実は「寄付をする人」が、一番幸せ
── 大石豊司代表・秋吉栄治氏が語る、テラ・ルネッサンスと歩む理由
取材日:2026年5月14日 取材場所:税理士法人 大石会計事務所
取材・文:鈴木竜太(認定NPO法人テラ・ルネッサンス 啓発事業部)
多摩地域を拠点に、中小企業の経営を税務・財務の両面から支えてきた税理士法人 大石会計事務所。1989年の創業以来、代表の大石豊司氏は「会社は、おとなが人として成長できる場である」という経営哲学を一貫して実践してきました。その大石氏は、2023年より法人サポーターとしてテラ・ルネッサンスをともに歩んでくださり、今年2月に発足したテラ・ルネッサンス・サポーターズクラブ(TSC)多摩の初代会長でもあります。
「寄付という行為には、寄付をする人・支援をする人・支援を受ける人がいます。でも、この三者の中で一番幸せなのは、寄付をする人だと私は思っているんです」
インタビューの冒頭にこう語ってくださった大石代表の言葉には、経営者としての哲学と、人として大切にしてきた価値観が、静かにしかし確かに宿っていました。今回は大石代表とともに、TSC多摩の事務局としても運営を支えてくださっている秋吉栄治氏にも加わっていただき、テラ・ルネッサンスとの出会いや、ともに歩む理由について伺いました。
1 「この人物は、一体何者だ」——衝撃から始まった出会い

———テラ・ルネッサンスとの出会いについて、教えていただけますか。
大石さん:活動の内容ももちろんですが、それ以上に鬼丸さんそのものに惹かれました。話の上手さ、人柄、情熱——そういったものが、まっすぐ響いてきたんです。
———「アフリカ」「元子ども兵」「紛争地」——それまで意識を向けてこなかった世界が、鬼丸の言葉によってひとつひとつ確かなものになっていった、と。秋吉さんも同じ衝撃を受けられたとお聞きしました。
秋吉さん:誰かのために何かしたい。その気持ちは自分の中にもある。でも、実際には何もできていないし、何をすればいいかもわからない。そういう悶々とした気持ちが、鬼丸さんを通して少し溶けた気がしました。理屈じゃなく、直感的に、純粋に応援したいと思いました。
2 自分たちがそう思っていたことを、体現してくださっている

———数多く存在する社会貢献団体の中で、なぜテラ・ルネッサンスをここまでご支援いただいているのでしょうか。
大石さん:自分たちにはできないことを、誰かがやってくれている。しかも、自分たちも大切にしたいと思っていたことを、まさに体現されている。そこへの共感と、だからこそ協力したいという思いです。テラ・ルネッサンスの最大の特徴は「支援するだけではない」という姿勢だと、私は思っています。
秋吉さん:私も、他の支援活動との違いはそこだと思っています。食料を届けることも、命をつなぐために大切なことです。でもテラ・ルネッサンスは「支援する」のではなく、相手が自立することのお手伝いをしている。それが本当にすごいと思っています。
———「自立」というキーワードは、御社の人材育成とも通じるところがあるのではないでしょうか。
秋吉さん:自分たちの会社でもすごく役立つ考え方なんですよ。相手の違いを受け入れながら、自立を促していく。テラ・ルネッサンスの活動から学ばせていただいていることはとても多いです。

3 集まる方々が素晴らしいから、私が学ばせていただく
———TSC多摩の初代会長をお引き受けいただいた経緯も、ぜひお聞かせいただけますか。
大石さん:元々そういった役割はずっと避けてきたんです(笑)。ただ、TSC多摩の設立に向けて尽力くださっていた猪股さんが側面からサポートしてくださるというのがあって。何より、そこに集まってきてくださる方々が素晴らしい——私自身が学ばせていただくつもりでお引き受けしました。
———TSCに集まってくる方々について、どのような印象をお持ちですか。
大石さん:「自分たちだけが上手くいけばいい」とか「儲かればいい」という方は来ないんじゃないですかね。TSCはテラ・ルネッサンスの活動理念に共感し、共に歩もうとしているコミュニティだから、「誰かの助けになりたい」「世の中を良くするための力になりたい」といった価値観が重なり合う部分を持った方々が自然と集まってくるんだと思っています。
4 実は「寄付をする人」が、一番幸せ
「寄付という行為には、寄付をする人・支援をする人・支援を受ける人がいます。でも、この三者の中で一番幸せなのは、寄付をする人だと私は思っているんです」(大石代表)
———「寄付をする人が一番幸せ」という言葉、もう少し詳しく聞かせていただけますか。
大石さん:寄付そのものには、対価というものはありません。でも、「役に立てた」という実感よりも、もっと深いところで心が満たされる感覚があります。お金を払って、逆に幸せを分けてもらっているような——そんな言い方をすると変かもしれませんが、そういう世界があるんだな、とずっと思ってきました。
———秋吉さんは、会社としての参加という観点からはいかがですか。
秋吉さん:シンプルに、会社にとってプラスだと思っています。社員にとってもいい影響があるし、社風にも繋がる。誰かの役に立っている方が本来は幸せで——それは綺麗ごとじゃなくて、長く良い会社でいるための基盤になると感じています。

