【ウガンダ】12期生の終了式!56名の社会復帰訓練が無事完了しました
【2025年5月 活動レポート/ウガンダ】

ウガンダ北部、グル事務所で行なっている元子ども兵の社会復帰支援は順調に進み、5月、最終の職業訓練の修了試験を実施しました。
無事に修了試験も終わり、5月29日、フルタイム訓練の修了式を行い、これから習得した技術と知識を使って実際の収入向上活動を開始していきます。
長い拘束期間を経て帰還した元子ども兵たち
一昨年末にグル県に帰還した12期生のうち、49名は、子ども時代に誘拐されて兵士として徴兵された元子ども兵ですが、コンゴ民や中央アフリカで誘拐されて、少女兵として長年、戦いに駆り出されてきた元少女兵も含まれています。
加えて、LRAに拘束されている間に、生まれ育った子どもたち(現在、若者)も5名、12期生には含まれており、彼ら彼女らを含めて、LRAから逃れて戻ってきた計54名と、地元の最貧困層2名を併せた56名の社会復帰訓練(前半のフルタイム訓練)が、無事に完了しました。
LRAでの平均拘束期間は、16.8年間と、これまで受け入れた子ども兵の中でも、最も長く、一般社会で生活を再建できるか、当初は相当な不安を抱えていました。
特に、ウガンダで誘拐された元少年兵の多くは90年代後半に誘拐され、20年〜30年近く、LRAに拘束されてきました。その中には司令官のレベルに就いていた元少年兵も含まれており、彼らにとって、帰還した後に、政府から恩赦が与えられるか(社会的な地位を確保できるか)も大きな懸念点でした。
恩赦が与えられるまでの道のり

【12期生たちの洋裁訓練の様子】
2024年3月、訓練が始まった頃は、まだ恩赦は与えられず、不安定な状態でした。彼ら・彼女らは移動の自由もなく、政府軍の管轄するキャンプで、私たちが衣食住のサポートをしながら、毎日、テラ・ルネッサンスの社会復帰支援施設と、キャンプだけを往復する生活を続けてきました。
コンゴや中央アフリカ出身の女性たちも同様でした。
外出する際にも許可が必要で、その度、政府軍の兵士とともに、私たちが彼ら・彼女らを外に連れ出すという状況が続いていました。
地元の家族に会いに行く時も、全員、それぞれの地元の村に政府軍の兵士を同行させて連れて帰り、家族との交流を図ってきました。
テラ・ルネッサンスの現地スタッフたちも、この煩雑な手続きや作業を、本当にこの1年半、よくこなしてきてくれました。
外部からのコンタクトも極力、避けながら、なんとか、彼ら・彼女らが安心して社会に復帰することを願って活動を続けてこれたのも、現地スタッフたちの懸命なサポートのおかげです。
そして、2024年11月に、ようやく政府からの恩赦がおり、恩赦カードを発行して、彼ら・彼女らの移動の自由が認められるようになりました!
さらに今年に入ってからは、彼ら彼女らの住む住居建設や、職場建設も並行して行なってきています。
修了式~晴れやかな表情~

【修了式にて 修了証を手に喜ぶ12期生たち 】
そんな日々を乗り越え、ようやく、彼ら・彼女らの終了式を無事に迎えることができました。
受け入れ当時とは表情も見違えて、この日は、政府高官や軍高官ら関係者も集まり、みんな晴れやかに、お互いの技術習得をお祝いしました。
今回の修了式が、同プロジェクトの完了ではなく、これからがむしろ本番です。
これからは、習得した知識と技術を使って、実際に洋裁店や、木工大工店を運営して、自身の生活を再建していきます。
ここからは、それぞれが、様々な社会環境に置かれ、新たな困難に直面することも予想されます。収入もすぐに得られるケースもあれば、そうでないケースもあります。
こうした状況に、これまでもそうでしたが、これからも、可能な限り、一人ひとりに寄り添いながら、残り1年半以内には、全員が安定した収入を得て、コミュニティの人々との関係性も良くしながら(または改善しながら)、社会復帰に向けての歩みを続けていきます。
社会復帰の第2歩とこれからの支援

この修了式に併せて、それぞれが収入を得るための資機材を供与しました。
写真は、その時の様子です。
同時に、彼ら・彼女らが、仕事をする洋裁店、木工大工店を、それぞれの村々に建設中です。
今月末には、これらの建設が完了する予定で、そこで、元子ども兵たちの社会復帰の第2歩が踏み出されます。
加えて、コンゴ民や中央アフリカ出身の女性たちの中には、ウガンダではなく、出身国への帰国を希望している者もいます。
こうした女性たちの意思を尊重し、テラ・ルネッサンスとしても、それぞれにとって、最も望ましい形で社会復帰支援を進めていくことになります。
現在、コンゴ北東部での社会復帰支援も開始しており、中央アフリカ政府とのコネクションもできています。
広域に広がったLRA紛争を終わらせるためには、国の利害を超えて動く、NGOや地元組織らによる下からの平和構築が必要です。
引き続き、紛争を終わらせる活動に邁進してまいりますので、応援いただけると嬉しいです。
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記事執筆
理事・海外事業部長
小川真吾