企業向けセミナー「【第2回】責任ある鉱物調達の新潮流-なぜ、認証だけでは紛争鉱物問題は終わらないのか-」開催
2026年10月8日、合同会社継青堂(けいせいどう)、世界人権問題研究センターとの共催で、企業向けセミナー「責任ある鉱物調達の新潮流-なぜ、認証だけでは紛争鉱物問題は終わらないのか-」を実施しました。
スマートフォンなどに使われるレアメタルをはじめ、世界では鉱物資源をめぐる争いが起きています。テラ・ルネッサンスの活動地域であるコンゴ民主共和国東部でも、鉱物資源の支配をめぐる争いや、採掘・取引による収益が武装勢力の資金源となることが、数十年にわたる紛争を長引かせる一因となっています。
テラ・ルネッサンスは、現地で支援に取り組むNGOの立場から、企業や専門家と連携し、この問題の解決に向けて取り組んでいます。その一環として、現地の実情を共有し、企業の責任ある鉱物調達を通じて何ができるかをともに考えるため、本セミナーを共同開催しています。
今回は2025年12月10日に実施したセミナーに引き続き、第2回の開催となりました。
登壇者には、東京大学特任講師/NPO法人RITA-Congo代表理事の華井和代氏、継青堂代表執行役の樋口利紀氏をお迎えしました。また、当会理事長・吉田真衣も登壇しました。
紛争鉱物の市場への流入を防ぐための制度として、認証制度があります。しかし、認証制度だけでは紛争鉱物の流入を十分に防ぐことはできません。
責任ある鉱物調達を行うためにはさらにどのような取り組みを行う必要があるのか、サプライチェーンの下流から上流へ遡るようにして、企業の現在地、制度上の課題、現地の実情という3つの観点から講演が行われました。

企業の現在地
最初に、樋口氏から、紛争鉱物問題における企業の現在地についてお話しいただきました。
鉱物調達において、企業は、トレーサビリティの欠如、対応負荷の増加、一社・一部門だけでの対応の難しさ等の問題を抱えています。
そのような問題に対して、企業が多く取っている3つのアプローチについての説明、企業の公開情報をもとにした具体的な取り組み例の紹介がなされました。
また、認証制度は企業の実務の基盤となっている一方で、上流における複雑な社会課題は見えにくいこと、これまでの取り組みを土台に、現地の実情を企業の意思決定へどう接続できるかが重要となることについてもお話しいただきました。

制度上の課題
続いて、鉱物調達の制度上の課題について、華井氏からお話しいただきました。
現在、国連機関やNGO、企業によって、武装勢力などを経由しない正規ルートで鉱物を調達するための規制や取り組みがなされています。しかし、サプライチェーンの上流では、まだ軍や武装勢力に資金が流れてしまっているのが現状です。
こうした状況の根には、紛争鉱物の問題だけでなく、奴隷貿易や植民地支配に始まる、約500年にわたるコンゴの歴史があります。そのため、10年や20年で解決できる問題ではありません。また、規制制度によって鉱山からは武装勢力が撤退したものの、周辺道路にはまだ武装勢力が存在していたり、他の鉱物に比べて密輸しやすい金へ資金源が移ったりと課題が残されています。
このような現実に対して、視野を広く持ちながら、できることをひとつひとつ重ねていくことが大切だとお話しいただきました。

現地の実情
最後に、テラ・ルネッサンス理事長の吉田から、現地コンゴの実情について講演がありました。
コンゴ東部は、現在政府とM23による二重統治が行われているなど、紛争や武装勢力の支配が続いており、深刻な人道危機が起こっています。
このような状況の中で、企業は、不買と認証という大きく2つの対応を行ってきました。ですが、不買は闇市場や武装勢力への依存度を高める恐れがある、認証は具体的な暮らしの改善には繋がりにくい、という問題点があります。
これらの問題を解決するため、誰がどのようなアプローチを取れるのか、またテラ・ルネッサンスはどのような実践を行ってきたのかについて説明がありました。

質疑応答
講演終了後は質疑応答の時間が設けられました。
参加者の方々からたくさんの質問をいただき、それらに対して登壇者それぞれの視点から返答があり、とても有意義な時間になっていたと感じられました。


インターン生である私も講演を聴講させていただいたのですが、知らないことが多く、とても勉強になりました。
問題の複雑さ、規模の大きさに圧倒されてしまう部分も多々ありましたが、今回知ったことを忘れず、現状に少しずつでも向き合っていきたいと思いました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
テラ・ルネッサンスでは、引き続きこうしたセミナーを企画していく予定ですので、関心のある方はぜひご参加ください。
執筆:インターン 小林茉衣



