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『景色はつながる』07.ブルンジ

 

『景色はつながる』は、冬季募金キャンペーン『この景色の先に。』は、期間中に配信する特別連載ブログです。本シリーズでは、様々なことを乗り越え一歩ずつ進んできたからこそ見えるものを「景色」とし、テラ・ルネッサンスが支援する方々が「これまで見てきた景色」、そして「今見えている景色」をお伝えします。

 

第7弾となる本ブログでは、ブルンジでテラ・ルネッサンスの洋裁訓練を受ける元ストリートチルドレンのエリック(仮名)さんをご紹介します。

 

ブルンジでは、都市部と地方の貧富の格差が大きく、国民の大部分が住む地方においても、その多くが十分な収入を得ることができず、経済的に脆弱な状態に置かれています。テラ・ルネッサンスはブルンジでの活動を開始した2013年から、シングルマザーやストリートチルドレン、紛争の被害を受けた方々の生計向上支援を行ってきました。

 

この支援の対象者の一人であり、ストリートチルドレンとしての貧しい生活を乗り越えてきたエリックさん。

 

一日一日を乗り越えることに必死で、自分のことに精一杯だった彼でしたが、洋裁を通して、自分にも役に立てることがあることに気づきます。ふと振り返ったときのその気づきを力に変えて、自らの景色を広げながら、歩んできました。

 

本ブログを通して、困難と向き合い、ふと立ち止まった先に見渡せる景色を皆さまの中に想い浮かべていただければ幸いです。ぜひ、ご一読ください。

テラ・ルネッサンスとエリックさんの出会い

 

テラ・ルネッサンスとエリックさんの出会い

洋裁訓練に取り組むエリックさん

エリックさんは元ストリートチルドレンの21歳。7年前に父親を亡くしてからは、近くの路上で水くみや薪割り、洗濯などの日雇い労働を探しながら貧しい生活を送っていました。

 

そんな彼は、テラ・ルネッサンスと出会い、「ブルンジ農村部コミュニティにおける社会的弱者(EVIs)世帯の自立と自治支援プロジェクト」の洋裁クラスに参加することを選びました。エリックさんは、訓練を受けるまでは洋裁を経験したことがありませんでしたが、将来の十分な収入を期待して、新たな一歩を踏み出したのです。

 

しかし、訓練開始当初、エリックさんは使用しているミシンの器具をこっそり盗んで売ってしまったり、料理を準備してくれる人に無礼を働いたりと、スタッフの間で「問題児」として知られていました。

 

訓練になかなか馴染むことができなかったエリックさんですが、弊会スタッフや家族からのサポートを経て、心を入れかえ、再び洋裁訓練に取り組むことを決意しました。

 

それからというもの、彼は地道な努力を重ね、洋服を作ることができるようになり、訓練の最終試験はなんと20人中5位の成績で終えることができました。

 

遠回りしながらも、歩みを止めずに洋裁技術を習得したエリックさん。そこで手にした自信を胸に、新たな目標に向けて歩み始めます。

洋裁の楽しさから芽生えた新たな希望

 

職業訓練を通して洋裁の楽しさに気づいたエリックさんは、学んだ知識をグループビジネスに生かして、少しずつ収入を得ることができるようになりました。
※グループビジネス:複数の支援対象者がグループで一つの店舗を開業し、店舗運営を行っていくこと。
 
さらに、彼の洋裁技術がもたらした変化は収入だけではありません。
洋裁の楽しさから芽生えた新たな希望

洋裁ビジネスに励むエリックさん

訓練を終えた際、エリックさんはこう語りました。

 

「以前は仲が悪かった母親でも、食べ物を持って帰った時に感謝してもらえると嬉しい。過去の自分と同じような境遇にある人には、少しお金を払ってでも知識を得て、路上の生活から抜け出してほしい。」

 

洋裁訓練に参加するという彼の選択は、壊れかけた家族関係を再び紡ぎだし、さらに周りを思いやる気持ちが芽生えるきっかけとなったのです。

 

そんな彼は、グループビジネスから独立し、今では自分でビジネスを起こせるまでになりました。さらに、自分で得た収入で一度は中退した学校に通い直し、今も勉強を続けています。

 

自分の生活のために踏み出した一歩は、彼と同じ境遇にある子どもたちへの意識や人の役に立つことへの気づき、そして彼のさらなる自信につながりました。服を仕立てる喜びと、洋裁を通して誰かの役に立つことのやりがいを感じながら、エリックさんはより明るく新たな景色へと歩み続けています。

