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【カンボジア】豚飼育でリスクにも対処しながら生計向上

【アジアレポート/2020年8月_Topic01】


ロカブッス村では、2016年から家畜銀行のサポートをしていますが、2018年に始めた豚銀行で、伝統的なカンボジアの飼育方法で飼育された豚は、需要が大きくなってきています。


2020年に3頭の雌豚の貸し出しを受けたサニュ・チュオンさんは、13頭の子豚を販売し、US$700の収入になりました。産まれたのは30頭でしたが、チュオンさんが知らない間に出産してしまい、母豚に押しつぶされて死んでしまったのが半分いました。


農業専門家からは、子豚が圧迫死してしまうのはもったいないので、次回は出産間近になったら注意して、産まれてきた子豚が母豚に押しつぶされないようにアドバイスを伝えていました。 

【アジアレポート/2020年8月_Topic01】

写真: 豚飼育用の資機材、飼料を受け取ったチュオンさん


子豚1頭54ドルぐらいで販売できており、かなりいい収入になっています。現在国境を接するタイから大きな養豚場で大量飼育された豚が輸入されていますが、早く成長させ、大きくして販売する飼育する方法は、豚肉の臭いがきつく、美味しくありません。


2011年ごろからタイからの豚の輸入がされるようになり、価格競争に勝てないカンボジアの養豚業者は壊滅的な被害を被りました。

しかし、2020年になり、また値段が高くなってきました。昨年はUS$2ぐらいだったのが、2020年には13,000-13,500リエル(US$3.18-3.30)/kgと高くなっています。

写真: 繁殖して生まれた子豚のなかで、自分で飼育するために残している2頭の子豚


現在、カンボジア国内の供給が足りておらず、2,000-3,000頭の豚を輸入しなければならない状況で、カンボジア政府農林水産省も輸入を制限し、カンボジアの畜産農家が国内需要を満たし、将来的には輸出ができるような政策をとろうとしています。

これは、カンボジアの農家への大きな支援になります。そして、養豚農家にとって重要なのは、輸入される豚と競合するのではなく、差別化をして、飼育することです。


チュオンさんも、糠や米クズに空芯菜やチャイヤ、モリンガなどのカンボジアの家の周りに生えている野菜を混ぜて、自分で作っているそうです。「こうした自然の飼料を食べて育つ豚は、健康に育っています。」と話してくれました。

写真: 家畜銀行から貸し出している妊娠をしている雌豚


豚舎も全く臭いがなく、驚きました。綺麗に掃除もしてあり、近づいても臭くありません。 


誰が豚を購入してくれるのか聞いてみると、同じカムリエン郡の街の中心で、豚をたくさん飼育している人が、買いに来てくれるそうです。

この飼育方法で飼育された豚を購入したく、予約まで入っているそうです。他にこうしたやり方で飼育している農家が少ないようです。

写真: 農業専門家から村に生えている野菜を組み合わせて豚の餌を作る方法のアドバイスを受けるチュオンさん


ロカブッス村の豚銀行は、4世帯から開始し、現在8世帯まで増やすことができました。これまでに5世帯で、合計US$9,377.5の収入につながっています。 


豚飼育にもリスクがもちろんあり、昨年はアフリカ豚コレラがカンボジアでも流行し、大きな打撃を受けた養豚農家もいます。また豚肉の値段が下がる可能性もあります。


こうしたリスクに対処できるように、できるだけ別の収入源の確保も進めています。養豚とともに、その他の家畜の飼育も組み合わせられるように、家畜銀行を広めていければと思います。

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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰

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