悲しい現実に向き合った彼は…。
今、未来に希望を抱いている。
南スーダンでは、1950年代にそれぞれの宗教をもっていた北部と南部で内戦が勃発しました。その後、2011年には南部が独立し、「南スーダン」という国ができ、この独立を機に内戦は収束するかと思われました。しかし、今度は南スーダン内で対立が起こり、内戦が再燃し、いまもなお紛争が続いています。
紛争による情勢不安によって、数多くの方が安心できる生活を求めて隣国へ逃れています。南スーダンを逃れた人たちは延べ150万人を超えると言われています。

テラ・ルネッサンスの海外事業部がインタビューを行ったマシューさん(仮名)も、そのうちの一人です。彼は、2016年7月に難民として南スーダンからウガンダに逃れました。マシューさんの住んでいた村では、車を襲撃・略奪される等、経済的な貧富の差に関係なく無差別に攻撃されました。戦闘が始まってから5日が経過した後、彼はその場を離れました。
彼は、国を出る時は、たった1人でした。家族がどこにいて、安全かどうかも把握できないまま、たった1人で茂みに隠れ、生のキャッサバを貯えにしながら、安全な場所を探し求めました。その時の彼の心境はどうだったでしょうか。先が見えない恐怖は私たちの想像を絶するものだと思います。
しかし、彼は、紛争に巻き込まれて負った深い傷を抱えながらも決して人生の歩みを止めることはありませんでした。マシューさんは、今年度からテラ・ルネッサンスが南スーダン難民居住区で実施する職業訓練に出会いました。ここでは、マシューさんのように2016年の紛争によってウガンダ北部に逃れてきた南スーダンの難民たちが中長期的に自立をして生活をしていけるように、木工大工や洋裁・服飾デザインの技術を習得できる環境があります。以前は家でふさぎ込んでいたマシューさんですが、現在は、職業訓練を通じてできた友達と話すことを楽しみながら、訓練に打ち込んでいます。

彼は、訓練を経て1人で家具を作ることができるようになりました。注文の依頼を受けてから、採寸から裁断まで、1人で行うことができます。職業訓練を通して、彼は自分自身が持つ力を再発見し、今では、孤独で先が見えない怖さを抱いているのではなく、これから歩む人生に希望を感じ、自ら人生を切り拓いていきたいと言います。今後は、さらに木工大工の技術を習得し、両親や3人兄弟の面倒を見てあげたいそうです。彼は、着実に自立に向けた歩みを進めています。
現在、テラ・ルネッサンスでは、「冬季募金キャンペーン」を実施しています。マシューさんのように紛争によって計り知れない深い傷を負いながらも、前を向いて自立していこうとしている方々がいます。そんな彼らの歩みを支えるために、ご支援を何卒よろしくお願いいたします。
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