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【第31回 TSC東海定例会開催レポート】  

     

何者でもない私たちが、運を引き寄せる!

ラッキーマン 若山陽一郎氏に学ぶ「恩送りの法則」とチームビルディング

     

   

2026年8月28日(金)、名古屋・ウインクあいちにて第31回TSC東海定例会を開催しました。今回のテーマは「恩送り」。ゲスト講師には、株式会社和愛グループ代表取締役の若山陽一郎氏をお迎えし、ご講演・ワークショップ・トークセッションの3部構成で、じっくりと学びを深める会となりました。

  

冒頭では、テラ・ルネッサンス啓発事業部ファンドレイジングマネージャーの鈴木竜太(すずりゅう)より、活動紹介と近況報告をお伝えしました。地雷・小型武器・子ども兵・平和教育という4つの課題に、カンボジア・ラオス・ウガンダ・コンゴ民・ブルンジ・ウクライナなど10カ国で取り組んでいること、そして東海地方の経営者・事業主の皆様に、日頃から法人サポーターとしてこの活動を支えていただいていることへの感謝をお伝えしました。

     

    

      

講演 若山陽一郎氏『恩送りの法則』〜波乱万丈の先で見つけた、運を引き寄せる生き方〜


   

     

若山氏はまず、「自分の人生を波乱万丈だと感じている」と切り出しました。学生時代にダンスと出会い、TRFのバックダンサーとして上京。しかし挫折を経験して帰郷し、その後いくつもの挑戦に失敗を重ね、27歳の時には1,200万円を超える借金を抱えるまでに追い込まれます。「本当に死んだ方がマシだと思うほど、生きているのがつらかった」と、当時の心境を率直に語ってくれました。

      

◆ 師匠の一言「一番嫌なことをやりなさい」

どん底で相談した師匠から言われたのは、「好きなことばかりやって全部失敗したんだから、逆に一番嫌だと思うことをやりなさい。世の中の人がみんな嫌だと思っていることをやれば、きっと『ありがとう』と言われる。人からありがとうと思われなかったから、お金は集まらず、むしろ逃げていったんだ」という言葉でした。求人誌をめくり、一番やりたくないと思った不用品回収業に飛び込んだことが、現在の株式会社和愛グループの原点になったといいます。

     

実際にやってみると、「ありがとう」「あなたが来るのを待っていたのよ」という声をたくさんかけてもらえる仕事だったと若山氏。ある女性経営者から「あなたの名刺を全部ちょうだい!」と、持っていたすべての名刺を渡したことをきっかけに仕事の紹介が続き、事業は軌道に乗っていきました。現在は次世代型リサイクルショップ「バナル」も展開し、昭和レトロ・ヴィンテージブームも追い風に、週末には行列ができる店へと成長しています。

        

      

      

◆ 一杯のカレーライスから始まった恩送り  

借金を抱えていた頃、財布に400円しかない状態で入ったカレーハウスCoCo壱番屋で、店員から温かい接客を受けた若山氏は、感謝の気持ちを一枚のはがきに書いて投函しました。1か月後、届いた封筒には創業者・宗次徳二氏からの直筆の手紙と、3,000円分の食事券が入っていたといいます。「まさか本当に届くとは思わなかった」と当時を振り返り、この出来事がその後の生き方を大きく変えるきっかけになったと語りました。

     

その後、不用品回収の仕事を通じて出会った女性経営者の紹介で、若山氏は宗次氏本人と再会します。「いつか宗次さんのように、若者を本気で応援できるかっこいい大人になりたい」と伝えた若山氏に、宗次氏がかけた言葉は「君の人生はいつか本になるよ」というものでした。このとき受け取った「社会に貢献しなさい」「色んな世界を見なさい」という2つのアドバイスが、後の21か国を巡る世界一周一人旅、そしてカンボジアの子どもたちとの出会いへとつながっていきます。

    

   

