入れた当初、「仕事をすることが夢」と語ってくれた女性がいました。私たちからすれば、ごく当たり前な仕事をする日常を取り戻すことが、彼女たちにとっては、夢であるということに驚いたと共に、紛争やコロナ禍のような大きな危機下でもあっても、小さな喜びに夢を感じ、前向きに生き抜こうとする彼女たちのたくましさを感じました。

↑今年4月から新たに受け入れた洋裁訓練の受益者たち
今年の4月からは、新たに60名の女性たちを施設に受け入れて洋裁の訓練を開始しています。コンゴ民でも感染者数が増加して、社会経済活動が制限されていますが、それでも、自分の力で仕事をして、生活を支えるという夢をあきらめない女性たちの自立をこれからもサポートしていきたいと思います。

↑採寸をする生徒たち
記事執筆/
コンゴ民主共和国 カナンガ事務所
小川真吾