収入向上ではなく、生計向上支援。
【アジアレポート/2018年8月_Topic03】
8月7日-8日の2日間に渡り、JICA草の根パートナー事業として昨年から支援するカンボジア、バッタンバン州カムリエン郡の障害者100世帯を対象に、グローバル経済のリスクとお金に関するワークショップをカウンターパートの現地NGO:CRDNASEのスタッフと実施しました。
グローバル経済のリスクのワークショップでは、換金作物だけに依存してしまうことが、自分たちの伝統的な生活を破壊し、持続的な自立した生活を困難にしてしまうことを、事例を元に考えてもらいました。
また、お金に関しては、200年ほど前に600村以上の荒廃した村の復興に影響を与えた二宮尊徳の報徳思想を紹介し、収入だけ増やせばいいのではなく、収入と支出のバランスが生計向上に重要であることを説明しました。
そして自分の家計の収入と支出を書き出してもらい、バランスが取れているか自ら確認してもらいました。

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写真:収入と支出のバランスを確認するシートの書き方を説明するCRDNASEのスタッフ(2018年8月 江角撮影)
この日は、すべての収入と支出を書き出す時間が取れませんでしたが、最後に開催したグループのペー・ソムナンさんは、ワークショップ後も全て書き出し終わるまで続けて提出してくれ、正直驚きました。
自らの収入を知り、その範囲内で節度を守った生活をする「分度」という二宮尊徳の考えについて、「今まで収入のことばかり考えて、支出のことは考えたことがなかった」と言ってくれる人もいました。
収入を増やすことも重要ですが、支出にも気を使って、生計を向上させてほしいと思います。

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写真:ワークショップが終わった後も自分の家計の収支バランスを確認するシートに記入するペー・ソムナンさん(2018年8月 江角撮影)
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記事執筆/
アジア事業マネージャー
江角 泰