『私の一歩。』01.啓発事業部 栗田佳典

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『私の一歩。』01.啓発事業部 栗田佳典

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『私の一歩。』は、【夏季募金キャンペーン2021 『それでも、一歩を。』】の期間中に、お送りする特別連載ブログです。本シリーズでは、テラ・ルネッサンスに関わる人々(スタッフ、支援対象者の方々、支援者の方々)の「一歩」をお伝えいたします。

初回の『私の一歩。』はテラ・ルネッサンス 啓発事業部職員 栗田佳典です。栗田が担当する講演事業は、新型コロナウイルスの影響により、一時はキャンセルや延期が相次ぎました。しかし、オンライン講演やイベント開催など工夫を重ね、この危機を乗り越えてきました。

また、栗田はこれから「関西NGO協議会への出向」という新しい「一歩」を踏み出します。
そんな栗田が大切にしている「想い」や「一歩を踏み出す決断」について、綴っています。

本シリーズを通して、みなさまそれぞれの『私の一歩。』に思いを寄せる時間になれましたら、そして、「今を生きる」一助になれましたら、幸いです。


ぜひ、ご一読ください。

光を見ようとしている。〜コロナ禍と社会〜

―インタビューよろしくおねがいします。早速ですが、栗田さんから見て、コロナ禍という時間、そしてそこから少し進んだ現在はどのように見えていますか。

 

はい。そうですね。新型コロナウイルスが世界的に広がり始めた時は、「誰がどうなるかわからない。」、「誰がどうなれば良いかわからない。」そんな漠然とした不安が社会全体にあったように感じます。

社会全体が混沌として、ストレスが溜まっている。そして、そのストレスが誰かに伝播し、多くの人が様々な「生きづらさ」を抱えている。そんな印象でした。

今は、少し前に進んでいるように感じます。しかし、「光が見えてきた。」というよりかは、「ずっとそこに光はあったけど、やっと社会がその光を見ようとしている。」そんな時間を今、私たちは過ごしているのではないでしょうか。

 

ー確かに、社会全体が混沌として、迷っていた気がします。栗田さんは大変だと感じた時に、大切にしている考え方などはありますか。

 

大変な時こそ、使う言葉があります。それが「ちょうどよかった。」という言葉です。

辛い時、苦しい時に、マイナスをプラスに変えてくれる言葉です。「ちょうどよかった。ここで少し、立ち止まってみよう。考え方を変えてみよう」そう思うことで、大変な時もプラスに変えて、ここまで歩んできました。

時には、「ちょうどよかった。」とは言えないこともありますが、それでも困難に直面した時、捉え方を変え、ポジティブに考えるようにしています。

世界はつながっている。〜コロナ禍がもたらした光〜

―なるほど。大変なことも「ポジティブに捉えること」で、楽しくなるような気がしますね。このコロナ禍は私たちにどのような意味があったのでしょうか。

 

コロナというものを通して、多くの人が「世界はつながっている。」と感じることができたと思います。世界中にウイルスが広がっていくということは、その分、人の往来もあるということです。

新型コロナウイルスの世界的な流行は、「地球規模課題」をみんなで解決しないといけないと教えてくれたと思っています。以前は、海外の問題は自分の生活には直結しない。だから、「大変だね。」だけで終わる人も多かったと思います。しかし、今回はコロナのその感染力の強さから、「自分良ければ全てよし」といった考え方を変える時なのだと思います。


―確かに、世界が良くも、悪くも、つながっていることを、痛感させられましたよね。先程、「社会は光をみようとする方向に進んでいる」と仰いましたが、そんな状況に対して、栗田さんはどんな心境ですか。


少しでも前進しようとし始めた状況は、嬉しいです。最近は、講演も対面でできるようになってきましたし、徐々にですが、対面でしか会えない人に会えるようになってきました。そこにはオンラインではできないコミュニケーションがあり、やはり対面でしかできないこともあります。

今の状況は、「元に戻る」というよりかは、「新たな形で前進している」という表現の方が適しているのかもしれません。そこには、今までにない選択肢がたくさんあり、多様性の広がりも感じています。私は、大変な状況の中でも、みんなが一つひとつ乗り越え、「ニューノーマル」という言葉が生まれたことに光を感じています。

