国内職員、海外事業視察の意義って?/京都事務所職員・藤森がカンボジア事業地に訪れました!
【アジアレポート/2018年10月_Topic04】
2018年9月26日〜10月2日にかけて、京都事務所職員である藤森が、カンボジア事業を視察しました。
弊会では、定期的に国内職員が海外事業を視察する機会をつくっています。
このような視察は、組織が取り組む課題や事業についての理解、外部に説明する際の材料の獲得、職員自身の仕事のモチベーション向上に加え、適切な資金の使われ方がされているか、組織内部でチェックをする目的ももちます。

初日は、テラ・ルネッサンスが資金提供を行う地雷撤去団体MAGの事務所で、地雷撤去についての簡単なレクチャーと、資金提供による撤去の成果報告を受けました。


【 金属探知機も装着させて頂きました 】
フィールドでは、元地雷埋設地域における自立支援、基礎教育支援の様子を視察しました。
未だ撤去の課題は残るものの、カンボジア国内でも、世界的にも風化しつつある地雷問題。
しかもテラ・ルネッサンスは、MAGのような地雷撤去団体とは異なり、弊会自身が撤去活動を行うわけではありません。
「元地雷埋設地域の自立支援」「地雷被害者の自立支援」は、その必要性や意義が、伝わりずらい支援です。

【 家庭菜園の様子 】
しかし、国内でファンドレイジングに関る藤森は、その必要性をきちんと言葉にして、ご支援を下さる方々に伝えなければなりません。
終始、駐在員の江角に、支援の成果や意義を聞いていらっしゃいました。

【 家庭菜園の様子を説明する受益者 】
帰国後、現在の仕事に視察がどのように活きているかをお聞きしました。
「カンボジアでは、都市部と農村部の発展の差が印象的でした。
SDGsも「誰も取り残さない」ことをスローガンとしているように、経済発展の陰には取り残されてしまう人々がいます。
それは決して彼らの怠慢ではなく、外的要因が大きく影響しています。その外的要因には、日本も含まれています。
内戦とその後の自由経済の流入がもたらすカンボジアの課題を見て、彼らがそうした外的要因に左右されることなく、自分たちの力で生きていけるサポートをしつつ、私たち先進国も生活を見直していきましょう、と声を上げることの大切さを感じました。


世界の課題と私たちの生活のつながりを語る時に、これまではアフリカの紛争と私たちの関係について話すことが多かったのですが、カンボジアを訪れた後、もうひとつ話せる話題が増えました。
数十年前まで、鬱蒼と生い茂るジャングルに覆われていたカンボジア。しかし、今、そのジャングルはほとんどなくなってしまいました。
内戦時代に、ポル・ポト派の資金源として熱帯雨林の良質の木材とルビーが、国外へ売られてしまったそうです。
経済発展のために、切り開かれる東南アジアのジャングル。その木材や、切り開かれたプランテーションで作られた作物は、どこへ行くのでしょうか?
そして、近年日本を脅かしている台風やゲリラ豪雨は、なぜ、起きているのでしょうか。
そうした世界の課題と私たちの生活のつながりを、またひとつ肌で感じられたことが、今回の視察の大きな収穫です。」


現場のニーズを汲み取り、現場ならではの課題に向き合い、実際に受益者の方に価値を提供しているのは、他ならぬ海外事業部です。
しかし、海外事業が実施できるのは、国内でファンドレイジングや事務作業、啓発に関る国内業務があってこそ。そして何よりも、ご寄付を下さる皆さまが思いを託してくださる資金、あってこそです。
国内業務に関わる海外職員が、課題と事業の意義について腹落ちし、それを説明できる言葉を持つこと。その言葉を持てるように海外事業を実際に視察すること。
それは、駐在員がつくった海外事業だから、といって無批判にその事業を見守るのではなく、支援を下さる皆さまから託された資金が適切に効果的に使われているか、どんな意義が生み出されたのかを自身の目で確認し、組織内で活発なフィードバックを生み出すことにつながります。
海外視察を単なる視察だけで終わらすことなく、そこから生まれる問やフィードバックを通じて、国内事務局も海外事業部も共に成長していきたいと思います。
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記事執筆/
PR・カンボジア事務所インターン
名倉早都季