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【カンボジア】複数の家畜飼育で、借金が膨らむ換金作物への依存を脱却へ

【アジアレポート/2021年2月_Topic01】


2017年4月から実施してきた、地雷埋設地域の脆弱な障害者家族への生計向上支援事業も、今年の3月で終了します。


2月には、カウンターパート機関の農林水産局とCRDNASE(現地NGO) と一緒に、事業終了時のモニタリング調査を実施しました。

【アジアレポート/2021年2月_Topic01】

↑ヤギの飼育をするチャプ・ポンさん

 

今回は、この調査で印象的だったチャプ・ポンさんの世帯をご紹介します。


ポンさんの世帯は、ヤギの飼育でこの事業期間中にUS$1,327の収入を得ることができました。現在も19頭のヤギを飼育しており、これに加えてまだ収入には繋がっていないものの、5羽の鶏の貸し出しを受け、32羽の雛が産まれています。昨年には雌牛1頭の貸し出しも受け、収入源を多様化させることができつつあります。


事業開始当初は、ポンさんの世帯は、換金作物であるキャッサバやトウモロコシの栽培に失敗し、実にUS$10,000(日本円で100万円以上)にも及ぶ借金を抱えていました。


農地があるためキャッサバの栽培は継続していましたが、2017年にはさらにUS$468の赤字となり、2018年にはUS$141のわずかな利益が出たものの、翌2019年にはまたUS$260の赤字となりました。


2018年よりカンボジア政府から支払われるようになった退役軍人の障害者への補償金や、3ヘクタールあった土地の半分を販売するなどして、借金は2018年の終わりには一度全て返済しました。しかし、2019年のキャッサバ栽培で、再度借金をして赤字となってしまい、さすがに懲りたポンさんは、2020年にキャッサバ栽培をやめました。 

2020年10月の大洪水の後で蔓延した感染症の影響で、生まれてくる子ヤギが10頭死亡してしまいました。

 

この事業では、リスクの大きい換金作物の栽培だけに依存した生計構造を変化させ、よりしなやかな暮らしができることを目指していました。しかし、「換金作物の栽培をやめなさい」といくら言っても、別の収入源が確保されないと、やめるのは難しいのです。


そこで、事業のなかでは、グローバル経済のリスクやお金に関するワークショップにおいて、換金作物だけに依存することのリスクの高さを伝えると共に、牛やヤギ、鶏、ハリナシミツバチの養蜂など、家畜飼育による収入源の多様化と家庭菜園による支出の削減で、収支バランスを整えていく活動を実施しました。

↑ポンさんの飼育する19頭のヤギ

ポンさんの世帯も、借金の返済のために持っていた農地の半分を手離した一方で、ヤギの飼育で収入が得られるようになったことで、換金作物の栽培をやめるという決断をすることができたのだと思います。


そのような状況の中、2020年10月にカンボジアで発生した大洪水の影響で、ポンさんのヤギが感染症にかかり、生まれてくる子ヤギが10頭死亡してしまうことも起きました。今は感染症の治療が終わり、またヤギが増え始めていますが、ヤギの飼育だけに依存するリスクがあることも分かりました。


まだ収入にはつながっていませんが、鶏や牛の飼育も継続し、複数の収入源の確保と、食べ物を自給する野菜栽培などを組み合わせることの重要性が、ポンさんの事例からも明らかになりました。

↑ポンさんがヤギの飼育のために増築したヤギ小屋

ポンさんは、調査の中で、次のように話してくれました。


「テラ・ルネッサンスからの支援に感謝しています。テラ・ルネッサンスは、家畜飼育、野菜栽培技術や、お金の貯蓄方法、グローバル経済に関するリスクに関して、ワークショップで教えてくれました。これらの活動によって、私はキャッサバやトウモロコシといった換金作物の栽培から、牛、ヤギ、鶏の飼育へ生活を変えることができました。特に、私はヤギの飼育がうまくいっています。多くのヤギを飼育し、販売して、収入を得ることができました。ヤギの飼育で、私の家族の生活は、以前よりも良くなりました。多くのお金を失ったキャッサバとトウモロコシの栽培はもうやめました。」


ポンさんは、すでに結婚して独立した子どもたちの世帯にも、ヤギを分け与え、飼育を始めています。新型コロナウイルスの影響で、タイへの出稼ぎができないなど、仕事がなくなる中、ポンさんの世帯から子どもたちの世帯へもヤギの飼育が広がっている話は、とても嬉しいものです。

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記事執筆/
海外事業部アジア事業担当
江角 泰

 

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