 

―確かに、ニューノーマルという言葉が古く感じる程、今の生活が「ノーマル」になった感覚がありますよね。
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【コロナ禍以前の講演の様子】

今の私、過去の私 〜過去からの学び〜

―では、今の栗田さんはどのような状態にいますか。

今は、私自身の人生で大切にしていることを続けている状態です。

私は、関わる人に「ここに光があるよ」や「こんな光があるよ」という風に、「関わる人の選択肢を増やしていく」というのが、私自身の人生だと考えています。なので、今もそれを続けている状態です。これは特にコロナ禍で選択肢が見えづらくなっている今だからこそ、より大切にしたいです。

 

―ありがとうございます。私も栗田さんから沢山の選択肢を見せて頂いたと思っています。今のお話もそうだと思うのですが、栗田さんの人に寄り添う姿勢は、私には真似できない程です。なぜ、そこまで人に寄り添えるのでしょうか。

 

なぜなのでしょう。もしかしたら、これまでの人生に多くの後悔と学びがあったのかもしれません。

―それはどういう意味でしょうか。

 

私の中で、自分勝手に生きた18年間がありました。

それを振り返ると、「なんで、僕はこんなに自分勝手だったのだろう」と恥ずかしくなったり、悔しくなったりすることがあります。

特に中学生の頃の自分は、周りの誰かの気持ちを考えることができず、自己中心的な行動をしていました。中学生時代は野球部に所属していましたが、試合に出たい気持ちが勝り、試合に出ることができない仲間への配慮に欠けていた自分がいました。今思うと、わがままだったと反省しています。

尊重した方が楽しい 〜多様な価値観との出会い〜

―その18年を振り返るきっかけは何だったのでしょうか。

高校に進学し、野球を続けて、自分の役割、仲間への感謝を学ぶ中で、高校3年生の夏、ようやくこれまでの自分に配慮が欠けていたことに気づきました。そして、大学に入って、たくさんの友人と出逢い、多様な価値観があること、それを認めることの大切さを学ぶことができたからだと思います。

出逢いを通じて、私が今まで持っていた価値観と違う部分もたくさんあると気づきました。多様な価値観の中で、自分のわがままを押し付けるよりも、そこにいる人を尊重した方が楽しい。そして、そうすることによって、自分の可能性も広がっていくことを実感しました。

そんな時に、テラ・ルネッサンスにも出会い、アフリカに初めて行きました。「百聞は一見にしかず。」自分の頭の中だけで、決めつけるのではなく、ちゃんと自分の目でみて、物事を考えるようにしようと感じました。

中高生の時の私も、この世界に様々な価値観があることを知っていたはずなんです。しかし、ちゃんと自分の心に落とし込めていなかった。やはり、中高生時代を思い出すと、後悔がたくさん思い出されます。

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【学生時代にアフリカに訪問した時の様子】

「恩送り」の一歩 〜決断〜

―今の話を伺い、「18年間の後悔」というものが今の栗田さんの「人に寄り添う姿勢」につながっているような気がします。

 

そうですね。それを表すには、「恩送り」という言葉が最適かもしれません。

「恩送り」とは、今までもらった恩を、他の人に送っていくことです。直接、「恩返し」することもできますが、いろんな人に支えられて生きてきた私が、他の困っている人に「恩」を送っていく。この考え方に出会えた時に、自分自身の人生の在り方が見つかったような気がしました。

そして、最近の私の一歩も、この考え方が大きく影響しています。

それが関西NGO協議会への出向です。大学を卒業して、新卒でテラ・ルネッサンスの職員になり、右も左もわからない私を講演会の講師として呼んでくださったり、研修や横のつながりを作ってくださったのが関西NGO協議会でした。本当に、印象的な出逢いばかりで、今の私があるのは、NGOワーカーとして新人だった時代に、支えてくれたNGOの先輩方のおかげです。

