【ウガンダ】恩送りが紡ぐ、未来を信じて。

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【ウガンダ】恩送りが紡ぐ、未来を信じて。

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「今注目してほしいテラルネ支援」と題し、現在テラ・ルネッサンスで進めているプロジェクトの中から3つの活動を取り上げ、みなさんにお伝えしていきます!

 

今回は、現在ウガンダで展開中の、新たな支援の形であるペイフォワードプロジェクトについてご紹介していきます。

このブログを通して、どんな状況にいても「一人ひとりに未来をつくる力がある」ということ、そしてそのきっかけに自分もなれるんだということを感じていただければ嬉しいです。

 

 

◼︎ペイフォワードとは?

皆さんは、「ペイフォワード(pay forward)」という言葉をご存知でしょうか?あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、「ペイフォワード」は日本語で「恩送り」と訳されます。誰かに何か善いことをしてもらったとき、その人に恩返し(pay back)をするのではなく、次の誰かへその「恩」を渡すことを「ペイフォワード(恩送り)」と言います。自分が受けた恩をただ返すのではなく、次の誰かへ繋げることによって、恩を広げていけることがペイフォワードの特徴です。

 
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【ペイフォワードプロジェクトのイメージ】

 

テラ・ルネッサンスでは、ウガンダ北部の地域においてペイフォワード(恩送り)の理念を基にしたプロジェクトを実施しています。当会から支援を受けた方々が、そこで得た利益を当会に返すのではなく、現地コミュニティの、他に助けを必要としている方に「送る」、というプロジェクトです。

 

 

 

◼︎ウガンダでのペイフォワードプロジェクト

ウガンダ北部では、かつてテラ・ルネッサンスの支援を受け、職業訓練を終えた元子ども兵たちが、コロナ禍や昨今の世界情勢によって生活状況が悪化し、大きな課題に直面していました。そうした状況を受け、特に厳しい状況に置かれた元少女兵たちとその近隣住民を対象としたプロジェクトを開始しました。

 

このプロジェクトではまず、生活が困窮したり、社会的に脆弱な受益者と個別に相談しながら、彼女たちの生活を立て直すために必要な収入向上活動(ビジネス計画)を共に策定します。その後、おおよそ150ドル〜400ドルの予算内で収入向上活動を計画し、実際に事業を開始してもらう取り組みを始めました。

 
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【豚の養豚を行っている受益者】

 

主な収入向上活動は農業をするための土地を借りたり、家畜飼育などを行うための予算を当会が提供し、その活動によって収益を得るというものです。ウガンダにおいて農業は国の輸出総額の9割を占めるほどの基幹産業となっており、農業が国民の生活を支えています。しかし、同国の慣習によって基本的に女性は土地を所有したり、受け継いだりすることができません。また夫のいない女性やDVに苦しむ女性も多いため、自らの土地を持ち、農業を行うことは生活を送るうえで欠かせないのです。

 

こうして彼女たちが実施した事業で得た利益は、当会に返されるのではなく、生活が困窮している近隣の貧困層の住民に対して、受けた支援と同じこと、つまりビジネス計画の策定指導と予算の提供に充てられます。

 

このように受けた支援をまた別の人と渡していく取り組みが、「恩送り」の意味を持つペイフォワードプロジェクトです。

 

プロジェクト開始から6か月が経った今年10月、同プロジェクトの対象者のうちの一人がようやく、当会が支援した予算額と同額の収益を得ることに成功しました。そしてその収益を、新たな事業を開始するための資金として、彼女の近隣住民へと手渡すことができたのです。

 

 

◼︎一人ひとりに未来をつくる力がある。

初めてペイフォワードプロジェクトを成功させたのは、アティム・リオバ(仮名、以下同じ)さん。

彼女は、14歳の時に武装勢力に誘拐され、そこから11年間兵士として働かされました。その中で、強制的な結婚により妊娠し、子どもを出産しました。そして25歳の時、子どもたちを連れて村へと帰還しました。

 

