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【カンボジア】心が灯るまで。Vol.3 〜チュク・ケーンさんの「灯火」~


〜わたしの灯火も、きっと誰かの灯火へ。〜

本シリーズでは、『冬の感謝月間2020』において、「支援の先にいる『ひと』の自立に向けた歩みをお伝えすることが今の社会に私たちができることだという考えのもと、アジア・アフリカの活動地にいる人びとの歩みを紹介いたします。 


今回はカンボジアの当会の活動で家畜飼育と家庭菜園に励むチュク・ケーンさんの「灯火」を紹介いたします。

【チュク・ケーンさん】

混乱の時代を経て


1975年、ポル・ポト政権が国を支配したのは、彼女が8歳の時。

生まれた村から強制移住させられ、混乱のさなかで子ども時代を過ごしました。


その後、ボート漕ぎや作物栽培などの仕事をしながら、結婚もし、7人の子どもを育て上げました。結婚後は比較的安定した暮らしをしていましたが、夫が8年前に亡くなり2016年にロカブッス村へ引っ越してからは日雇い労働で生活していました。


テラ・ルネッサンスが支援する前は、1日の稼ぎはUS$3.75(日本円で約390円)。その稼ぎは、1日生き延びるのにギリギリなものでした。

しかも、こうした日雇い労働の仕事は、作業の少ない農閑期には雇ってもらえません。生活はかなり厳しく、ケーンさんの心も、幸せを感じられませんでした。

新しいことは、やってみる。


2017年にテラ・ルネッサンスと出会い、家畜飼育と家庭菜園を始めました。日雇い労働をやめ、現在は7頭のヤギ、2頭の牛、1頭の豚、2羽のアヒルを飼育しています。

新しいことは、やってみる。


これらの取り組みを始めてから、彼女の生活には大きな変化がありました。ヤギの販売では、今までにUS$810(日本円で約8万4千円)の収入につながっています。


さらに、近所の大きな農地を持つ地主が、肥料にするために畑に撒く家畜の糞を買いに来るようになり、現在は十分な収入を得ています。


最近は、家の近くに自らため池を掘りました。

水不足にも陥りがちなこの地域で、野菜栽培にも力を入れるため、必要な水を蓄えることができています。


彼女は、自ら”レジリエンス”を高めるために動き始めました。


テラルネと出会う前は、日雇い労働以外の仕事をするつもりはなかったというケーンさんですが、家畜飼育も野菜栽培も熱心に励み、自ら新しい取り組みも始めています。


どんな立場にいても、新しいことを吸収し、「まずはやってみる!」という姿勢は、ケーンさんの強さです。

灯火は、きっと他の誰かへ。


ケーンさんには、「家畜飼育と家庭菜園を拡大する」という明確な未来像があります。そして、残りの人生は、食糧を自給しながら、子どもたちと一緒に生活したい。


そのために、これからも家畜飼育と野菜栽培に取り組んでいきます。


「年齢的にも、体力が落ちていくので、大きな農家での日雇いの仕事は大変です。一方、家の周りで行う野菜栽培や、家畜の飼育はそれほど重労働ではないので、一生やり続けたい。」と教えてくれました。


将来の願いと、希望に満ちたケーンさんの誇らしい眼差し。その瞳の奥には、目の前のことに真摯に取り組み、希望の生活を手に入れるための決意が見えます。


そして彼女の熱意は、すでに周りの方々にも伝播しています。


実は、ケーンさんが当会が訓練した農業の知識を他の村の方に伝えてくれたおかげで、それまでヤギの飼育に興味のなかった村の方も、ヤギの飼育をしたいと言ってくれるようになりました。


それまでヤギの飼育をしたいと思う方はあまりいませんでしたが、村の多くの方が、ケーンさんがヤギの飼育で成功しているのを知り、考えが変わったようです。

 

平和とは、愛し合うこと、そして連帯すること。

平和とは、愛し合うこと、そして連帯すること。

【夕方、牛とヤギに草を食べさせるチュク・ケーンさん】

大きな牛に混ざって、ちょこまかと動きながら夕方刈っておいた餌の草を食べるヤギたち。なんとも平和な風景です。

 

スタッフが、ちょうどヤギが生まれたばかりの頃にケーンさんを訪ねると、ヤギの数がたくさん増えていました。彼女は生まれたヤギたちを嬉しそうに連れて見せてくれました。10月の洪水時は、ヤギたちを高床式の家にあげ、守ったそうです。家畜たちを家族のように大切にしていくれているのがわかります。

 

今、ケーンさんが幸せを感じる瞬間は、夕方に、ヤギや牛と遊ぶ時間だそうです。家畜飼育を本当に楽しんでしてくれていて、嬉しくなりました。

【生まれたばかりの子ヤギを見せてくれるチュク・ケーンさん】


ケーンさんは、「平和な世界をつくるのに大切なことは、お互いに愛し合うこと、そして連帯すること」と語ってくれました。


ケーンさんとつながった方々がヤギの飼育に興味を持ったこと。ヤギの飼育を始めると、ヤギや牛の糞を肥料として買いに来てくれたこと。そしてケーンさんの心の豊かさが生まれたこと。小さなことかもしれませんが、ケーンさんが生み出した変化は、偶然なようで、「お互いに愛し合い、連帯する」そんな心を大切にする彼女の人柄がなければ起こり得なかったかもしれません。


彼女の強い決意という種火から生まれる、平和を想うあたたかな灯火。それが現在の彼女であり、

その灯火は周りの人に伝わっています。


そして、みなさまにも、その灯火が伝わっていれば、それほど嬉しいことはありません。

冬の感謝月間2020開催中

冬の感謝月間2020開催中


この冬、テラ・ルネッサンスは、『冬の感謝月間2020』として、ケーンさんのように自立に向けて歩みを進める受益者さまの想いを伝える特別な期間をスタートすることにしました。

 

ケーンさんの想いが、伝わっていれば嬉しいです。

そして、皆さんの想いも、ぜひカタチにしていただければ幸いです。

 

 

記事執筆
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啓発事業部 インターン
津田理沙

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