◆ 旅の途中で受け取った「愛」についてのメッセージ

世界一周旅行の道中、ギリシャで出会った日本語を話す女性から「あなたが今日ここに来る」という不思議な導きを受け、サントリーニ島で人生を変えるメッセージを受け取った出来事も紹介されました。「目の前にあるペットボトル一つにも、誰かが誰かを思いやる愛が込められている。それに気づいて使う人と、気づかずに使う人とでは人生が変わる」という言葉に触れ、若山氏は「愛とは何か」という長年の問いへの答えを見つけたといいます。この気づきが、帰国後の人間関係や仕事の好転につながり、10年後には自身の半生を綴った書籍『ラッキーマン 何者でもない僕が何者かになる物語』の出版、さらにテレビ番組「奇跡体験!アンビリバボー」での再現ドラマ化という形で実を結びました。

   

「与えてもらったことを自分だけのものにせず、次の世代、次の人たちに手渡していく」―― この考え方こそが恩送りであり、若山氏はその実践として不用品回収・リユース事業の利益をカンボジアの学校支援などに充ててきました。今回、株式会社みんなのちきゅうが展開する不用品寄付プロジェクトを通じて、テラ・ルネッサンスへの支援につながったのも、この恩送りの延長線上にある取り組みです。

     

    

ワークショップ「恩送りを自社に置き換えたら」  


     

講演に続くワークショップでは、まず「恩送り」の考え方をおさらいしました。若山氏は、私たちが何気なく口にするお米一つをとっても、育てた農家、運んだ運送会社、売ってくれたお米屋など、たくさんの人の手を経て届いていることに触れ、「その恩に気づくと感謝があふれ、その感謝を誰かに送りたくなる。これを回していくと、世の中も人もどんどん良くなっていく」と説明しました。

    

また、人に何かをしてもらって嬉しいと感じる体験よりも、人に何かをしてあげて感動する体験の方が、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌量が多く、その効果も長く続くという研究にも言及。若山氏自身、電車であえて座席を確保しておき、必要な人に譲るようにしているというエピソードを紹介し、「小さな行動でも、与える側に回ることで人生が生き生きしてくる」と語りました。

    

   

    

◆ 経営者として大切にしてきたこと

自社の組織づくりについても、師匠から受け継いだ考え方が紹介されました。「社長が一番大切にしなくてはいけないのは、お客様ではなくスタッフ。大切にされたスタッフが多いほど、お客様を大切にできる人が増える」という言葉、そして仕事に向いていないスタッフがいても辞めさせるのではなく、その人に合う仕事を会社側が考えて用意するという方針を続けてきたことで、創業から15年近く、自ら辞めた社員はいないといいます。加えて、キャンプや旅行など上下関係のない時間を積極的につくること、スタッフが大切にしているものを会社としても大切にすることが、組織の一体感につながっていると語られました。

      

◆ 参加者によるグループワーク

後半は、「今の自分が誰のおかげでここにいるのか」を一人ずつ思い浮かべ、3人一組になってエピソードを共有するワークを実施。発表では、長野県から前日深夜に申し込み、当日は片道4時間かけて来場したという参加者が、「毎朝6時に配信しているYouTubeで、今日教わったことを紹介していきたい」と発表。また、看護師として働く参加者からは、「家族のいる職員と独身の職員が一緒にキャンプ企画をすることで、職場に活気が生まれるのではないか」というアイデアが共有され、会場からは共感の拍手が送られました。

    

      

トークセッション 若山陽一郎氏 × すずりゅう(鈴木竜太)


    

    

◆ なぜカンボジアを支援するのか

トークセッションでは、鈴木より「テラ・ルネッサンスがカンボジア支援を続ける原点」を質問。今から15年ほど前、若山氏が仕事を通じて知り合った岐阜県のあるお母さんは、パートで働きながら自らの収入の9割をカンボジアの孤児院の子どもたちに送り続けていました。誘われて現地を訪れた若山氏は、そのお母さんとカンボジアの子どもたち約30人が抱き合って泣く姿を目にし、「支援を通して自分の人生が豊かになった」というお母さんの言葉に心を動かされたといいます。

