【緊急支援活動レポート】安定した食料供給の実現に向けて

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【緊急支援活動レポート】安定した食料供給の実現に向けて


ウクライナ難民・避難民や、避難先として彼らを受け入れている人々は、物価の高騰や食料不足により、日々の食事に困る状況に置かれています。中には、食料調達のためにウクライナからハンガリーへ移動する方もいます。

そこで、テラ・ルネッサンスでは、生活支援として食料の提供を行うほか、キッチンポイント(炊き出し拠点)の整備・運営も行っています。本ブログでは、なぜただ食料を支援するだけではないのか、キッチンポイントではどのような工夫を取り入れているのか、ご紹介します。

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■キッチンポイントの整備


キッチンポイントとは、調理および食料保管の拠点のことです。国内避難民の方々と彼らを受け入れているホストコミュニティの方々を対象に、炊き出しおよび食料・食材の配布を行っています。

 

現在、テラ・ルネッサンスではウクライナ西部地域にキッチンポイントを5つ設置し、地元ウクライナのキリスト教支援団体「聖パンテレイモン・カリタス」と共に運営しています。食料を支援するにも、その保存場所や調理器具など、食料自体の他にも多くのものが必要であるため、食料支援にあたってはキッチンポイントを整備することが重要です。

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整備後のキッチンポイント

 

テラ・ルネッサンスではこれまで、食料に加えて、冷蔵庫や業務用の大型冷凍箱、電子レンジ、ボイラー、換気扇、ガスクッカー、整理棚、調理器具などを支援してきました。元々はキッチンとしての機能を持たない、教会やコミュニティセンターなどの一般的な部屋やスペースを利用しているので、基本的な設備の提供に加え、そうした設備を設置するための、水道工事や電気工事などの改築も行っています。

 

このようにキッチンポイントとしての機能を整えることで、生活支援で提供する食材や、ハンガリーから調達した生鮮食品を長く保存できるようになりました。現在では週に2回、定期的に炊き出しを行えるようになっています。今後は炊き出しを継続するとともに、キッチンポイントの増設に取り組んでいきます。

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【炊き出しの様子】

■食料倉庫の整備


キッチンポイントは複数あるため、調達した食料を一括で貯蔵・管理するための拠点として、食料倉庫の整備も行っています。食料を一度倉庫に集めて管理し、毎日、リクエストに応じてこの倉庫から必要な食材をピックアップして、それぞれのキッチンポイントに補充しています。

 

倉庫の管理において重要なのは、整理整頓です。整理されていると、今何が足りないのかがすぐに分かったり、必要な物資を効率よく搬出・運搬したりすることができるようになります。この食料倉庫でも、整理棚を購入し、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を進めたことで、搬入・搬出の効率が高まりました。

 

整理する前までは、物資が上へ積まれ、何がどこにあるのか分からないような状態でした。今は、物資を種類ごとにラベリングした棚にしまうようにしており、倉庫管理が改善しました。

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食料倉庫の整理前と整理後

■キッチンポイントの整備事例


ウクライナ西部・トランスカルパチア地方のある村では、空き家を改築し、キッチンポイントとして整備を進めています。この村では、避難してきている国内避難民約50名と、地元の人(特に高齢者)150〜200名が十分な食事を得られない状況に置かれており、炊き出しと食料配布のニーズがあります。地元の方々は戦争前から生活が困窮していたようですが、今後さらに避難民の数が増え、物価が高騰すると見込まれているため、生活の状況はより厳しくなりそうです。

 

この村の人に話を聞くと、

「国内避難民も地元の高齢者もたくさんいるので、毎週、せめて数回くらいはあたたかい食べ物を提供したい。そして、ケアセンターのように村の高齢者たちが集まるような場所にしたいので、ご協力ください。」

とのことでした。

 

そのような状況を踏まえ、この村にキッチンポイントを整備することにしました。しかし、拠点となる空き家は水道も通っておらず、ほとんどを改築しなければならない状況で、設備を整備するためにはかなりの予算が必要であることが分かりました。

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改築前の空き家


そのため、整備を保留にしていたところ、ハンガリーの政府系基金 “Hungary Helps”と、ハンガリーのギリシャ・カトリック教会がご協力してくださることになりました。現在、井戸掘りと建物の改築が進められています。建物が完成したら、コンロや冷蔵庫などのキッチン設備をテラ・ルネッサンスから提供し、キッチンポイントとして運用を開始する予定です。

 

また、キッチンに隣接する形で、ランドリーポイントの整備も行っています。国内避難民の方々は、貧困農村地帯の空き家や空き部屋を間借りしているため、洗濯機が無い生活を強いられています。こちらは7月初旬に完成する予定です。今後は、ランドリーポイントの増設にも取り組みます。

 

なんとか設備を整えて、この地域の脆弱な立場に置かれている方々と、ここにくる国内避難民の方々が、十分に食事を取ることができ、また、洗濯機を使用できるようにしていきたいと思います。

■平和を、すべての人へ。支援活動に、ご協力ください。


ウクライナ危機が長引き、自宅や故郷に帰れる目処が立っていない難民・避難民の方々がたくさんいます。また、自宅にとどまることができている人も、以前とは異なる環境に先の見えない大きな不安を抱えています。そのため、帰るその日まで、安心できる日常が戻るその日まで、支えることができるような、定期的で安定した支援が求められています。キッチンポイントでの炊き出しと食料配布は、健康面から難民・避難民を支える重要な支援の一つです。より多くの人に十分な食事を1日でも長く提供するべく、キッチンポイントでの活動を続けてまいります。

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私たちの活動の目的は、最も脆弱な人々の「いのち」と「暮らし」を守ること、です。

 

これまでのハンガリー・ウクライナでのニーズ調査や緊急支援は、「支援の手から取り残されている人々は誰か?」を意識して行ってきました。

そして、今回紹介したように、特にウクライナ西部の国内避難民に対しては、支援ニーズが高いにも関わらず、ほとんど援助が入っていないことが分かりました。

 

そうした背景からテラ・ルネッサンスは、難民・避難民や、彼らを受け入れているホストコミュニティへの食料・日用品の支給、炊き出し拠点の設置等の緊急支援だけでなく、避難生活が長引くことを鑑み、生計向上のための支援も実施することを決定しました。

そのため、隣国ハンガリー・ブダペスト市に事務所を開設し、腰を据えた中長期的な支援活動を開始します。

 

また、ウクライナだけではなく、紛争でいのちの危機に陥っている世界中の人々への支援が必要だという観点から、紛争が続くコンゴ民主共和国(以下コンゴ)の紛争被害者の支援も強化することにしました。

 

これらの活動経費として、7月31日までに4,000万円のご寄付を呼びかけています。

 

皆さまのご支援とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。 スタッフ一同より

 

認定NPO法人テラ・ルネッサンス



報告/

理事長・海外事業部長 小川真吾

(4月3日にハンガリー派遣)

理事・大槌刺し子事業部長・政策提言推進室長 吉田真衣

(3月17日にハンガリー派遣)

佐賀事務所グローバル人財育成事業室・政策提言室 佐々木純徹

(3月17日にハンガリー派遣)

ハンガリー事務所所長 コーシャ バーリン・黎

執筆/

啓発事業部インターン 小川さくら

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