インターンは見た!〜 kiyotoの視察記 vol. 4 NGO職員の仕事は豊かだった編〜
みなさん、こんにちは。カンボジア事務所インターンの名倉です。
インターンが国内NGO職員の新しい働き方に迫るこの視察記シリーズも、いよいよ最終編となりました。
最終編となる今回は、事業地視察の様子に加え、シリーズの結びとして視察に同行したインターン名倉の感想をお届けします。
▼ 本シリーズの連載目的、及びvol.1 市場調査編はこちらから ▼
◆ ワークショップ参加者の方の家へ
ブランディングワークショップ後、ワークショップに参加された、ソン・ヴーンさんのハリナシミツバチの様子を見させて頂くことになりました。

【 先生にミツバチのついて相談するソン・ヴーンさん 】
これがハリナシミツバチの巣箱です。(写真では見にくいですが)蜂が出入りしていて順調そうです。

庭の木になっていた、おいしいリュウガンを頂きました。ライチのような果実です。

この他にもお庭には様々な花や木があり、ミツバチの蜜源として最適な環境です。このような土地の環境も、ソン・ヴーンさんに養蜂事業を始めて頂いた理由の一つです。
全ての世帯が同じ事業をすればうまくいくというわけではありません。土地の広さや家の周りの環境も考慮して、その世帯に合った収入源をともに作っていきます。

最後に、ロカブス村に向かいました。2017年度年次報告書の、アジア事業のページでも紹介させて頂いた、オウチ・コンさんのお家です。

オウチ・コンさんは、数年前、友達から勧められて、キャッサバ栽培をはじめました。
初年度の出来は上々。事業を拡大しようと、次の年に土地を買い、大幅に畑を広げました。
しかし、その年、ちょうどキャッサバが値崩れして、たくさんの借金を抱えることになってしまいました。換金作物栽培には、常にこのようなリスクが付きまといます。
借金返済のために、テラ・ルネッサンスの訓練を受ける前は、日雇い労働に出ていたオウチ・コンさん。
テラ・ルネッサンスの訓練を受け、野菜と家畜で安定的な収入が得られるようになったため、日雇い労働に行く必要がなくなりました。家族と過ごせる時間が増えたといいます。
学んだことを愚直に実践して下さり、さらに自分で鶏のための肥料を開発しました。今では、鶏は70羽以上に。あと少しで借金も完済できます。


◆ 事業地視察と講演活動
視察を終え、3時間弱かけて事務所のあるバッタンバンへと戻りました。
こうした現場の視察は、デザインのみならず、ファンドレイジングのための講演にも活かされているといいます。
例えば、現場に行くと、具体例を語れるようになります。海外職員に聞いた話と違って、自分が現地を実際に訪れると、その地の匂いや、暑さや、音、伝聞した話では詳細に語られないような景色が残ります。そうした現地の様子を話せるだけで、講演での伝える力は高まります。
また「現場で課題を目の当たりにして、その上で、自分は国内でデザインやブランディングという側面からこの課題に関るのだ」という話をすると、海外の問題への関わり方の豊かさに、気づいてもらえるといいます。
その話は、講演を聞いて下さる方に対して「では、あなたは何ができると思う?」と問い、何かしらの小さな変化・行動を起こしていただくきっかけになります。

◆ NGO職員の仕事は、思っていたよりずっと豊かだった。
さて、4回に渡る視察記も、これにて終了です。
市場調査、年次報告書の手渡し、ワークショップ実施から、フィールド視察まで盛りだくさんの内容で、かつ移動距離も長かったため、同行した私には少々ハードな日程でした。飄々としていた受け入れ側の駐在員さんの体力に感服です。
私が、PRマネージャー・小田の働き方を面白い!と感じ、ご紹介したいと思ったのは、単に国内職員でありながら海外事業に関っているから、ではなくて、それが「組織にいながら自営をする」働き方であるからです。
組織としては「デザイン」「ファンドレイジング」を任されながら、小田自身は「デザインを通じて世界平和に貢献したい」という理念の元、仕事の中で、個人的に様々な仮説検証をしています。
例えばブランディング事業であれば、ブルンジで実施した独自の養蜂ブランディングの手法をカンボジアにも活かせるかを試しています。
ファンドレイジングにあたっては、自身の技術を活かして試行錯誤しながら、ファンドレイジングにおけるデザインの可能性を模索しています。
私は、テラ・ルネッサンスでインターンをする前、NGOの職員と聞いたら、駐在員か、あるいは会計や広報、ファンドレインジングを担う国内の事務所職員の仕事を想像していました。
でも、NGO職員の実際の働き方や課題への関わり方は、そんな風にラベリングされる仕事ではありませんでした。もっと、ずっと、豊かでした。
そして、その豊かな活動を可能にしているのは、個人としての理念と自営の精神と具体的な技術かな、と感じています。
個人として実現したい理念と具体的な技術、そしてそれをどこにいようがやろうとする自営の精神を持っていたら、組織の中でも色々な動き方ができます。小田のように、国内事務所職員でありながら、技術を活かして海外事業に関ることだってできる。
私もそういう仕事がしたい、と強く思います。
NGO国内事務所職員の海外事業への関わり方をご紹介すべく、レポートしてきた視察記。
NGOの職員ってこんなこともできるんだ!しているんだ!と、その活動の幅広さが少しでも伝わりましたら幸いです。
P.S
翌日、バッタンバン事務所でカンボジアの現地職員との再会を果たした小田。
近況を報告していました。

最後は、テラ・ルネッサンスで流行りのポーズでパシャリ。

ハードな日程の弾丸出張。小田さん、お疲れ様でした!
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記事執筆/
カンボジア事務所・PRチームインターン
名倉 早都季