来週の第2回・武器貿易条約(ATT)締約国会議を前に~条約の「骨抜き」を食い止め、武器貿易の透明性向上を~

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来週の第2回・武器貿易条約(ATT)締約国会議を前に~条約の「骨抜き」を食い止め、武器貿易の透明性向上を~

プレスリリース
2016年8月16日
認定NPO法人テラ・ルネッサンス

報道関係者各位

 

来週の第2回・武器貿易条約(ATT)締約国会議を前に
~条約の「骨抜き」を食い止め、武器貿易の透明性向上を~

 

今年も終戦の日が過ぎました。それは、日本の多くの人にとっては、いつもと変わらない、忙しく平穏な日だったかもしれません。あるいは、核兵器の廃絶をあらためて祈る機会だったかもしれません。

 

一方で、テラ・ルネッサンスが支援を行うコンゴ民主共和国やブルンジなどの国においては、この日もいつもと変わらず、終わらない紛争あるいは紛争の爪痕に直面する人々がいました。そして、現地の人々がどれほど祈っても、紛争地に大量の通常兵器が流れ込み使用される状況が大きく変わる兆しは見えません。

 

1990年代以降、世界の武力紛争で実際に使われる通常兵器の貿易を規制する必要性が叫ばれました。そして、国連での長い交渉の結果として、2014年に武器貿易条約(ATT)が発効しました。昨年8月には第1回締約国会議が開催され、来週8月22-26日にはジュネーブで第2回締約国会議が開催されます。

 

しかし、現在、ATTについては、当のATT締約国によって「骨抜き」にされつつあることが危惧されています。懸念されている主なポイントは、次の2点です。

 

◆第1に、昨年8月の第1回締約国会議では、2016年5月までに締約国が自国の武器輸出入に関して提出する報告書の書式案が検討されましたが、これは非常に不透明な様式であり、条約上の報告義務がある全ての兵器を網羅していないとの批判も受けています。また、この案では、締約国が自国の報告書を一般公開するかどうか選択できる形になっています。加えて、ATTでは、「商業上機微あるいは国家安全保障に関わる」武器輸出入情報は報告書に記載しなくてもよいことになっていますが、この案では、報告書から除外した情報の有無について、明らかにするかどうかを各締約国が選択できる様式になっています。

 

昨年の第1回締約国会議では、この書式案に「留意」しつつ、第2回締約国会議に向けて検討を加えることになりました。しかし、今年5月末に提出締切を迎えた報告書を提出した国の多くは、この不透明な書式案に沿って自国の報告書を作成してしまいました。しかも、締約国の約半数(日本も含む)は、締切までに報告書を提出しませんでした。さらに、提出した報告書を非公開にしている国もみられます。

 

◆第2に、サウジアラビアがイエメンでの武力紛争に軍事介入を開始した2015年3月以降に、イギリス、フランス、ドイツをはじめとするATT締約国がサウジアラビアに大量の武器を輸出したことについては、条約違反だと指摘されています。

 

この間、イエメンでは、サウジアラビアによる無差別な攻撃により多くの民間人が命を落としました。2016年2月には、国連事務総長もサウジアラビアによる空爆を非難し、同国に武器を輸出すべきではないと訴えました。今月22-26日の第2回締約国会合に向けた準備会議において、NGOは締約国に対して、条約違反の可能性がある事例を取り扱い議論することを訴えましたが、現在まで議論はほぼ行われていません。

 

◆テラ・ルネッサンスの提言◆
テラ・ルネッサンスは、第2回締約国会議において報告書の書式を大幅に改善し、全ての報告書の公開を決定することを求めます。また、ATT違反が指摘されている武器移転について、今回の締約国会議および今後のプロセスにおいて十分な議論や検証がなされることを求めます。

 

◆第2回締約国会議に向けた争点解説が発表されました◆
テラ・ルネッサンスのポリシー・アドバイザーの榎本が、先月に明治大学国際武器移転史研究所より発行された『国際武器移転史』第2号に、第2回締約国会議に向けた争点の解説を執筆いたしました。以下リンクより無料でダウンロードいただけます。詳しくは、この論考をご覧ください。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~transfer/paper/

 

◆お問い合わせ先: 以下アドレスまで、メールにてご連絡ください。来週の締約国会議にも出席します◆
認定NPO法人テラ・ルネッサンス(担当:榎本): enomoto@@terra-r.jp (@を1つにして送信ください)

 

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