    

その後、そのお母さんはがんを患い余命宣告を受けます。「死ぬまでに学校を建てたい」という願いを聞いた若山氏は、残された時間の中で600万円という金額をどう集めるかを1週間悩み抜き、友人や地域の講演会・セミナーに毎週末足を運んでは「もし先生が同じ状況だったら何をしますか」と問いかけ続けました。こうして多くの人の協力を得て学校が完成した直後、そのお母さんは亡くなりましたが、最期に「今度はわっかん(若山氏のニックネーム)にバトンを渡す」という言葉を託されたことが、若山氏自身の活動の原点になっているといいます。

      

さらに若山氏は、20人限定でカンボジアを毎年訪れているツアーの様子を紹介しました。現地の子どもたちと1日中遊び、黒板の塗り替えや水道の補修を一緒に行うほか、来日した子どもたちが民族舞踊のツアーで得た収益を、さらに困っている別の子どもたちの支援や新しい学校の建設に充てていることを紹介。「支援してもらった自分たちが、次に困っている誰かのために動く」という恩送りの連鎖が、すでにカンボジアの子どもたちの間でも実践されていることが語られました。

       

◆ 元子ども兵の女性が起こした恩送りの連鎖

続けて鈴木は、ウガンダで武装勢力に拉致され数年間を子ども兵として過ごし、帰還後は村での差別に苦しんだ元子ども兵の女性の事例を紹介しました。テラ・ルネッサンスの支援を受けて初めて心穏やかに過ごせる時間を知り、洋裁の技術を身につけて自分の店を持てるまでになったこの女性は、貧困に苦しむ近所の人々に対し、自らの資金でミシン購入し、洋裁学校を開いて教えるようになりました。「自分が苦しいときに助けてもらったから、次は自分が同じように苦しんでいる人を助けたい」という恩送りは、テラ・ルネッサンスが支援してきた元子ども兵たちの間で自然に広がっているという話に、会場も静かに聞き入っていました。

     

◆ 質疑応答・参加者からの声

質疑応答では、「感謝の気持ちを持ち続けるための秘訣は何か」という参加者からの質問に対し、若山氏は「大切なことを紙に書いて、携帯の待ち受けや玄関、トイレなど、1日に何度も目にする場所に貼っておくこと。それを繰り返すうちに、意識しなくてもできる習慣になる」とアドバイスを送りました。

    

感想シェアでは、10年ぶりに定例会に足を運んだという参加者が「本当に素晴らしいお話だった反面、私は自分のことばかり考えていたことに気付かされ、とても落ち込んでいます」と声を詰まらせながら発言。鈴木は「まず自分ができていないと気づけたことが、次への一歩になると思うし、今日ここに来てくださったことが、僕たちは本当に嬉しいです」と応え、若山氏も同様に、「10年ぶりにあえて本当に嬉しかったです!」と、感謝の気持ちを伝えます。そんな二人の言葉を聞いた参加者は、「今日来て、本当に良かったです!」と、笑顔を取り戻しました。また、この日の学びをきっかけに法人サポーターへの入会を決めてくださった参加者もあり、会場からは温かい拍手が送られました。

    

    

おわりに


テラ・ルネッサンスが大切にしている言葉に、「微力だけど、無力じゃない」があります。今回のトークセッションの結びで、鈴木は「今日聞いて嬉しかったことを、いろんな人に伝えてほしい。それだけでも、誰かにこの喜びを送ることになる」と参加者に呼びかけました。

    

ほしい。それだけでも、誰かにこの喜びを送ることになる」と参加者に呼びかけました。

予定していた25分を大きく超えるほど熱の入ったトークセッションとなり、若山陽一郎氏、そしてご参加いただいた皆様に、TSC東海一同、心より感謝申し上げます。定例会終了後には懇親会も開催され、久しぶりの再会や新しい出会いを楽しむ時間となりました。

     

     

     

認定NPO法人テラ・ルネッサンス
啓発事業部ファンドレイジングマネージャー
鈴木 竜太

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