一つ一つ、丘を越えていく

 

弊会ブルンジ事業担当の古岡は、このようなエリックさんの変化を振り返って、「さっき見上げていた丘が、今は下に見えている」ような感覚だと話します。つまり、初めは遠い道のりに思えた、「独立して洋裁ビジネスを行う」という丘を、エリックさんは楽しみながら積極的に取り組むことで、登り切ったのです。
 
そして、ブルンジの平和を、ひとり一人がなんらかの収入源をもち、周りとの関係性が良い状況だとすると、その景色にたどり着くまでに、ひとり一人がこのような丘をいくつも越えていく必要があります。
一つ一つ、丘を越えていく

弊会古岡(左)と養豚グループ支援対象者の方々

しかし、丘を登っている間は、自分がどこを登っているのかあまりわからないものです。また、自分の目指す景色に近づいたと思うこともあれば、少し遠のいたように感じることもあります。

 

例えば、一人の支援対象者の収入が向上して、なおかつ、その人が周りの人とうまく共生できていたら、一旦はこれらの丘の上に登ったことになります。しかし時には、平等を重んじるブルンジでは、妬みや仲違いなどが生じて、丘を下ってしまうこともあります。

 

ブルンジの人びとが安定した収入源をもち、周りとも良い関係性を築けるようになるまでには、まだまだたくさんの丘が待ち構えています。しかし、少し止まって見渡してみると、徐々に、でも着実に進んできたことを実感することができるのです。

【ブルンジの丘が見える景色】

振り返ることで、みなぎる力


しんどさを乗り越えたときの景色は、その瞬間にはまだはっきりとは見えません。でも、後々振り返って、「ちゃんと成果は出ているんだ」と気づいた時に、やっとその景色が見えてきます。そして、「あの時、踏ん張り続けたからこそ、点と点がつながって今の成果なんだ」と感じられます。
 
これはエリックさんやブルンジ事業だけでなく、すべての人たちに当てはまることではないでしょうか。ひとり一人、人生の中でいくつもの山(=大きな目標)と、山にたどり着くまでの丘があります。
 
目標まで一直線に進んでいけることは少なく、実際は、回り道をしたり、たまに邪魔されたりしながら、目標にたどり着くことがほとんどです。きっとみなさんにも、息切れして、くたびれてしまうようなときがあるでしょう。
 
しんどいとき、ゴールまでの道のりが遠く感じてしまうときは、ふと立ち止まり、振り返って、今まであなたが越えてきた丘を見渡し、自分の努力や他者とのつながりをかみしめること。そして、目指すところを見失わないこと。
 
これらが、さらに歩みを進める大きな力になることを、エリックさんとブルンジ事業は教えてくれます。

◆◇ 冬季募金キャンペーン2021 ◇◆ 実施中!

◆◇ 冬季募金キャンペーン2021 ◇◆ 実施中!

 

たしかに、現在も紛争の影響により様々なリスクを抱えているブルンジでは、それぞれが自分のことで精一杯な日々の中で、小さな変化を感じることは難しいかもしれません。しかし、一つひとつ積み重ねてきた努力、そして乗り越えてきた困難は決して無駄なものではない。一度立ち止まれば、今までとはまた違う新たな景色が見えてきます。
 
エリックさんは、職業訓練を通して「誰かの役に立てること」に喜びとやりがいを感じてきました。そして、人生においては誰もが丘の途中にいて、自分の力で切り開いた道はきっと後世の新たな気づきにつながると信じて、次の景色へと歩み続けています。
 
私たちはこれからも、一歩を踏み出そうとするひとり一人の背中を押し、時にこれまでの道のりを振り返りつつ、共に新たな可能性を歩んでいけるよう、活動を続けてまいります。
 
テラ・ルネッサンスでは、2021年11月18日から2022年1月12日まで、冬季募金キャンペーンを実施しています。アジア・アフリカの紛争被害者の方々の自立に向けた歩みを支える、弊会の活動を継続していくために、この期間に【2,000万円】のご寄付を必要としています。
彼らと共に新たな「景色」にたどり着くための支援に、寄付という形で、皆さまにご協力いただけますと幸いです。
 
 

 

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記事執筆/

啓発事業部インターン 高木瑞希
啓発事業部インターン 田代啓

執筆サポート/
啓発事業部スタッフ 津田理沙
啓発事業部インターン 小川さくら

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