【ウガンダ】元子ども兵が地域住民を支える存在になっています
【2025年5月 活動レポート/ウガンダ】

ペイフォワードプロジェクト(元子ども兵フォローアップ支援)
このプロジェクトは、元々は、コロナ禍に伴うロックダウンで仕事ができなくなったり、収入が落ち込んだ元子ども兵の卒業生たちを対象に始まりました。
ただ、既に自立を果たしていた元子ども兵たちに、ただ単にフォローアップ支援をするのではなく、(当時は、地域全体の貧困層も生活苦を抱えていたので)元子ども兵たちが地域社会を支える存在として、共に生計を向上して欲しいという想いで始まりました。
加えて、これまでもそうでしたが、元子ども兵のように、過去に壮絶な体験をして、帰還した彼ら・彼女らにとって、最も重要なことの一つが、自尊心を回復してもらうことでした。
そのことが、社会的、経済的にも良い影響を与えていることが明らかになり、意識的に、元子ども兵たちが、周囲の人々や、地域社会で活躍できる場を提供する施策も考えながら、フォローアップを行なっていました。
〝ペイフォワード〟名前の由来は?
この”ペイフォワード”という名前は、「ペイ・フォワード 可能の王国(2000年製作/ワーナー・ブラザース映画)」という映画のタイトルからとってきていますが、日本語でいう”恩送り”です。
テラ・ルネッサンスでもマイクロクレジットなどの支援を行うことがありますが、これは原資を貸し出し、収益が上がったら、それをプロジェクト側に返済していくという形です。
これに対して、ペイフォワードは恩返し(プロジェクトに原資を返済)ではなく、恩送り。
つまり、テラ・ルネッサンスの支援を受けた第一受益者が、収益が上がれば、それをテラ・ルネッサンスに返すのではなく、地域の困った脆弱層に対して、支援を渡していく(恩送り)していくというプロジェクトです。
これまで20名以上の元子ども兵たちがこの支援を受けて、それらは地域の最貧困層などの脆弱な方々(ほぼ全て女性)たち30名以上に恩送りされています。
第一受益者の元子ども兵が、農業や手工芸品制作などの仕事をするための支援をテラ・ルネッサンスが行い、それにより収益を得た受益者が、周りに同じように資金を提供したり、技術を支援したりしています。
プロジェクト参加者たちの様子と生活の変化

写真は、最近、農業でペイフォワードした元少女兵のマリー(仮名)の活動の様子です。
彼女は、農業で収入を得て、自身は、牛2頭を飼うことができるようになり、今は牛耕牛を使って、さらに農業による収益を上げています。
彼女は、その後、近隣の貧困層の女性を同じように、農業支援して、その彼女も、それにより生計を向上することができました。

また、こちらの写真は、手工芸品を作って、ペイフォワードプロジェクトに参加している元少女兵たちです。
こちらの一人である、リリア(仮名)は、子どもたち(若者)がコロナ禍でギャンググループに勧誘され、大変な状況に陥っていましたが、今は、この若者たちも、更生して、それぞれ勉強や仕事を始めています。
日本の皆さまからのあたたかいご恩(ご寄付)が、ウガンダの元子ども兵たちの元へ送られ、さらに彼ら・彼女らの周りの困っている人々へと送られていく。
そんな”恩送り(ペイフォワード)”の連鎖が続いています。
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記事執筆
理事・海外事業部長
小川真吾