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地雷被害者支援に関する東南アジア地域フォーラムの報告

【アジアレポート/2018年11月_Topic04】


地雷廃絶国際キャンペーン(ICBL)が、毎年発行するランドマイン・モニター報告書2018(※以下に概要)の発行に合わせて、地雷被害者支援の実施に関する東南ジア地域フォーラムがバンコクで11月20日に開かれました。

カンボジアでの事例として、アジア事業プロジェクト・マネージャーの江角が、テラ・ルネッサンスのバッタンバン州カムリエン郡の地雷被害者などの紛争による障害者100世帯への生計向上支援事業を紹介しました。


在タイ・オーストリア大使館の派遣団副代表から2017年12月の第16回対人地雷禁止条約締約国会議の概要が共有されました。

その後、地雷廃絶フィリピン・キャンペーン・コーディネーターのフレッド氏から、東南アジア地域での地雷被害者支援に関する現在の概要が報告され、被害者への包括的な支援が必要なこと、被害者の尊厳が回復されることの重要性が訴えられました。そして、ラオス、フィリピン、タイ、ベトナム、カンボジアからの代表が、地雷犠牲者支援プログラムの実行に関する情報の共有をしました。


対人地雷禁止条約(オタワ条約)では、締約国は地雷の除去や地雷の被害者の支援を進めることなどが決められています。これは地雷被害国でなくても、地雷対策のために資金や技術を支援しなければなりません。

今回のランドマイン・モニター報告書でも、ドナーの国際支援額が過去最高を記録した一方で、その中の犠牲者支援の割合は、2%しかないこと(※1)
が報告されています。

ラオスでもクラスター爆弾をはじめとした不発弾による犠牲者が累計5万人以上(※2)
、ベトナムでも10万5千人以上(※3)、カンボジアでも地雷・不発弾の犠牲者が6万人以上(※4)記録されており、こうした被害者への支援は決して十分になされているとはいえません。


このような状況のなかで、テラ・ルネッサンスが実施している地雷被害者を含めた紛争被害者への生計向上支援は、貴重な活動と言えます。また、現地にある資源や技術を生かし、現地の文化と伝統的な生活を尊重した支援手法は、農村部で生活する障害者が生計を立て直すのに他地域や他国でも参考になると考えています。

現に、ラオスのスピーカーのHumanity&Inclusionのソクサイ氏は、私のプレゼンを他のスタッフにも共有したいということで、資料を送ってほしいと言われ、お送りしました。


フォーラムの後で、各国のスピーカーの人たちとタクシーで、ご飯を食べに向かいました。そのタクシーの運転手は30年前にタイの東北地方のカンボジアに近い場所で地雷を埋めていたそうです。地雷廃絶キャンペーンをしている私たちを、以前地雷を埋めていた人が運転するのはなんだか変な感じで、みんなで笑いました。


ランドモニター報告書2018によれば、2017年は世界中で7,239名の地雷と戦争残存物による犠牲者が記録され、そのうち少なくとも2,793名が亡くなりました。このうち87%が一般市民で、子どもの犠牲者は、身元が判明しているうちの47%も占めています。(※5)

被害者の多くが一般市民でそのうちの半分近くを子どもが占めているのは、地雷が非人道的な兵器と言われる所以です。


今回のフォーラムでは、私たち一人ひとりにできることは小さなことですが、こうして各国で活動している人たちと繋がり、情報を共有し、発信していくことは、決して活動しているのは一人ではないんだという大きな勇気をもらいました。

これからも被害者に寄り添い、被害者の声を世界に届けていくとともに、世界を変えていくための仲間を増やしていきたいと思います。


………………………………………………
記事執筆/
アジア事業マネージャー
江角 泰 


(※1)“LANDMINE & CLUSTER MUNITION MONITOR”「Landmine Monitor 2018 Support for Mine Action」<http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2018/landmine-monitor-2018/support-for-mine-action.aspx> (参照2018-12-18).
(※2)“LANDMINE & CLUSTER MUNITION MONITOR” 「Lao PDR Casualties」, <http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2018/lao-pdr/casualties.aspx>(参照2018-12-18).
(※3)“LANDMINE & CLUSTER MUNITION MONITOR” 「Vietnam Casualties」,<http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2018/vietnam/casualties.aspx> (参照2018-12-18).
(※4) “LANDMINE & CLUSTER MUNITION MONITOR” 「Cambodia Casualties」,<http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2018/cambodia/casualties.aspx> (参照2018-12-18).
(※5)“LANDMINE & CLUSTER MUNITION MONITOR”「Landmine Monitor 2018 Casualties」<http://www.the-monitor.org/en-gb/reports/2018/landmine-monitor-2018/casualties.aspx> (参照2018-12-18).

