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【カンボジア】様々なリスクに対処し、助け合いながら生活する地雷被害者世帯

【アジアレポート/2020年6月_Topic02】


カンボジアのバッタンバン州カムリエン郡の障がい者100世帯への生計向上支援も、4年目に入りました。隣国でのベトナム戦争に巻き込まれて以来、グローバル経済に翻弄されてきたカンボジアの農民たちが、どうそのリスクを理解して、対処しながら、自立して生活をしていけるのかを考えてきました。そして2020年の前半は、まさに様々なリスクが次々に押し寄せてきた時期となりました。


今回は、対象100世帯の一人である地雷被害者のメイ・ソーンさんにお話を聞きました。1955年生まれのメイ・ソーンさんは、お孫さんと奥さんの3人で暮らしています。

地雷の事故に遭ったのは、1996年。戦場から帰る途中、ロシア製のPMNという対人地雷を踏みました。ソーンさんは、事故に遭って失望し、すぐに自殺しようと考えました。

しかし、ソーンさんのいた部隊の兵士達や軍医が救助してくれたおかげで、森の中からハンモックで運び出し、その後、トラクターに乗せ、最後はピックアップトラックで病院まで運んでくれました。現在のような舗装された道ではないため、気の遠くなるような時間だったと思います。

この病院は、実は当会が支援しているプレア・プット村で現在小学校として使われている建物です。ソーンさんは、この事故で左足の膝から下を切断しました。

【アジアレポート/2020年6月_Topic02】

写真:毎朝ヤギの餌となる草を刈りに行くソーンさん


ソーンさんは、当会が支援する前は、鬱のような状態で、お酒を大量に飲んだり、仕事がなく、何かをするあてもなく、友達と出歩いたりしていました。奥さんが日雇い労働をして、日当を稼いでいましたが、家族はバラバラの状態でした。

2017年に当事業が始まり、ソーンさんは1年目に養鶏訓練を受け、鶏5羽の貸し出しを受けました。その最初の養鶏訓練で印象的だったのは、訓練の休み時間になっても、農業の専門家たちと鶏の飼育について話をしていたことです。もともと鶏は飼っていたそうですが、どうしても病気になって死んでしまい、うまく繁殖させることができなかったと言います。

ソーンさんの努力が実り、鶏ではこれまでに貸し出した5羽から繁殖させてUS$250、自分の飼っていた鶏から繁殖させたものを入れるとその倍以上の収入が入ってくるようになりました。

鶏の他にヤギを2年目に貸し出しを受け、ヤギの飼育でも収入が入ってくるようになりました。ヤギではUS$240の収入になり、さらに現在8頭を飼育しているところです。

写真:家を訪問したバッタンバン農林水産局の職員に鶏飼育の説明をするソーンさん

ソーンさんは、自分で毎日できる仕事あり、とても嬉しかったそうです。次第にお酒を飲む量も少なくなり、幸せを感じられるようになりました。そして、出稼ぎに行っていた奥さんも、以前のように日当を稼ぐのをやめ、家でソーンさんと一緒に家畜飼育や野菜栽培を手伝ってくれるようになりました。野菜栽培では、水がある雨季には毎日US$2.5の収入があります。

 

また、鶏が病気で死ななくなったので、近所の人たちが理由を尋ねにくるようになり、自分で作った薬草の発酵液を分けたり、野菜や鶏を分けてあげたこともあるそうです。そうすることで、近所の人たちとのコミュニケーションも活発となり、近所の人たちもお返しにスイーツや飲み物、フルーツ、お金や、お米をくれたりするようになったそうです。

 

今年初めに家の前にある龍眼の畑で、畑のオーナーが開花させるための農薬を撒いたため、風邪で飛んできた農薬で、鶏が大量に死んでしまいました。それでも生き残った数羽の鶏を再度繁殖させ、現在では100羽近くまで増やすことができました。

また、新型コロナウイルスの影響でタイへ出稼ぎへ行ってお金を稼いでいた方々は、国境が3月から封鎖された為、大きな影響がありました。しかし、ソーンさんの家では出稼ぎに行くのはすでにやめ、自分の家でできる活動に移行していたため、ほとんど影響がありませんでした。

一方で、水不足の方が深刻でした。ソーンさんは、今、家畜の飼育を拡大させ、収入を確保しながら、雨が降ったら、野菜栽培も再開する計画をしています。

 

このように様々なリスクや問題に直面しながらも、複数の収入源を確保したり、食料を自給したり、近所とのいい関係性を構築することで、お互いに助け合い、しなやかに対処しながら生活していることが分かりました。そして何よりソーンさん自身が、家畜の飼育や野菜の栽培をしていくことに幸せを感じてくれ、嬉しそうに話をしてくれるのが、とても嬉しいです。

 

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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰

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