ノーベル平和賞受賞 コンゴの医師ムクウェゲ氏 テラ・ルネッサンスとのつながり
平和以外のすべてがある国ーコンゴ民主共和国
アフリカの中央に位置する自然豊かな国、コンゴ民主共和国。
第二次世界大戦後最大の、540万人もの犠牲者をだすコンゴ紛争が勃発していました。2002年に和平合意が結ばれたものの、特にコンゴ東部では、2016年の伝統リーダーの殺害により戦闘が勃発しています。戦闘再発から現在まで数千人の市民が殺害されています。さらに、小学校が戦闘により破壊されるなど、インフラも壊滅的な状態です。そして、その中で多くの女性が性暴力によって傷ついています。
そんな中、希望を感じるニュースがありました。
傷ついた女性たちの自立にむけて
2018年、コンゴ民主共和国で精力的な医療活動を続けてきたムクウェゲ医師が、ノーベル平和賞を受賞しました。

彼は、戦闘の続くコンゴ東部・南ギブ州ブカヴにおいて、自らの病院を立ち上げ、残酷な性的暴力にあった女性たちへの治療を20年近く続けてきました。テラ・ルネッサンスが支援する女性たちの中にも、ムクウェゲ医師の治療を受けた方は少なくありません。(写真提供:コンゴの性暴力と紛争を考える会)
ムクウェゲ博士の活動とテラ・ルネッサンスの活動について毎日新聞さまに取り上げていただきました。
(毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20181204/k00/00m/040/096000c)
そして性的暴力は、身体的な傷のみならず、精神的な傷を残し、周囲からの差別、家族を含めた人との関わりも全て奪っていきます。被害を受けた女性たちは、家族からも周りの人々からも見放され、生活する手立てもなくなってしまいます。性的暴行を受けて出産した子どもを抱える女性もおり、経済的な困窮は自身にも子どもにも影響します。

テラ・ルネッサンスの支援を受ける洋裁訓練生
生活の手立ても、人との繋がりも、人間の尊厳さえも奪われてしまった彼女たち。
テラ・ルネッサンスの事業では、彼女らが経済的に安定するための自立支援を行なっています。
収入源となる洋裁の訓練では、技術を身につけた女性たちにミシンの供与するとともに、女性たち同士でグループを結成し、小さな洋裁店を開業するビジネス支援を行っています。
また、それらは困窮したメンバーの保険金の支払いやビジネスへの投資金として貸し出しができるよう、女性たちが毎月お金を出し合い、共同貯蓄をして相互に支え合う仕組みを作っています。
支援の中で、だんだんと自らの力で収入を得られるようになった彼女たちは、徐々に自信を取り戻し、一年を通して自立して生活できる女性も増えてきました。また、洋裁店は彼女たちが集まりおしゃべりをする憩いの場にもなり、同じように傷を負った女性たちと関わる中で人との繋がりが生まれています。

「生きていて良かった。私は、誰かに必要とされている人間だと思えるようになりました。」
洋裁訓練を経てお店を持ち、お客さんから「ありがとう」と言われた元訓練生の女性が話してくれた言葉です。
人とのつながりも、生きるすべもなくし「自分は誰にも必要とされていない。」と思っていた彼女ら。自分の仕事によって、他の誰かを笑顔にすることは、紛争によって傷ついた心の回復にもつながっているのです。
コンゴの女性たちに、思いを馳せて

今回の冬季募金キャンペーンのテーマは、「私は、わたしを取り戻す。」
性的暴力によって傷つき、人生を奪われてしまった彼女らが、「生きていてよかった。」と思えるように。人との繋がりを、人間としての誇りを取り戻せるように。
今日、コンゴの状況を知ってくださったみなさまが少しでも彼女らに思いを馳せ、そのことを大切な人に伝えたり、わたしたちの生活との関わりについて考えてくださることを願います。そして、私たちの活動を応援してくださると幸いです。
当会では、アフリカの事業を実施する資金を集める、冬季募金キャンペーンを行なっております。2018年11月15日から2019年1月15日までの間に、1,000万円の資金が必要です。これまでに多くの方々からご支援をいただいております。しかし、まだ活動に必要な金額に至っていない状況です。
コンゴの状況から、目をそむけない。
人生を取り戻そうとするコンゴの女性たちへのエール。
その方法のひとつが、このキャンペーンへのご寄付です。冬季募金キャンペーンへのご協力を心よりお願い申し上げます。
冬季募金キャンペーンについて詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.terra-r.jp/tokibokin2018.html
.................................................................
記事執筆/
ARチームインターン 佐藤 仁美
PRチームインターン 津田 理沙