そんな組織をより良くするためにも、今回の決断がありました。

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【講演で話す数年前の栗田】

―「恩送り」からつながった新しい「一歩」だったのですね。

今回の「一歩」を踏み出すときはどのような心境でしたか。そして、栗田さんが決意する時に、大切にしていることはなんですか。

今回の出向は、「今」を考えると、少し不安もあります。ただ、その先の自分やそれに関わる人の「未来」を考えると、「大切な一歩」ですし、「ワクワクの一歩」でもあります。

そして、人の決断にはタイミングがあると思っています。テラ・ルネッサンスに就職したいと鬼丸さんに話した時も、良いタイミングだったのだと思います。

時代の流れ、自分の環境、そして心境。たくさん考慮することはありますが、「今、動いていなかったら後悔する」という想いは、私が一歩を踏み出す時に大切にしていることです。

もしかすると、後悔することが嫌なのかもしれません。後悔したくないから、「今」というタイミングを大切に、一歩踏み出してきたのだと思います。

どこかは必ず動いている。〜伝えたい「一歩」への想い

ーありがとうございます。「一歩」という言葉がありましたが、「前に進むこと」自体に栗田さんはどう思いますか。

 

そうですね。私自身は、無理やり前進しないといけないという風潮はあまり好きではありません。私は、前に進まなくても、立ち止まっていても、それは大切な「一歩」だと思うんです。時には、立ち止まってもいいんです。

「みんなが前を向けて、そして、一歩踏み出そうよ」というよりも、立ち止まっていることも「一歩」としてカウントしたいなと思います。そこから歩き出せたら二歩目なんじゃないですか。私は「立ち止まっているのも、一歩なんだ」という気持ちを大切にしたいです。

 

ーそんな一歩目や二歩目にいる人に、栗田さんが伝えたいメッセージはありますか。

 

前を向いて、前進しないといけないわけではない。立ち止まっていてもそれも一歩なんだ。その一歩が二歩目に変わる時が必ず来る。それが少し先かもしれないし、すぐかもしれない。人にはそういうタイミングというものがあります。

二歩目を踏み出す背中を押してくれる人がいるのであれば、自分の弱みを見せながら相談してください。大事なのは、その生きづらさを抱えずに、進めないことを恥じずに、誰かに頼ってみることです。誰かに頼ることで、新しい選択肢があると思います。

立ち止まっていても、手が動いたり、頭が動いたり、どこかは必ず動いています。それも大切な一歩です。自分を否定しなくても良いということをお伝えしたいです。

ー私にとって、ほっとする言葉です。栗田さん、ありがとうございました。

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【インタビューの様子(左:栗田 右:福井)】

〜夏季募金キャンペーン実施中〜

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テラ・ルネッサンスでは、7月15日から8月31日まで、夏季募金キャンペーンを実施しています。カンボジア、ラオス、コンゴ、ブルンジの紛争被害者の方の「自立」支援のために、この期間に【1,200万円】のご寄付が必要としています。

インタビューで栗田が語った「立ち止まっていても一歩。」という言葉と、たくさんの元子ども兵の人々や紛争被害者の自立に励む姿は重なる部分があります。

彼・彼女らの境遇はそれぞれです。戦闘中のトラウマに悩まされながらも、洋裁訓練に励む元少女兵の方。地雷の被害に遭い、障がいを負いながらも家畜の世話をして、収入を得ようと努める地雷被害者の方。


時には、困難にぶつかり、立ち止まる時もあります。

しかし、彼・彼女らの眼差しの先には、いつも希望があります。そして、私たちが20年間で積み上げてきたものは、彼・彼女らの希望であると共に、皆さまと一緒に紡いできた希望です。


これからも私たちは、そんな彼・彼女らひとり一人に、寄り添って活動を続けてまいります。

アジア・アフリカの紛争被害者の方の、「希望に寄り添う」支援を実施するために、
皆さまからのご寄付を必要としています。

私たちと一緒に「世界平和の実現」に向けて、ご寄付という形で、皆さまの「一歩」を踏み出していただけましたら幸いです。



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執筆担当/
啓発事業部
福井 妙恵

執筆サポート/

啓発事業部 栗田 佳典

啓発事業部 インターン 小川 さくら

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