【ウガンダ】灌漑農業と養殖を組み合わせ、地域のモデルファームへ

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【ウガンダ】灌漑農業と養殖を組み合わせ、地域のモデルファームへ

【2025年7月 活動レポート/ウガンダ】

利益の分配、広がる住民たちの未来

テラ・ルネッサンスでは、2023年2月より、飢えに苦しむ地域住民150世帯とともに、農業を通した自立支援事業を開始しました。

事業3年目の現時点で、安定的な食料生産サイクルが回り始め、住民たちは農業によって得られた収入を年に数回、分配できるようになっています。

先日は、支援対象者が野菜栽培で得た収入を分配しました。

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【分配金を数える支援対象者】

今までで最も多くの利益を出すことができたグループもありました。
最も高い分配金を得た支援対象者の収入は、約7,500円です。(地元の公立小学校教員の月収と同等の金額 ) 

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【分配式でのグループ集合写真】

事業開始前に対象者が行っていた日雇い労働と比較すると、2.0倍の収入を得たグループもありました。

「私には野菜栽培ができる」
「農業によって生活ができるようになった」

など、支援対象者からの力強いフィードバックに、私たちも勇気づけられています。

分配金は、家族分の食料を買ったり、小規模ビジネスに投資したりと、
衣食住を満たした上で、それぞれの世帯の生計を支える原資になっています。

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ある支援対象者の女性は、雄と雌の鶏を一匹ずつ購入し、養鶏ビジネスを始めました。

8人姉妹の長女である彼女は、事業開始当初、大家族ゆえに衣食住のニーズを満たせず、深刻な生活難に陥っていました。

しかし、目にみえる成果が実感できるにつれ、彼女の放つ言葉が変わってきています。

「これからは私が家族を支えていく」

未来への希望を笑顔で表現する彼女の姿に、今、静かな感動が込み上げてきます。

新しい挑戦——ティラピア・ナマズ養殖

きっかけは昨年、ある支援対象者の一言でした。

「この貯水池で、魚を飼ってみたい」

もし現在灌漑農業に利用している貯水池で、養殖ができたならば。それは地域住民のさらなる収入源にもなる上に、栄養という観点でもタンパク源の確保につながるのではないか。

そして、この2025年度。灌漑農業と同時に養殖にも取り組み始めました。

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【稚魚の入った空気袋を抱える支援対象者たち 】

カラモジャ地域における前例がほとんどない魚の養殖。調査や計画段階でも様々な困難がありましたが、先日無事に稚魚を放流することができています。

「カラモジャで養殖ができるなんて信じてなかった」
「地酒の絞りカスも餌になるのではないか」

稚魚の入った空気袋を抱えて会話する住民はやる気満々という雰囲気で、こちらも嬉しくなりました。

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【稚魚を貯水池へと放流する】

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【放流されたティラピアの稚魚】

放流後、早速ヘビやトカゲなど捕食動物の出現という困難にもぶつかっていますが 、専門家の指導を受けながら、対応策を実行しているところです。

養殖の進捗も、今後の月次レポートにてご報告させていただきます。

駐在員 田畑より最後のご挨拶

私事で恐縮ですが、私 (田畑)は7月末でテラ・ルネッサンスを離れることになりました。
2022年4月に入職し、ここまで3年4ヶ月。あっという間のウガンダ駐在でした。

カラモジャ地域での農業支援事業を立案・実行し、現在事業は3年目。
日頃より応援していただいている皆さんに、改めて心より感謝申し上げます。
今シーズンはスイカなど今までやっていない野菜に挑戦したりと、徐々に灌漑農業が自走的に回ってきたことを感じています。

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【スイカ栽培。駐在員田畑 (中央) と支援対象者の女性たち】

今年はいよいよ、支援対象者が灌漑農業、養殖による食料確保や収入向上を自立して行えるよう、農業グループの組合化を目指していく年です。

ここから、後任の川島駐在員・現地スタッフとともに、カラモジャ事業はさらに発展していきます。

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【農場にて。駐在員川島 (右から3番目) と支援対象者】

農業と養殖を組み合わせて、カラモジャ地域における一つの支援事業のロールモデルとなれるように活動を続けてまいります。引き続き、カラモジャ事業の今後を見守っていただけますと幸いです。


ーーーーーー

記事執筆

海外事業部 ウガンダ事業

田畑勇樹

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