5 Business for Peace——価値観が合う人が地域に増えると、世の中が変わる
———テラ・ルネッサンスが掲げる「Business for Peace」——ビジネスは本来、平和のためにあるものではないかという考え方は、大石代表の仕事観とも重なる部分があるとお聞きしました。
大石さん:うちは、理念や人生観が合った方々をできるだけ採用したい——そうずっと思ってきています。そういうスタッフがお客様のところへ行って、良い仕事をする。そんな会社が地域に増えていくと、地域社会も変わっていく。「Business for Peace」という考え方に共感してくださる方々の集合体が、TSCのようなコミュニティになったらいいなと思っています。
アフリカの紛争地で起きていることと、多摩の中小企業の経営——一見無関係に見えるこの二つは、「人の尊厳を大切にする」という一本の糸でつながっています。それがテラ・ルネッサンスとともに歩む、大石会計事務所の視座です。
6 「まず一度、話を聞いてみてください」
———最後に、テラ・ルネッサンスのことが気になっている方や、関わりを考えている方へ、メッセージをいただけますか。
大石さん:一度、鬼丸さんの話を聞いてください。それだけです。私たちはどうしても言葉にするのが上手くないけれど、鬼丸さんの話は心を動かします。まず聞いてもらうことで、あとは自然に伝わっていく。そう信じています。
秋吉さん:慈善活動だから、ではなく——会社にとってシンプルにプラスになると思っています。そう感じていただけたら、一緒に歩んでいけると思います。

取材後記
インタビューを終えて、僕の口から真っ先に出たのは「癒されるなぁ」という言葉でした。その理由は、お二人の言葉の端々にあったように思います。
大石先生の語り口には、押しつけがましさがなく、ただ静かな確信がありました。「寄付をする人が一番幸せ」という言葉は、道徳の教科書に書かれているような正論ではなく、長年の経営と人生の積み重ねから、自然とにじみ出たものでした。だからこそ、すっと心に入ってきたのだと思います。
そして、秋吉さんの言葉には、現場で積み上げてきた実感が宿っていました。「会社にとってプラスになる」という表現が力を持っていたのは、それが慈善の文脈からではなく、経営の現実の中から語られた言葉だったからです。
「一度(話を)聞いてほしい」というメッセージは、僕たちスタッフが発するよりも、長年ともに歩んでくださった支援者の方から発せられたときのほうが、きっと違う重みで届くのだと、その様に感じました。(鈴木)
出演者プロフィール
大石 豊司(おおいし・とよじ)
税理士法人 大石会計事務所 代表社員税理士
1959年、山梨県河口湖町(現富士河口湖町)生まれ。大学卒業後、山梨中央銀行に入行。入行3年目に税理士試験の学習を始め、1985年に退路を断って銀行を退職。1987年に税理士試験官報合格。1989年、東京・国分寺の木造アパート一室に夫婦二人で大石会計事務所を開業する。
「会社は、おとなが人として成長できる場である」という経営哲学のもと、人材育成・理念経営を実践。2009年に現在地(国立市)の200坪超のビルへ移転し、スタッフ数50名体制に。2014年に「第2回会計事務所甲子園」準優勝。2016年・2018〜2021年にGPTW「働きがいのある会社」ランキング(従業員100人未満部門)に計5度選出される。
テラ・ルネッサンス・サポーターズクラブ(TSC)多摩 初代会長。著書に『中小企業を長く続ける社長の指南書』『経営以前の社長の教科書』ほか。
秋吉 栄治(あきよし・えいじ)
税理士法人 大石会計事務所 所属
税理士法人 大石会計事務所所属。TSC多摩 事務局として、サポーターズクラブの運営を支えてくださっている。
出演者・聞き手
出演 大石 豊司 氏(税理士法人 大石会計事務所 代表社員税理士)
秋吉 栄治 氏(税理士法人 大石会計事務所)
聞き手 鈴木 竜太(認定NPO法人テラ・ルネッサンス 啓発事業部 ファンドレイジングマネージャー)
※ 内容および出演者の所属・肩書は2026年5月現在のものです。



