【タイ】ミャンマー国境メラ難民キャンプでの医師派遣支援を開始。タイから平和の輪を広げる新たな挑戦
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【2026年4月 活動レポート/タイ】

こんにちは!タイ事務所の伊藤です。
私は先日、タイ北部ミャンマー国境沿いにあるメラ難民キャンプを訪問しました。
バンコクからバスを乗り継いで約11時間。検問を抜け、切り拓かれた山岳地帯には、約3.6万人の人々が暮らしています。
キャンプ内にはトタン屋根と枯れ葉で作られた家々がひしめき合い、学校、小売店、病院、役所が揃う、まるで1つの村のような場所でした。
突然の資金カット。ミャンマー難民キャンプが直面する閉塞感
ミャンマー国境のタイ側には9つの難民キャンプがあり、約10万人が暮らしています。
そのうちの最大規模のメラ難民キャンプの歴史は1984年から始まり、すでに40年以上が経過しています。隣国ミャンマーでの長引く紛争から逃れてきた人々が身を寄せるこの場所は、現在、深刻な危機に直面しています。
人口の3割を29歳以下の若者が占めていますが、キャンプ内の学校を卒業しても、その資格はタイ政府に認められません。大学へ行くことも、外で自由に働くことも困難な中、将来への希望を見出せない若者たちが、薬物やアルコールに依存してしまうケースが後を絶ちません。
そこに追い打ちをかけるように、USAIDなどの国際的な支援が突如停止されました。これにより、人々の暮らしの根幹にある医療や食料も大きな問題に直面しています。
3.6万人に対し医師はわずか2名。医療現場の限界
病院の中核である医療体制は、今まさに崩壊寸前です。
現在、毎日200名以上の外来患者が訪れるこの病院で、対応している医師はわずか2名です。
かつては400名の医療スタッフが在籍していましたが、国際的な資金削減により236名まで減少しました。スタッフの給与が1〜2か月遅延することも多々あり、家族を養うためにトウモロコシ畑での日雇い労働へ移らざるを得ない人も少なくありません。
こうした危機的な状況から、住民の精神状態も深刻化しています。2026年に入り、わずか3ヶ月で6名が自ら命を絶ちました。昨年一年間の自殺者が3名だったことと比較すると、事態の悪化は明らかです。
「もう病院に運ばれてくる頃には、手遅れの状況なんだ」
そう語るスタッフの一人、トゥ・ロー・エーさんの表情は、本当にやり切れないものでした。


キャンプ内の病院の様子
「住民を必死に支える彼らのことは、一体誰が守るのか?」医師派遣支援の開始
病院で働く医療スタッフの多くもまた、ミャンマーから逃れてきた難民です。彼らは自らも厳しい生活の中にありながら、住民の命と尊厳を守るために日々尽力しています。
その勇気ある姿を目の当たりにし、私は強く思いました。
「過酷な環境で、スタッフたちは住民のために人生を捧げている。では彼らのことは一体誰が守るのだろう?」
テラ・ルネッサンス(タイ法人IV-Thailand)では、この深刻な医療崩壊を少しでも食い止めるため、新たに医師派遣支援を開始いたしました。
私たちが今、医師を送り、医療を絶やさないことは、単なる緊急支援ではありません。
それは、国際的な支援が届かない中で、必死に命を繋ぐスタッフに、「あなたたちには支える人々がいる」という連帯のメッセージを送ることだと思うのです。

メラ難民キャンプにて。左:テラ・ルネッサンススタッフ 右:現地医療スタッフ
タイ国内でのクラウドファンディング 現地から世界へ平和を問う
今回の医師派遣支援に伴い、タイ国内においてクラウドファンディングをはじめとした資金調達を行っています。
タイ国内クラウドファンディング詳細:
จัดจ้างแพทย์เพื่อทำงานในค่ายผู้ลี้ภัยบ้านแม่หละ
Securing a Dedicated Doctor to Support Refugees in Mae La Camp

(URL:https://taejai.com/en/project/sck-doctor-mae-la-temporary-shelter)
私たちは、日本からの支援を届けるだけではなく、タイ国内においてもこの現状を広く啓発していくことが重要だと考えています。
実は、この難民キャンプでの問題は、タイ国内でもあまり知られていません。このクラウドファンディングを展開することは、タイの人々にとっても、足元にある難民問題、ひいては世界の平和について共に考え、行動する機会となります。
地雷や子ども兵、そして難民問題といった世界で起きている課題を、世界各地で伝え、一人ひとりが問題意識を持つこと。そして、その地域の人々と共に解決の輪を広げていくこと。このプロセスが、世界が平和に近づく一歩になると信じています。
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記事執筆/
国際運動推進部タイ事業担当
伊藤あかり



