現地にある資源を活かして地雷被害者の生計向上
【アジアレポート/2018年11月_Topic01】
JICAパートナー事業としてカンボジア王国バッタンバン州カムリエン郡の地雷被害者などの紛争被害にあった障害者100世帯への生計向上支援として、11月からご近所さん同士のグループで、家畜の薬を造るワークショップを始めました。

家畜の薬を作る訓練はすでに実施しましたが、実際に自分で作っている人が少なく、配布した薬が無くなったら、使わなくなっている世帯が多いことが、フォローアップ調査で分かりました。
自分でも薬草を作っている人の家畜の死亡率が少なく、鶏飼育では、すでにUS$500以上の収入を得ている人もいました。問題は、数十種類の薬草を揃えて、細かく切る作業は、一人ではかなりの時間がかかること。出稼ぎに行かなければいけない人、畑仕事で忙しい人などもいます。

そんな中、昔のように近所同士で協力して作れば短時間で、材料の調達も一人で全部集める必要がありません。そこで、対象世帯を近くの村同士のグループを作ってもらい、1日だけみんなで集まって、一緒に造ってもらうことにしました。
材料となる薬草は14種類。

バナナ以外は、どれも細かく刻んで、黒糖とともに混ぜ合わせ、ココナッツジュースを入れ、バナナを上に入れて発酵させます。この日の作業はここまで。作業をした受益者の家に保管してもらい、7日したらココナッツ・ジュースを追加し、さらにかき混ぜながら発酵させ、1ヶ月後には使えるようになります。
最近は、材料となる薬草がお金にならないからと、除草剤を撒いて枯らしてしまったり、換金作物を栽培するために切ってしまい、少なくなっているものもあります。今回も、想像以上に薬草が少なくなっていて、村人たちにも家にあるものを持ってきてもらいましたが、かなり探し回らないといけないものもありました。以前はどれも豊富にたくさんあったという村人たち。

これらの少なくなっている薬草の種も受益者の方達とともに、保存していくことにしました。今月は4つのグループで発酵飼料を造ることができましたが、まだたくさんのグループが来月以降に造っていくことになります。
こうした有用なカンボジアの文化や伝統知識も次の世代に伝えていくとともに、地元にある資源を活かすことでお金をかけずに、持続的に収入を得て、生計を向上させていくことができると思います。
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記事執筆/
アジア事業マネージャー
江角 泰