『だから、私も。』01.「誰一人取り残さない」にこだわり続ける ーウクライナ事業ー
中央カサイ州では、2017年に発生した大規模な戦闘により、100万人以上の人々が避難を余儀なくされました。州都のカナンガ市では、2018年時点で少なくとも2,600人の性暴力被害が報告されています。
そこでテラ・ルネッサンスは、2018年に国連開発計画(UNDP)とパートナーシップを組み、新たにカナンガ市に事務所を開設しました。支援を開始した国内避難民や紛争で家族を失った女性たち280名のうち、57%は紛争で夫を殺害され、94%は自分の子どもや家族を亡くしています。
今回は、自立した彼女たちが現在ビジネスを営んでいる、パイナップルジュースと石鹸の生産拠点、そして洋裁店を訪問しました。
■パイナップルジュース生産に取り組む女性たち
こちらは、3年前にパイナップルジュースの生産技術の訓練を修了し、自立をした紛争被害女性の相互扶助グループの様子です。自立後もフォローアップを続けていますが、現在もグループビジネスを継続しており、収入源を維持し続けています。
コロナ禍や昨今のウクライナ危機の影響も受けながらも、今でもパイナップルジュースを生産して、それを地元のホテルやレストランに卸しています。
対象者のほとんどは、数年前まで続いていた紛争によって、夫を殺されたり、子どもを亡くしてたりしています。夫に加えて2人以上の子どもを亡くした女性も少なくありません。そんな中でも、彼女たちは技術を習得して、今では生活を安定させることができています。
紛争被害を受けた人々の傷は、時間が経っても、完全に消えることはありません。彼女たちは、心に傷を抱えながら、さらに物価高や輸送コストの上昇などの様々な社会経済的な困難に日々直面しています。
そんな中でも、小さな楽しみや嬉しいことに素直に喜び、心から笑顔でいられる彼女たちの「たくましさ」や「生きる力」から、今の日本人が学ぶべきことは多いなあ、と考えさせられました。
■石鹸生産に取り組む女性たち
また、パイナップルジュース生産と同じ場所を拠点にして、石鹸の生産・販売で生計を立てている女性グループたちもいます。彼女たちも、紛争によって、夫や子どもの命を奪われた女性たちです。
3年前から石鹸を順調に生産して、収入を得ていましたが、今年の3月以降、材料である苛性ソーダの価格が高騰し、輸送コストも上がったことで、現在かなり厳しい状況に陥っています。そのため今回は、グループのコアメンバーを集めてミーティングを開き、今後の対応について色々と話し合いました。
なかなか答えが見つからず、今も現地スタッフたちとのミーティングが続いています。うまくいかないことも多いですが、彼女たちのオーナーシップは大事にしながら、テラルネとしてもフォローアップを強化していきたいと思います。
昨年、カナンガ市で洋裁訓練を修了した60名の女性たちに対して開業支援を行い、それぞれが個人・または数人の小規模グループで洋裁店を営み始めました。今年に入ってからは、彼女たちの洋裁店の運営や生計向上に向けて、個別訪問や助言、販促支援などを行いながら、フォローアップを行ってきました。
多くの女性たちは、女性用ドレスや制服の生産、または修理などで自分の家族を養うだけの収入を得ることができています。今回訪問した女性たちは、その中でも比較的ビジネスがうまくいってます。訪問の際も笑顔とお客が絶えない状況で、とても安心しました。
しかし、まだまだ課題を抱えている女性たちもいます。さらに、最近食料や燃料が高騰している中で、収入を得られていても、生活はかなり厳しい状況にあります。
紛争被害を受けた女性たちは、心の傷を抱えながらも、自らと家族のために立ち上がり、パイナップルジュース、石鹸、洋裁、それぞれのビジネスに励んできました。しかし、最近では、物価の高騰が彼女たちの仕事や生活を直撃しています。
ウクライナ危機の影響が、遠く離れたコンゴに影響を与えていること、すなわち、世界が平和でないと生活も安定しないことを、痛感します。引き続き、彼女たちのフォローアップを継続していきます。
報告/
理事長・海外事業部長 小川真吾
テラ・ルネッサンスは、ウクライナの難民(避難民)の方々への食料・日用品の支給、炊き出し拠点の設置等の緊急支援だけでなく、避難生活が長引くことを鑑み、難民(避難民)等の生計向上のための支援も実施することを決定しました。
そのため、隣国ハンガリー・ブダペスト市に事務所を開設し、腰を据えた中長期的な支援活動を開始します。
同時に、弊会の活動地であるコンゴ民主共和国(以下コンゴ)を含む、ウクライナ以外の国・地域の紛争や、その影響を受ける人々の「いのち」が忘れられるという状況は、決してあってはなりません。
なぜなら、紛争で奪われる「いのち」や「暮らし」に、区別はないからです。
そこで、20年以上もの間紛争が続き、多数の方々が人権侵害や貧困に苦しんでいる、コンゴの紛争被害者の支援も強化することにしました。
これらの活動経費として、7月31日までに4,000万円のご寄付を呼びかけています。
現地の最新状況、支援報告は、ウェブサイト、SNSを通じて随時発信していきます。
皆さまのご理解・ご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。