ランドマイン・モニター報告書2018の概要


現在、対人地雷禁止条約には、2017年12月に新たに加盟したパレスチナとスリランカを含めた164カ国が加盟しています。重要な条約の条項には従っているにも関わらず、33カ国がまだ条約に加盟していません。


  • <地雷の使用>

国家による対人地雷の使用はごくわずかになっています。2017年10月-2018年10月の期間に加盟国による新しい使用は報告されていません。条約に加盟していないミャンマーの政府軍が、過去に対人地雷を使用していました。ランドマイン・モニターでは、シリア政府軍による対人地雷の使用を確認することができませんでした。

非国家武装勢力は、簡易手製地雷(Improvised mine)を含めた対人地雷を使っており、アフガニスタン、コロンビア、インド、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、タイ、イエメンの少なくとも8カ国で使用されていました。イラクやシリアのイスラム国もまた使用していると思われます。


  • <地雷の貯蔵、破壊、製造、移譲>

2017年に50万発以上の貯蔵地雷が破壊されました。オマーンでは2019年2月に貯蔵地雷の破壊を完了する予定です。91カ国はいかなる地雷も保有していません。

41カ国が製造を停止し、11カ国が製造国としてリストアップされたままです。少なくとも条約非加盟国9カ国が対人地雷の輸出に関して、公式に一時的停止をしています。
60の国と地域が対人地雷の汚染による脅威を認識されています。そのうち34カ国が加盟国。22カ国が非加盟国、4つの場所がその他の地域となっています。


  • <地雷の汚染>

広大な対人地雷の汚染(1国のうち100㎢以上)にさらされているのは、アフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、チャド、クロアチア、イラク、タイ、トルコ、イエメン、西サハラです。


条約加盟国中、2017年もしくは2018年の新しい地雷の汚染があったのは、アフガニスタン、コロンビア、イラク、ナイジェリア、イエメン、非加盟国ではインド、ミャンマー、パキスタン、シリア、タイです。


  • <地雷撤去>

モーリタニアが2017年に地雷撤去を完了しました。2017年1年間に128㎢の土地が撤去され、168,000発の対人地雷が破壊されました。条約に定められた撤去期限を満たしているのは、4加盟国しかありません。


  • <犠牲者>

2017年に7,239名の地雷と戦争残存物による犠牲者が記録され、そのうち少なくとも2,793名が亡くなりました。これは、2016年からやや減少しましたが、ただ異常に高い年間の犠牲者数が連続している3年目になります。


記録された地雷・戦争残存物の犠牲者の大多数は、身元が判明している一般市民(87%)であり、ここ最近の比率よりもさらに高いものでした。


2017年の犠牲者は、49カ国と4つのその他の地域にいて、そのうち35カ国は対人地雷禁止条約の加盟国です。
継続した高い犠牲者数合計は、武装紛争や大きな規模の暴力の問題に直面している国で記録された犠牲者に影響を受けており、特にアフガニスタンとシリアになります。


ランドマイン・モニター報告書の歴史のなかで、連続した高い犠牲者数になっている2年目は、簡易手製地雷によって引き起こされた年間の犠牲者数(2,716名)と子どもの犠牲者(2,452名)が記録されていました。子どもたちは、年齢がわかっている全ての市民の犠牲者の47%を占めています。


  • <被害者支援>

地雷被害者数の大きい条約加盟国は、2014-2019年マプタ行動計画を十分に実施するだけのリソースが不足しています。いくつかの生存者への健康と身体のリハビリテーション・プログラムの質と量が改善される努力がなされていました。

2017-2018年は、地雷や戦争残存物の被害者への主要な支援は、停滞している状態でした。新しい加盟国/地域であるパレスチナとスリランカは、効果的な被害者のニーズを満たす支援が必要とされているようです。


  • <地雷対策活動支援>

ドナーと被害国は、2017年に地雷対策への国際と国内支援を合わせて、およそ771.5百万米ドルの貢献をし、これは2016年の203.6百万ドル(36%)から増加しました。


ドナーは、673.2百万ドルの国際支援を地雷対策のために38カ国と3地域に貢献し、190.3百万ドルの増加でした。ランドマイン・モニターの統計上、2017年の国際支援額が過去最高を記録しました。


10カ国の被害国が、98.3百万ドルを自国の地雷対策活動プログラムのために国内支援として供与したことが報告され、13.3百万ドルの増加でした。


地雷対策へのトップ5のドナーは、アメリカ合衆国、ドイツ、EU、ノルウェー、日本で、国際資金の79%に貢献し、合計435.4百万ドルになります。


2017年の記録は、アメリカの貢献が大きく増加した結果で、合計309.0百万ドル、156.6百万ドルの増加になり、ドイツが合計84.4百万ドル、47.1百万ドルの増加でした。ドナーの支援に関して、明確な被害者支援への貢献は低いままで、2017年の国際支援の2%でしかありません。


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