その後、2006年から3年間テラ・ルネッサンスの施設での社会復帰訓練を経て、洋裁や手工業の技術、小規模ビジネスの知識を習得し、非常に優秀な成績で卒業しました。

卒業後は町中の手工芸品工房で働くとともに、地酒の製造・販売などのビジネスも並行し、毎月30万ウガンダシリング(当時のレートで日本円で約1万5千円程度)を稼ぎ自立を果たしました。その後も収入を維持し、5人の子どもの教育費を払い続け、上の子どもたちは高校まで卒業させています。ウガンダでは、収入がなくなれば同時に子どもの教育をストップせざるを得ないため、いかに彼女が卒業後も努力して生計を維持してきたのかが伺えます。当時の彼女は、お金を貯めて、土地を買うことが夢だと話していました。

 

しかし、コロナ禍の影響によって状況は一変しました。手工芸品の工房の仕事はなくなり、夫からのDVや自身のHIV感染にも悩まされ、彼女の生活は一気に困窮しました。その後夫と別れ、村に引っ越して農業を始めましたが、人手が足りないことに加え、健康状態も悪化するなど苦しい日々が続いていました。

 
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【話し合うアティム・リオバさん(左)と弊会理事小川(右)】
 

こうした状況の中、リオバさんは、ペイフォワードプロジェクトによって当会の現地スタッフと相談し、生活を立て直すためのビジネス計画を策定し、実施していきました。

具体的には、作物を育てるために2エーカーの農地を借り、米の栽培や、農作物の収穫・販売、そして豚やヤギの家畜飼育と繁殖などの活動を行い、収益を上げていきました。

そして今年10月、このビジネスのために、テラ・ルネッサンスから支援を受けた約60万ウガンダシリング(日本円で約2万円)を稼ぎ、それを近隣の貧困層住民の支援のために使うことに成功しました。

 

 現在、リオバさんから支援を受けた住民が、収入を得るためのプランを共に策定しています。

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【アティム・リオバさん(左から二人目)】
 

これまで支援される側だったリオバさんが、ペイフォワードプロジェクトを通して、支援を他の誰かへと送ることができたのです。

 

「ひとり一人に未来をつくる力がある」 彼女の行動が、その力を証明してくれました。

 

 

◼︎現地スタッフの想い

今回のペイフォワードプロジェクトは、これまでテラ・ルネッサンスが支援を積み重ねていく中で、対象者を単なる”支援の受け手”として捉えるのではなく、どんなに脆弱な状況に置かれていても、” 主体者として、社会に貢献することができる存在”として捉えることを重視して生まれたアイデアです。

 

そのため、プロジェクトの成功を目指して、現地スタッフが何度もフィールドに通い、時には共に汗を流しながら、資金以上に時間と工数をかけて実施したプロジェクトでした。だからこそ、一つのペイフォワードが成功したことは、現地スタッフにとっても大きな喜びと達成感が生まれた出来事になりました。

 
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【受益者とともに作業を行う現地スタッフ】

 

「どうしたら脆弱な人々が、誇りを取り戻して自尊心を高めることができるのか」を追求して実施したペイフォワードプロジェクトは、まさに「一人ひとりに未来をつくる力がある」というテラ・ルネッサンスの理念に通ずるプロジェクトなのです。

 

 

◼︎ペイフォワードが持つ可能性

ペイフォワードは、決して一方通行の支援や寄附ではありません。

土に蒔いた種が、たくさんの枝や葉をつけていくように、リオバさんが受け取った支援のバトンを、次の人々に渡すことができたように、あなたの温かい気持ちが相手に繋がり、また別の誰かへと繋がり続けていきます。広がり続けた気持ちは、やがて自分の元へと届くかもしれません。

 
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ひとり一人のあたたかな思いやりの心が繋がり、世界へ広がっていけば、必ず未来を照らす光となるはずです。そしてその光は、だれかの未来をつくる大きな光となっていきます。そんな世界をつくる可能性をペイフォワードは持っています。我々テラ・ルネッサンスは、そのきっかけとなる活動をこれからも続けてまいります。


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記事執筆/

啓発事業部インターン 冨嶋ひより

 

執筆サポート/

啓発事業部職員 津田理沙 

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