ムクウェゲ氏とテラルネが支えた女性。今は私たちにできることとは。
コンゴからのメッセージ
メッセージをくれた彼女は、結婚式に出席するために出向いた村でレイプの被害に合いました。夜にFDLR(ルワンダ系武装グループ)がこの村を襲撃し、彼女と一緒にいた女性全員をレイプし、あらゆるものを略奪しました。襲撃を受けてからは、コンゴ・カロンゲに逃げましたが、子どもたちと過ごす避難生活は、その日に食べるものも苦労し、とても辛い時期を過ごしました。
彼女は、今回ノーベル平和賞を受賞したムクウェゲさんの治療を受け、体の痛みを和らげることができ、ムクウェゲさんへ心から感謝しています。また、テラ・ルネッサンスで訓練を受けて自立してからは、自分の子どもを学校に通わせることもできるようになりました。
そして、一時期は離れ離れだった彼女の夫も、今は一緒に住んでいます。彼は仕事がなくて、家の食費や学費は、十分ではないけけども。彼女が稼いで生活しています。彼女の夫は、今の彼女を誇りに思うと言っているそうです。
わたしたちにできること

コンゴの性的暴力の問題の1つとして、鉱山の問題が挙げられます。希少なレアメタルは以前なら紛争の原因の1つでした。そして、希少なレアメタルが産出される鉱山周辺の村を制圧することで、鉱山を支配することはありますが、その支配の方法として、レイプが用いられるのです。
アフリカの紛争をなくすために、まず、私たちができることは、国内の資源や エネルギーを地域(自国) で循環させるしくみを作っていくことです。地域のなかで「お金や資源」が回るようにしていくということです。
とくに エネルギーの地産地消(自給率をあげること)は重要です。化石燃料を輸入しようとすればするほど、各国の権益争いが激しくなります。それはアフリカでの紛争リスクを高めるだけでなく、日本が安定したエネルギー源を確保するうえでも、大きなリスクになります。
私たちは、リスク の高い エネルギー源を減らし、「安全なエネルギー源」を増やしていかなければなりません。日本国内で利用できる、風力や太陽光、地熱、小規模水力発電など、多様な エネルギーに よって自給率を高めていく必要があるということです。
現在ほとんどのエネルギー源を火力と原発に依存している日本が、再生可能エネルギーに移行していくには、地道な努力と時間が必要なことですが、だからこそ、東京電力福島第一原発事故を経験した私たち日本人が、いま、行動を起こさなくてはいけないと思います。例えば、市民として、地元の国会議員や地元紙に手紙やメールを送ったりすることもできます。
一方、アフリカでは、植民地時代から「資源や原料」を輸出することで、国の経済を支えるという経済構造がほとんど変わっていません。そのため、 アフリカ から資源を買わないだけで済む問題ではありません。それに対して、私たちが できることは後で紹介します。いま、知っておいてほしいのは、「私たちがアフリカから資源を買いつづけても、 アフ リカの人びとの暮らしは 良くなっていない」という現実です。
また、資源やエネルギーを自給していくことは大切ですが、 日本国内で生産できない資源はたくさんあります。たとえば、コンゴでの権益争いの的にな っていた、金やダイヤモンド、レアメタル(希少金属)などの鉱物資源は、輸入に頼るしかありません。
必要な資源を海外からの輸入に頼らざるを得ない以上、私たちは、その資源がどこから来て、産出国の人びとにどのような影響をあたえているのかを考えなければいけません。そして、 こうした紛争を助長するような鉱物資源を輸入しないように、私たち市民が声を上げることで、企業の行動に変化をあたえることも可 能です。
日本でも、ある一人の主婦が、日本の携帯端末メーカーに質問書を送り、コンゴ産のタンタルを使用していないかどうかの回答を得ることができました。私たち市民が意思表示することで、企業に情報を開示させたり、紛争鉱物の取引を停 止させることさえ不可能ではないのです。
しかし、残念ながら、資源がどこで生産され、どこを経由して、最終的に製造業者(企業)または、消費者のもとに届くかを調べることは、それほど簡単なことではありません。実際には、産出から販売までの過程で、さまざまな原産地の資源が混ざって、どれが紛争鉱物なのかそうでないのかの区別がつかない状態にしてしまうこと(メタルロンダリング)もあり得ますし、その過程を客観的に監視する国際的な制度もありません。
そうである以上、なおのこと、すでに日本に流入したこれらの鉱物資源をできるだけ、大切に扱っていく必要があります。海外から輸入した資源を できるだけ何度も利用することで、不必要に資源の争奪戦に首を突っこんだり、リスクの高い不安定な輸入に頼ることを、 少なからず抑えることは可能だということです。
日本にはそのための技術力も十分あります。また、その技術を中国はじめ海外へ移転していくことで、世界的に大きな影響をあたえることも可能です。こうした取り組みを広げていくために、身の回りにあるモノのリサイクルをすすめ、消費者としてリサイクル事業を支えることも必要な手段の1つです。
冬季募金キャンペーンにぜひお力添えを

レアメタルの問題、そしてその課題に対して、私たちにできることをお伝えしました。もちろん、紛争にはレイプという問題やレアメタルという課題以外にも、様々な側面があります。大切なことは、課題を他人事ではなく、自分事と捉えること、そして、自分にできることは何かを考え、アクションを起こしていただくことだと思います。
現在テラ・ルネッサンスは冬季募金キャンペーン中です。コンゴでの性的暴力の被害者の自立支援、そしてアフリカで紛争で苦しむ人々の支えるためのご支援をお願いさせていただいています。2018年11月15日から2019年1月15日までの間に、1,000万円の資金が必要です。現在、多くの方々のご協力で、210万円のご支援を頂いています。
しかし、まだ活動に必要な金額に至っていない状況です。アフリカの人々が、自らの「生」を、自分を取り戻すためのご支援を、皆様にできるアクションの1つとして、ご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
冬季募金キャンペーンはこちらから
https://www.terra-r.jp/tokibokin2018.html