【カンボジア】教室をとびだせ!畑で、市場で、実践の日々。
【2025年10月 活動レポート/カンボジア】
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今年2月からバッタンバン市内の孤児院施設にて開始した「農村社会変革リーダー育成事業」では、現在4名の訓練生を育成しています。農業訓練センターの最近の出来事をご報告します。
1)子豚がやってきた!
先月は、そんな農業訓練センターに、子豚がやってきました。訓練生が養豚を学ぶために農業訓練センターで飼育するための豚です。
訓練生も、私たちもすでに大人になった豚を想像していたのですが、到着したのはまだ子どもの小さな豚。
この豚はカンボジアの公用語クメール語を直訳すると「ねずみ豚」と呼ばれる、体が小さい種類の豚ですが、それにしても小型犬くらいの大きさで想像よりもかなり小さかったため、訓練生たちは拍子抜けしたそうです。
数週間準備してきた豚小屋に早速入れて、餌や空芯菜をあげたり、寒い日には火を焚いてあげたりと訓練生全員で協力してお世話をしています。
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【到着した「ねずみ豚」を抱える訓練生】
2)実践で商売を学べ!ファーマーズ・マーケットへの出店
たまたまご縁があり、農業訓練センターがあるバッタンバン市内で毎週末開催されている「バッタンバン・ファーマーズ・マーケット」に出店できることになりました。バッタンバン州内から、有機栽培に取り組む農家や農協が新鮮な野菜を持ち寄って販売しています。通常は、このように人が集まる場所でブースを出すには高額な出店料が必要なのですが、このマーケットは無料で出店して良いとのことで、訓練生たちと出店してみることにしました。
どのくらいお客さんが来てくれるのか不安に思いつつ、朝5時半に起きて眠い目を擦りながら商品を並べると、早朝ランニングをしたついでに寄ったご夫婦や、毎週車で来て安全で新鮮な野菜を買い溜めされる方など、想像以上に多くの方が、週末にこのマーケットに来ることをルーティンにされている印象でした。
訓練生たちは、農業訓練センターに生えているライムやレモングラス、テラ・ルネッサンスが他の地域で支援している農協が製造する大豆の発酵調味料や有機肥料を販売しました。
出店を始めて1ヶ月ほど経ちますが、訓練生たちは実践で商売のコツを学んでいるようです。お金の共同管理、帳簿付け、原価計算、商品の説明、商品の管理などは基本的で重要な技術ですが、誰しも最初からできるものではありません。
例えば、初回出店した際は、農協から仕入れた大豆の発酵調味料をお客さんに値切られて、仕入れ値よりも安く売ってしまった訓練生がいました。
「ちょっと、それじゃ利益になるどころか損してるじゃないの。売れば売るほどお金が減るじゃない」
「だってまけてって言われてんだもん〜。今回まけてあげて美味しければまた買ってくれるかもしれないじゃない」
「それでも仕入れ値より安く売るのはダメ!!!お客に優しくしすぎ!!」
などと、側で聞いていると漫才のようで笑ってしまいますが、ワイワイ訓練生や指導者(テラ・ルネッサンススタッフ)でフラットにフィードバックし合っています。そしてクラスルームに戻ったら、原価やビジネスの考え方を座学で学ぶことで、実践と座学の反復をしています。
卒業後、訓練生たちは、地元に戻り、自ら生産した農産物の市場を自分で探して時には自分の手で売って行かなければなりません。ファーマーズ・マーケットへの出店は、そんな彼ら・彼女らの将来の練習の場になっています。
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【ファーマーズ・マーケットの様子。完全オーガニック—というか農業訓練センターに勝手に生えていた—ライムが売れました!】
3)念願の野菜栽培がスタート
今月、念願だった野菜の栽培がスタートしました。
農業訓練センターの活動が初年度なこともあり、訓練生たちはこれまでは施設の土地の整備や土壌改良、ネット貼りなど、野菜を植えるまでの準備作業に励んでいました。また、農業は実践する前に知識を一通り学ぶ必要があったため、農業専門家による座学の授業に取り組んでいました。
前述のファーマーズ・マーケットでもっと色々な種類の野菜を植えたい!という訓練生たちの推しもあり、ついに野菜の栽培が始まりました。
鶏やアヒルが芽を食べてしまわないようにするネット貼り、畝を作る作業、支柱作りなどに励み、ヘチマと冬瓜を植えることができました!
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【ヘチマの芽】
色々な活動が無事進んできて一安心ですが、一年目の訓練生は訓練期間は残りわずかです。彼らが村に帰って生活を支えるスキルを身につけられるよう、引き続きサポートしていきます。
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記事執筆
海外事業部 カンボジア事業
津田理沙







