【特別寄稿】「元子ども兵」社会復帰支援事業20周年に寄せて
今年、テラ・ルネッサンスは「元子ども兵」の社会復帰支援に取り組み始めて20年目の節目を迎えました。これまで活動を続けてこられたのは、支援者の皆さまが共に歩んでくださったおかげです。
テラ・ルネッサンスの元子ども兵社会復帰訓練施設「スマイルハウス」の建設に深くかかわってくださった支援者の、松緑神道大和山 教主でいらっしゃる田澤清喜先生に寄稿文をいただきましたのでご紹介いたします。
「元子ども兵」の社会復帰支援事業20年に寄せて
ウガンダにおける元子ども兵の存在を知ったのが、21年前でした。
2004年、松緑神道大和山世界平和活動30周年にあたり、平和活動のあり方を再検討し、「支援する側、される側」という感覚が私自身にあるのではないかと問いかけていた時期でした。鬼丸さんからお聞きした元子ども兵は、出会うべくして出会った神様からの導きのように感じました。
2005年、スマイルハウス建設から活動を共にさせていただきました。施設が完成した折、鬼丸さんから名前を付けていただきたいとの依頼がありました。元子ども兵の悩みは何か。希望、夢とは何か。いろいろと思案しましたが、なかなか決まりません。悩みながら考える私の顔になかったものは笑顔でした。子どもたちが喜んで生きる施設を作りながら、私の顔は悩んでいる顔でした。笑顔は、お金も場所も時間がなくても作ることはできます。自身の喜べる心があれば、いつでも、どこでも、だれでも、いつまでも笑顔になれます。しかし、子どもたちはその笑顔になることが本当に難しく、チャレンジし続けなければいけないのではないかと。手に職をつけるとともに、自然に笑顔になれる居場所であってほしいと願い「スマイルハウス」と名付けました。

建設中のスマイルハウス

スマイルハウスの前で遊ぶ元子ども兵の子どもたち
2006年に「里親運動」を提案させていただきました。自分の親に対して非情な行為をしなければ生きる選択肢のなかったことなど、聞けば聞くほど、どのように寄り添えばよいのか見えなくなりました。子どもが悩んでいる時に、ずっと寄り添ってくれる存在とは何かを考えました。血も人種も国も言葉も違いますが、「親になろう」という思いが、心に湧いてきました。子どもたちが親子関係を築きづらい環境があるなら、自分が親代わりとして共に進んでいきたい。もし、その子が道を踏み外したとしても、親としてできることをしたい。もし、不慮の事態によってお別れすることがあったとしても、御霊のご平安を祈り、寄り添っていきたい。将来のことは誰にも分かりませんが、まず先に「親になる」と宣言して、共に歩んでいきたいと心に決めました。その願いに賛同した当方の信者が、我が子として寄り添ってくれたことにより実現できた運動でした。
2016年に、里親運動が10年を迎えたことを機に、ずっと気になっていたことを鬼丸さん、小川さんにお話ししました。卒業した子どもが、その後どのような人生を送っているか知りたいというお願いです。社会復帰プロジェクト期間中は、「里親」としての関わりを持たせていただくことはできますが、「親」としての関わる接点がないことの寂しさと、無責任になっている感覚を覚えたからです。私も短期間ではありますが、国際NGOで勤務しました。その間、たくさんの団体の支援を見ることができました。支援活動には、どこまでを支援するかの区切りを決めることが難しいプロジェクトもあります。元子ども兵社会復帰プロジェクトも、その子の人生のどこまで支援するかが難しいところです。しかし、「親」なので気になることでした。お二人にお話ししたところ、すぐに調査を始めてくださり、たくさんの卒業生が自立し、生計を立てて歩んでいることを知り、責任の一つを果たせた思いでした。
当団体の教えに「もろもろの人の悩みをわがことに 思うぞ教(のり)のはじめなりけり」とあります。多くの方々の悩みを知ることを通して、その方々と共に生きようとする自分であることの気づき、その方々と共に具体的に進むことのできる自分の可能性、そして共に高め合い、生き切ることのできる私たちであることへの励ましと受けとっています。
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2025年8月 スマイルハウスの前に集まった元子ども兵とスタッフ、日本からのスタディツアー参加者
元子ども兵社会復帰支援において、たくさんの笑顔を生み出すことができたのは、鬼丸さん、小川さん、トシャさん、吉田さん、ウガンダ事務所の皆さん始め、テラ・ルネッサンススタッフの皆さんが、子どもたちと共に歩み、寄り添い続けてこられた願いと行動があったからです。また、このプロジェクトに賛同し、共感し、共に生きようとする多くの方々の思いと行動があったからです。そして、その願いと思いを力にして、自身の可能性を信じ、歩み続けた元子ども兵の皆さんがあったからです。
「する側、される側」の支援ではなく、「共に生きるため」の支え合いであることの大切さを20年のご縁から気づかせていただきました。
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松緑神道大和山 教主
田澤清喜
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